「ルーキング・イン・ウェーブス」

波濤の狭間に潜む者達は嗤う。
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Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

ワイ・モミは訝しげにハマルを見る。この深海棲艦はつい最近、自分に接触してきた。曰く「我々は神の使いである」と。曰く「この地は神に選ばれた聖地である」と。曰く「中枢棲姫の虚弱を治す手段がある」と。ハマルは信用出来ない存在だ。だが、艦娘とのイクサが近い。最善を期す必要があった。 24

2016-05-19 23:01:39
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

ワイ・モミは水晶をアリゾナの額に置いた。水晶は溶ける様にアリゾナへと吸い込まれていった。アリゾナの寝息は穏やかなままだ。「本当ニ、コレデイインダロウナ?」「エエ、エエ。大丈夫デスヨ」ワイ・モミは振り向いた。ハマルの姿は既に消えていた。「不気味ナ奴メ…」 25

2016-05-19 23:07:19
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「んん…ワイ・モミ…」アリゾナが寝言でワイ・モミに呼び掛けた。ワイ・モミは静かにアリゾナを横抱きに抱きかかえた。「マァ、イイサ…何デアロウガ利用シテヤル…タトエ神ダロウガ、艦娘ダロウガ…彼女ヲ殺サセハシナイ…」そう呟き、ワイ・モミは廃墟の奥の闇へと消えていった。 26

2016-05-19 23:11:21
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ムフフフフ!ムハハハハハ!ムハーハハハハハ!」波濤の狭間、誰にも気付かれない海の狭間で、ハマルは哄笑する。邪悪なまでに。「マズハ順調!オオ、神ヨ!神ヨ!今暫クノ御辛抱ヲ!」ハマルの腹には十字クリスタルのエンブレムが浮かぶ。ハマルは黄金の毛を流線型に纏い、海中へと潜航した。 27

2016-05-19 23:16:50
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

再び空に稲妻が空に煌めく。艦娘と深海棲艦の、大イクサを予感させるほどの轟音が響いた。だが、この波濤に潜んだ邪悪なる深海棲艦を、捉えた者は誰もいなかった。 28

2016-05-19 23:18:33
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ルーキング・イン・ウェーブス」おわり 「デイ・オブ・リバース」へ続く

2016-05-19 23:20:28