【ゆったり】有休消化で温泉旅行【のんびり】

審神者交流タグ #さにわ温泉旅女子編 格子縞のついのべを纏めています。交流タグですので公開設定にしてありますが、創作審神者(全て女性)が登場しますので『私の本丸には審神者なんて居ない』と思っている方は読まないで下さい。 審神者:禰宜正階(姥さに) 以下ゲスト:一葉さん(姥さに)しおりちゃん(兼さに)豆香さん(明さに)
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格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 斜面の上に在る建物はロビーを抜けた先がテラスになっていて、木々の先には陽にきらめく海とその果てにある山陰が見えた。温泉がかけながされているのは大浴場だけとの話だったけど。こんな素晴らしい景色を露天から楽しめるなら、個室の内湯を使うなんて勿体ない気がした。

2016-05-05 17:51:45
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL フロントでもそうだったけど。あちらこちらに見える人の大半は老若男女違わず二人連れが多くて、近侍を伴った審神者なのだろうなぁと思う。そうで無い人達は霊力だとか服装だとかで何となく、陰陽寮の技官だろうとか警備の為に配置されている人達だろうとかの区別がついた。

2016-05-05 20:03:10
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 刀剣男士として励起に至る分御魂は、魂宿る刀剣なら全て顕現可能という訳では無くて。大元たる付喪神と力ある審神者とが交渉し、まず先に本霊に降臨して戴く必要がある。だから自ずと各本丸に在る男士の顔ぶれが限られるから、双子の様な三つ子の様な出会いに繋がる事になる。

2016-05-05 22:01:07
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 本丸という一つの場に長く留めておけるのは一柱につき一振りずつだから。万屋へ出かけたとか演練に参加したとか、何らかの理由で他所様と同じ尊顔を遇わせる事は当然ある。当たり前の事だけど見た目はつぶさにそっくりだから、見ている方としては不思議に感じてしまうけど。

2016-05-05 22:16:42
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL そう言う機会に巡りあっても傍目には動じている様子が全く無い。切国さんだけでなく、前藤さんも堀国さんも皆さん何というか親戚にでも会ったみたいに。近すぎず遠すぎずと言った自然な対応で、そんな感性の違いみたいな所も私と彼等の隔たりなのかしらと考えなくもない。

2016-05-05 22:23:15
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 歩いてきた内廊下は足音を消す為か絨毯が敷かれていた。逆に案内された部屋は二間続きの簡素な和室で、何というかいかにもひなびた温泉旅館でございといった雰囲気がする。正直に言ってしまえば本丸の方が豪華かもしれない。でも、普通の家に居るみたいな落ち着きも感じた。

2016-05-05 22:59:45
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 「御夕食の間に客室係がお布団を敷きに伺いますので。お布団は座敷と次の間と一組ずつで宜しいですか?」「はい?えぇと、敷きやすい方でいいですよ?」「……」「かしこまりました」それだけ確認すると仲居さんは出て行って、私は置いてあった茶器でお茶を用意しようとした。

2016-05-05 23:15:09
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 電気ポットなんて使い慣れていないだろうから、圧倒的有利である。いつもは世話をして貰う事の方が多いから何だか楽しい。 「……アンタ」 「はい?お茶どうぞ。ふふ、いつもと逆ですね」 持ってくれていた鞄を置いて、畳の上に座した切国さんはどうしてか思案顔に見えた。

2016-05-05 23:24:28
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 湯飲みに口を付けた顔がどうにも渋い。ちょっと浮かれて煎れ方を失敗したかしら……そんなこと無いと思うんだけど、と自分でも飲みながら訝しむ。 「何を確認されたかわかってるのか」 「確認?……あぁ、お布団のことです?セルフサービスじゃなくて良いみたいですね」

2016-05-05 23:36:12
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 実のところ説明を聞く間も部屋を見渡していて、不躾だけど気もそぞろだったのは否めない。神社をお預かりしている手前、実家を長く空ける訳にはいかない。だから受験とかでシティホテルに泊まったことはあっても、修学旅行以外でこういった和風の宿に泊まるのは初めてだった。

2016-05-06 00:04:23
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL #さにわ温泉旅女子編 大浴場は離れらしく、渡り廊下を使うか中庭を抜けるかした先にある。今から入湯しても夕飯にはちゃんと間に合いそうだし、海に落ちる夕焼けも綺麗そうだ。用意されていた浴衣に袖無し羽織り、タオル、持ち込んだ私物やらを一纏めにして風呂敷に包んだ。

2016-05-07 10:12:31
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 宿の売店で買い求めた桐の白下駄を取り出した。部屋の入口にはスリッパやプラスチックの黒下駄も備え付けられてたけど、それだとちょっと味気ない。何せ素足で履くもの、お手入れが楽な方が宿は手間なしに違いない。欲しがる客が買い求めれば、地元の商品が売れる事に繋がる。

