【ゆったり】有休消化で温泉旅行【のんびり】

審神者交流タグ #さにわ温泉旅女子編 格子縞のついのべを纏めています。交流タグですので公開設定にしてありますが、創作審神者(全て女性)が登場しますので『私の本丸には審神者なんて居ない』と思っている方は読まないで下さい。 審神者:禰宜正階(姥さに) 以下ゲスト:一葉さん(姥さに)しおりちゃん(兼さに)豆香さん(明さに)
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格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 私達個々の審神者は国と呼ばれる班分けに属してして、聞いた話では国毎に色々な事が違うらしい。らしいと言うのは公開されていない情報が多い為に、憶測や噂話の類も多いからだ。万屋や演練で顔を会わせたとしても、自分が任されている本丸の話をつぶさにする事は余りない。

2016-05-08 12:47:48
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL いわゆる守秘義務と言うのが基盤にある。同じ審神者同士なら違反にはならない筈だけど、お師匠様からは修行仲間以外に仔細を話すのは勧めないと言われてもいた。曰わく『隣の芝は青く見える』との事で。気が沈む様な噂話を聞いてしまえば、その忠告には従うべきだと感じた。

2016-05-08 12:59:58
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 政府としては『最も効率的なやり方』を模索していて、今はまだ試行錯誤の段階にある故に、国毎の差異は積極的に試されているらしい。そして集積された情報は、改善策と言う形で少しずつ反映はされる。けれど人には個性がある。絶対の一つはこの先も見つからないかもしれない。

2016-05-08 17:46:54
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 車でも宿でも老若男女色々な審神者を見かけたけれど、大体は護衛役の近侍と話している姿が目立ったと思う。皆さんきっと距離感を掴みかねているのだ。そう考えると庭でしおりちゃんと遭遇して、一緒に大浴場を楽しめたのは幸先よい始まりだった。私はその出会いに感謝した。

2016-05-08 17:51:22
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL #さにわ温泉旅女子編 「ごめんね、国広。私が歩きたいって言ったから……」 「これくらいどうって事はない。あんたこそ、上り坂ばかりで疲れてないのか」 「大丈夫。景色がとても綺麗で楽しかった」 宿に着くとどうやら私達が最後みたいで、技官さんが慌てて寄ってきた。

2016-05-10 12:40:40
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 明日の予定を説明してくれ様とする技官さんと、部屋の鍵の手続きをお願いしてくる宿の人と。時間も押していたから鍵は私が受け取ることにして、説明は取り敢えず国広が聞いてくれた。私は案内されるままにカウンターの前に立って、宿の人の説明を聞き漏らすまいと耳を傾ける。

2016-05-10 22:40:42
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 「こちらがルームキーです」 「館内での決裁にもご利用下さい」 「ではこちらにサインをお願いします」 サイン?そう言えば、こういう時は登録名を書く様に言われていたっけ。ペンを手にして一葉と書き込んでいると、 「お布団の敷き方はどうされますか?」 「敷き方?」

2016-05-10 22:56:30
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL もう大広間で夕食の時間になるから、その間に布団を敷いて置いてくれると説明される。こういう所に来るのは初めてでだから戸惑ってしまった。何て答えたら良いんだろう。チラリと背後を振り返ってみたけど、国広はまだ説明を聞いている。 「あの……普通で、お願いします」

2016-05-10 23:03:41
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 「……かしこまりました、普通ですね」 宿の人は続けて館内の地図を示しながら、食事とお風呂の説明をしてくれた。部屋が建物の外れにあるから、近くに見えるロッカーに荷物を預けて大広間へ向かった方が良いこと、夕飯の後にそのままお風呂へ行けば楽ですよ、との話だった。

2016-05-10 23:10:02
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 普通、と答えたのは良い返しではなかったのかな。チラリと心配が過ぎったけれど、咄嗟には他の言葉が思い浮かばなかった。受け取った鍵を手に国広の傍へと近寄ると、説明も丁度終わったみたいで。私達は荷物をロッカーへ預けてから、時間ギリギリの夕飯の席へと向かう。

2016-05-10 23:17:20
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 一歩進む毎に緊張が強くなる気がする。合戦場へ出るのとは全く違う類いの不安。例えば演練で他の本丸の審神者と出会っても、それはせいぜい数刻のことだから、話し込む様な事にはまずならない。普通、に話せるかな。そう考えていると不意に手首を掴まれて思わず顔を上げる。

2016-05-10 23:26:09
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 「顔を上げて堂々としていろ。あんたは一城の主なんだ」 「……うん」 知らず知らず顔を俯けていたのだと気づかされる。顔の表情は何時も通り鋭いけれど、声は怒ってなかった。 「ありがとう、国広」 広間の入り口に着いたところで、国広は私の一歩後ろへと下がった。

