金木犀さんの「日中文学話と中国の宇宙観」集中講義!その3
清妙之合專易,重濁之凝竭難,故天先成而地後定。(清妙の合專するは易く,重濁の凝竭するは難し,故に天先ず成りて地は後に定まる。):澄んで綺麗な気が集まるのはたやすく、重く濁った気が固まるのは時間がかかる。よって、天がまずでき、地は後に固まった。)
2010-03-16 22:38:43@kin_mokusei 原初の話は昔の知識人の苦悩を思いますね。「じゃあ、その前は?」と考え始めるととまらない、結論でない。そこで比較研究の対象になる。日本建国神話は、そのへん思い切りよく投げちゃってる。叡智は海の向こうにある、と割りきってしまうところがあったんでしょうかね。
2010-03-16 22:40:44氣有涯垠(qi you ya yin) 清陽者薄靡而為天(qing yang zhe bao mi er wei tian) 重濁者凝滯而為地(zhong zhuo zhe ning zhi er wei di)
2010-03-16 22:42:42天地之襲精為陰陽,陰陽之專精為四時,四時之散精為萬物。(天地の襲精は陰陽となり,陰陽の專精は四時となり,四時の散精は萬物となる。):天地の気は重なりあって陰陽となり、陰陽の気がいずれかに傾くと春夏秋冬の四季になり、四季の気が分散すると万物となる。
2010-03-16 22:42:57清妙之合專易(qing miao zhi he zhuan yi) 重濁之凝竭難(zhong zhuo zhi ning jie nan) 故天先成而地後定(gu tian xian cheng er di hou ding)
2010-03-16 22:45:08天地之襲精為陰陽(tian di zhi xi jing wei yin yang) 陰陽之專精為四時(yin yang zhi zhuan jing wei si shi) 四時之散精為萬物(si shi zhi san jing wei wan wu)
2010-03-16 22:46:46「襲精」は、重なり合う気。平安時代の衣服で「襲」(カサネ)というものがありました。層をなして重なり合うイメージです。「專精」は、陰陽いずれかに傾いた気。「専」は「もっぱら」「専門」といった言葉に使いますが、「複数あるもののうちの一つ」という意味。「散精」は読んで字のごとし。
2010-03-16 22:46:50積陽之熱氣生火,火氣之精者為日(積陽の熱氣は火を生じ,火氣の精なる者は日となる):陽の気の累積である熱から火が生まれ、その火の気がさらに重なったものは日となった。
2010-03-16 22:49:58積陰之寒氣為水,水氣之精者為月(積陰の寒氣は水となり,水氣の精なる者は月となる):院の気の累積である寒気から水が生まれ、その水の気がさらに重なったものが月となった。
2010-03-16 22:51:56この感覚があるから、古代中国では人格神でなく、天そのものに神性、絶対善を見るんだな QT @kin_mokusei: 澄んで綺麗な気が集まるのはたやすく、重く濁った気が固まるのは時間がかかる。よって、天がまずでき、地は後に固まった。
2010-03-16 22:53:17積陽之熱氣生火(ji yant zhi re qi sheng huo) 火氣之精者為日(huo qi zhi jing zhe wei ri)
2010-03-16 22:53:49積陰之寒氣為水(ji yin zhi han qi wei shui) 水氣之精者為月(shui qi zhi jing zhe wei yue)
2010-03-16 22:53:53訂正:積陽之熱氣生火,火氣之精者為日(積陽の熱氣は火を生じ,火氣の精なる者は日となる):陽の気の累積である熱から火が生まれ、その火の気の精髄が日となった。
2010-03-16 22:54:13訂正:積陰之寒氣為水,水氣之精者為月(積陰の寒氣は水となり,水氣の精なる者は月となる):院の気の累積である寒気から水が生まれ、その水の気の精髄が月となった。
2010-03-16 22:54:38日月之淫氣為精者為星辰,天受日月星辰,地受水潦塵埃。(日月の淫氣の精なる者は星辰となる,天は日月星辰を受け,地は水潦塵埃を受く。):日月からこぼれた気の精髄が星辰となった。こうして、天は天は日月星辰を受け入れ、地は水潦塵埃を受け入れることとなった。
2010-03-16 23:01:01日月之淫氣為精者為星辰(ri yue zhi yin qi wei jing zhe wei xing chen) 天受日月星辰(tian shou ri yue xing chen) 地受水潦塵埃(di shou shui lao chen ai)
2010-03-16 23:05:31「淫氣」はちょっと誤解されそうですが、さんずいは水、ツクリは「浸す」ことを意味します。よって水に浸す、潤すという意味があり、転じて「度を超す」の意味ができました。よって、今回は「度を超して日月からあふれ出た気」と訳してみました。
2010-03-16 23:06:03まず、なんやらよく分からないものからなんとなく宇宙、すなわち世界の範囲ができて、その中に世界の構成要素の素である「気」ができました。
2010-03-16 23:08:43気には清濁があり、清気(陽気)が天、濁気(陰気)が地となりました。陽の気の精髄が日(太陽)で、陰の気の精髄が月です。日・月からあふれ出た気は、さらに星々となりました。
2010-03-16 23:14:53古(いにしへ)に天地(あめつち)未だ剖(わか)れず、陰陽(めを)分れざりしとき、渾沌(まろか)れたること鶏子(とりのこ)の如くして、溟涬(ほのか)にして牙(きざし)を含(ふふ)めり。
2010-03-16 23:19:34古代、天地も陰陽もだ分かれていなかったとき、混沌として卵の中身のように形が定まっていなかったが、やがて気が集まって万物の兆しが含まれるようになった。
2010-03-16 23:21:00其れ清陽(すみあきらか)なるものは、薄靡(たなび)きて天(あめ)と為り、重濁(おもくにご)れるものは、淹帯(つつ)ゐて地(つち)と為るに及びて、精妙(くはしくたへ)なるが合へるは摶(むらが)り易く、重濁れるが凝(こ)りたるは竭(かたま)り難し。
2010-03-16 23:21:27そのうちに、澄んで明るいものは薄くたなびいて天となり、重く濁ったものは滞って地となったが、陽の気が合わさったものは集まりやすく、陰の気が滞ったものは固まりづらかった。
2010-03-16 23:25:13