2016-05-07 10:33:37
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL カランコロンと鳴る音は浅沓を履いた時に少し似ているけど、浅沓にも草履にも歯は付いていない。そら、と手を差し出してくれたのに甘えることにして。歩きやすい渡り廊下ではなく、眺めの良い庭を突っ切って行くことにした。すると艶やかな黒髪を垂らす後ろ姿に遭遇した。

2016-05-07 10:44:06
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 宿が貸切で人目を気にしなくて良いせいか彼は見慣れた戦装束を纏っていた。潮風に僅かに揺らぐ浅葱の衣、腕を組んで立ち海を眺める様はまさに『格好いい』堀国さんが見たら喜びそうだ。彼の傍には主の姿が見あたらず、待ちあわせでもしているのかなと何となく思ったのだけど。

2016-05-07 10:53:55
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 後ろを通り過ぎようとしたその時。 「そーら、海をみて満足しただろ。部屋に戻るぜ?」 「やだー温泉はいりたいー!」 聞き慣れた声とは異なる別の声。え、裏声?と思わず振り返ってしまった。和泉守兼定の傍には誰も居ない……と思ったのは早とちりだったのだと気がつく。

2016-05-07 14:15:29
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 「あのな~アンタ一人じゃどうしようもないだろうが」 「だから何とかしてってお願いしてるじゃない」 「男湯に連れてく訳にはいかねぇだろ、周りの目があるんだしよ」 金の髪に赤いリボン。格好良くて強~い流行りの刀のお話し相手は、片腕で持つ愛らしいお人形だった。

2016-05-07 14:21:02
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 綿が詰められていると思しき布の体、包んでいるのリボンと同じ色のお洋服。私には霊視の力があるから、そのお人形が仮初めではない本物の魂を宿していると直ぐに真抜く事は出来たのだけど。不慣れな下駄の歩みを支えていてくれた切国さんが、真横で硬直しているのがわかる。

2016-05-07 14:34:05
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 「男湯なんて乙女が入るわけないでしょー!」 「俺が女湯に入ったら余所の審神者に刀解されちまうだろうが!」 「それ困るー!でも温泉に来たのに入れないなんて寂しい……」 微笑ましい様な物騒極まりない様な、賑々しい主従の会話。私は思い切って声をかける事にした。

2016-05-07 14:41:39
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL お人形さんはしおりちゃんと名乗った。大浴場の温泉にせよ部屋の沸かし湯にせよ、綿の体で湯船に浸かればビショ濡れになる。だけど表情が動かない筈の顔が悲し気に見えて、私は彼女を誘って湯を使う事にした。手拭いで表面を拭って、湯船は雰囲気だけ楽しんで貰おうと考える。

2016-05-07 15:26:05
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 「じゃあ、またあとでねー」 しおりちゃんは私の後ろ頭にしがみつきながら、ほっとしたような顔の兼さんに手を振った。とても嬉しそうなので何だか私まで嬉しくなってくる。 「あなたは私に驚かないの?」 「前にカモノハシの審神者さんともお会いしたことがありますから」

2016-05-07 15:31:19
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 女湯へ行くと周りの人達は当然の如く驚きを示す反応をした。だけど何せ関係者ばかり、すぐに理解してくれたみたいだった。とりあえず真似事と言うか、石鹸の泡で表面を撫でて堅く絞った手拭いを使いきちっと拭う。表面だけならたぶん大丈夫。ガーゼハンカチを体に巻きつけた。

2016-05-07 15:46:30
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 自分を洗う間は待っていて貰い、頭に巻きつけた洗い髪をくるむタオルの上に乗って下さいと促した。栞ちゃんを落っことしてしまわない様に気をつけながら、移動した露天風呂に浸かる。目前には暮れゆく沖をと空とを望む景観が広がっていて、私達は揃って感嘆の溜め息を漏らした。

2016-05-07 15:59:46
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 見下ろす浜を眺めてふと思い出す。美人な審神者さんと、波との戯れを静かに見守っていた彼方の切国さん。そう言えば迎えの車には乗っていなかった。今日は夕飯迄に揃っていれば良い事になってるから、まだ少し時間はある。ギリギリまで散策を楽しんで宿に来るのかもしれない。

2016-05-07 16:15:58
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 迫る闇に染まっていく山肌の緑と、濃さを増していく天上の青。温かい湯から湯気と共に登る匂いと、吹いてくる涼しさ風が含む潮の香り。人形の体を温泉に浸ける事は無理だったけど、しおりちゃんは露天風呂の雰囲気をそれなりに楽しめた様だった。 「またお夕飯のときにねー」

2016-05-07 17:23:54
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL #さにわ温泉旅女子編 栞ちゃんと彼女を肩に乗せた兼さんと一旦別れ、私は切国さんに手を引いて貰ってまた歩き出した。夕食で集まる大広間へと行く前に、部屋に戻って荷物を置いてきてしまおう。近くの席にはどんな方が座るかしら、ちゃんと話せると良いのだけれど……。

2016-05-08 08:04:11
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