2016-05-10 23:33:04
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL #さにわ温泉旅女子編 大広間は人で溢れかえっていた。敷かれている畳は本丸にも設えられているから珍しくは思わないけど、並んだ台盤の前に座る人達はだいたい同じ服を着ていて圧巻だった。浴衣だ。きっと私達より早く宿へついて、食事の前にお風呂を使ったのだと思った。

2016-05-13 08:42:03
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 演練に参加する時もそうだけど、視線が自分に集まっている気がする。普通に見えないのかなとつい考えてしまうのは良くない癖で、定刻ギリギリだからだと自分に言い聞かせた。部屋番号と席割りは予め決まっていたみたいで、宿の人に案内されて隅の方の空いていた席に座った。

2016-05-14 10:12:37
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL テーブルマナーは知っているし、食べ物に好き嫌いは無いから大丈夫。早く無事に食べ終えて、お風呂にゆっくり浸かって、部屋に行ってのんびりしたいな。そんな風に思いながら黙り台盤の上を眺めていると、不意にかけられた声があった。国広の声じゃない軟らかな声に私は驚く。

2016-05-14 14:18:31
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 「おたくはん、遠いとこから来やはりました?お疲れさんどすなあ」 私よりもずっと小柄で、手も顔も小作りな女の人。だけど落ち着いた物腰から大人だって事は自然と伝わってくる。「よろしゅうおたの申します」と笑顔で会釈されて、私は居ずまいを正して頭を下げた。

2016-05-14 14:58:36
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 「此方こそ宜しくお願いします」 「いやぁ、良かったわあ。おたくはんみたいに年の近そうな女の方が近くの席で。本丸は男所帯どすやろ?かいらし声聞いただけで、うちほっとしますわぁ」 心にするんと入ってくるような、不思議な喋り方だった。 「ありがとうございます」

2016-05-14 15:04:50
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 「そんな風に言って貰えると、嬉しいです」 「もしかして、緊張したはります?」 「はい……」 本音を素直に吐き出してしまうと、気持ちが楽になった気がした。もしかして。この人は私が緊張しているのに気がついて、それを解く為の切っ掛けをくれたのかもしれない。

2016-05-14 15:17:05
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 私は両隣に座る他所の審神者に挨拶をしてから、改めて前へと向き直った。夕食の席は予め決められていただけでなくて、近侍の席は審神者の斜め後ろになるように用意されてもいた。これでは国広に何か相談したくなっても、一々振り返らなくてはいけないから目立ってしまう。

2016-05-14 15:52:42
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL でも、と思う。出陣に同行して、合戦場に臨む際の心構えを振り返った。作戦によっては国広と離れる事も当然あるし、不慣れなりに思考を廻らして皆の助けを借りて、私は今までやってくることが出来た。落ち着いて周りをよく見て、自分で考えて動くべきなのはきっと今も同じ筈。

2016-05-14 15:59:05
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 私は思い切って、近くの席に座る人達と話をする事にした。初対面の人と話す機会なんて滅多に無い。話題が上手く見つけられなくって、器が素敵ですねとかそんな言葉になってしまったけど。向かいに座る彼女が上手く拾って膨らませてくれるお陰で、会話を繋げていく事が出来た。

2016-05-14 16:09:36
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL おかずのお皿が食べ終わると、ご飯にお味噌汁と漬け物が配られた。この頃になるとほろ酔い加減の人達もチラホラ混じって、大広間は最初の頃よりもずっと賑やかになっていた。明日の予定があるから流石に深酒をしている人は見かけないけど、彼方此方で会話が飛び交っている。

2016-05-14 18:01:50
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 「それにしてもペアルックで登場するなんて、大胆なことをしたねぇ」 「え?」 斜め向かいに座る、ほんの少し白髪が混じる男性が楽しげに笑った。どう言う意味だろう。やっぱり先にお湯を使うべきだったのかしらと思ったけど、私服のままの人は少ないけれど私だけじゃない。

2016-05-14 18:07:36
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 呆気にとられる私の背後で、国広の気配が動いた様な気がした。だけど本当に動くよりも早く。 「そら、しょうがあれへんどすやろ。こないな別嬪さんやさかいなあ。おたくはんみたいな男前の虫が寄って来いひんように、作戦立てはったんと違いますかぁ?なあ?」

2016-05-14 23:19:51
格子縞✿再々録作業中 @kousijima

@tkhime_TL 彼女はそう言って笑った。小さな顔が一層と可愛らしく見える。 「いやいや虫とは参ったな。そういう君もお綺麗だ」 「へぇ、おおきぃに」 気のせいかな。彼女の後ろに座ってる明石国行が、一瞬だけ鋭い視線をした様に見える。私は改めてチラリと部屋の中を探ってみた。

2016-05-14 23:22:31