レズ鎮守府の中でモブに恋した響bot
そう呟いた龍田さんは、しっかりと意志を持っていて。でも、どこか寂しそうで。 私にも、特別に姉妹だけじゃなくて守りたいものがある気がするんだ。 「そう。…、でも、迷いがあるのね。戦うことが出来ない、どなたさんかしら」 違う。……、まだ自分でもわからないんだよこの恋に気づきたいのか。
2016-05-01 10:39:21「恋って気付かなくてもいいんじゃないの〜?」 ゆっくりと、諭すように龍田さんは私の心に言葉を置く。 「種族が違っても違わなくても、守りたいものがある。それだけでいいのよ。電ちゃんは優しいから皆を守りたいとか思うかもしれないけれど」 電のようにはなれないさ。我が妹ながら優しすぎる。
2016-05-01 11:10:38「そうよね〜。電ちゃんは敵も助けたいものね」 本当、馬鹿げてると思われるけれど、嫌いじゃないよ。 「そこまで広くなくても、とりあえず、特別守りたいものがあるなら守ればいいじゃないの。簡単なことよ。少しでも大切だって思ったならば」 あぁ、ありがとう。複雑に考えすぎていたみたいだ。
2016-05-01 11:39:22それと、お願いがあるんだ。 「あ、ストップ。分かるわよ〜。大丈夫。誰かに傷をつける前に殺してあげる」 流石、よく分かったね。凄いよ龍田さんは。 「深海棲艦になってしまったが最後。転生してまた邂逅するまではそれしかないもの。間宮さんとこの彼女が気にしてたら旅に出たって言っておくわ」
2016-05-01 12:10:12本当に、ありがとう。 「でも探すのが大変なんだし、あんまり危ないことするのはやめなさいね」 うん、分かっているさ。不死鳥の名前は伊達じゃない。…修理のタイミングにもよるけどね 「あはっ、これなら大丈夫そうね。瞳が変わったわ」 そうさ、頑張ってみせる。伝えない想いと共に皆を守るよ。
2016-05-01 12:39:22「それなら安心したわ、そろそろ寝ないと怒られるわよ。いってらっしゃい」 あぁ、深酒はしないようにね。 「勿論」 伝えるべき言葉は飾らずストレートに向き直って話してくれた龍田さんに感謝だ。 それにしても疲れた。どこかで聞こえる夜戦夜戦に巻き込まれないよう、駆逐隊の部屋へ戻った。
2016-05-01 13:10:08「多摩見たクマ?」 球磨さんが聞いてきた。用事があるのだろうと思い、炬燵で丸くなっていたよ。と教えておいた。 「大丈夫クマー」 球磨が持っていた子機をすぐに切った。 どうしたんだい? 「多摩を名乗る奴が今危篤らしいクマ。自分でかけてくるなんてすごいクマー」 確かにそれは、凄いね。
2016-05-01 13:39:23暁が告白されることについてレディたるもの練習したいと言い出した。 「今から私に告白してみなさいっ!」 えーと、私が暁に好きって言えばいいのかい? 「そーよ。レディみたいに相手を傷つけず体良く断る練習が出来るわ」 それは練習しなくても… 「レディは告白されるものなのよ!早くっ」
2016-05-01 14:10:47うーん。やめた方がいいんじゃないかと思うけれど……。 「レディには必要なんだからっ」 あーうん。わかった、わかったよ。 暁姉さん、好きだよ。 「そっ、そういう言葉は嬉しいけどっ!あぁもうっ!!」 顔を赤くして逃げてしまった。暁姉さんに告白する子って大変だなぁなんて独りごちたり。
2016-05-01 14:39:24付き合うって何だろう。 入渠上がりの温まった体をなるべく冷やさないように、パジャマに着替えボーッと外を見てた。同じようにしてた多摩さんの後ろに球磨さんがそーっと近づいて頬に牛乳を当て 「何するにゃ!!」 「反応見たくて、つい、クマー」 ……、少し羨ましいと思ったのは、内緒だ。
2016-05-01 15:39:24暁が自分がいらないと言い出したらしい全く。暁姉さんは。 「だって…、皆のお手本になれないし……」 お手本になる必要は無いんだよ。そのままでいて欲しい。少なくとも私はそう思うよ。 「でも…、お姉ちゃんとしてみんなに何かしてあげなきゃ…」 あげなきゃで自分を追い詰めちゃダメさ。
2016-05-01 16:10:23追い詰めて潰れた姉さんなんかみんな見たくない。堂々と、それでたまに指摘してなおしてくれる、それだけでいいのに。それが出来ているのに。なんで自分を責めるんだい。 「だって、わたしっ……うわぁぁぁん」 疲れる程泣いて疲れたら寝たらいいよ。それが一番いい。私は暁の頭をそっと撫でた。
2016-05-01 16:39:21間宮さんが時たまアルバイトの彼女に目配せして、私のオーダーをその子に任せたりする。ドキッとするも、内心何故か心が躍って。 「ご注文はいかがですか?」 ……パフェ。 「かしこまりました」 踵を返してしまった。あぁ今日も平静に答えられただろうか。しかし、間宮さんにはバレてる…、のか?
2016-05-01 17:10:31目を閉じると思い出す。嬉しいことも、嫌なことも。夢の中ではいつでも姉妹が一人、また一人と消えていく。やめてくれ、待ってくれ。そんな言葉も空をさ迷い、深海へ沈む。 私を、一人にしないでくれ。言えども届かぬ言葉。あの戦争では。 でも、今なら届く。さぁ、不死鳥として、守ろうじゃないか。
2016-05-01 17:39:21「大破だ、撤退する」 嫌だ。守れないじゃないか。 「これは攻略戦だ、侵攻阻止ではない!」 長門さんの叱責が、周囲を黙らせる。でも、私は。 「そんなに死にたいか」 違うよ。 「不死鳥だろう、貴様の目は今どこを見ている」 ……。 言葉を返せなかった。 「守るのは似た深海棲艦ではない」
2016-05-01 18:10:18「守るのは、今ここにいる、または帰るべき場所にいる仲間ではないのか」 ……、分かった。 争うのは私の本意ではない。理解はしているはずなのに、出来なかった。ただそれだけ。 「各自、陣形を保ちつつ解散!」 「「「「はい!」」」」 ……了解。
2016-05-01 18:39:21「……、ってことが出撃であったらしいわよ」 暁姉さん。いくら私がVodkaを馬鹿みたいに飲んでると言えども聞こえているよ。 「それなら、私達に頼ってもらわないと!」 「きっと疲れてるのです。酔って寝るだけじゃ、根本的な解決にならないから……」 「レディらしく支えればいいのよねっ」
2016-05-01 19:10:04…、あぁそうか、ここにはこうやって仲間がいる。私を支えようとして、肩を貸してくれて。それだけでどれだけ私が救われるか。その調子で、守るべきものを見失わせないでくれ。そう思ったら、目から何かが溢れて。雨かな。そのまま寝よう。 間宮の彼女が布団をかけてくれたことを響は知らなかった。
2016-05-01 19:39:22夜散歩をしていたら、夜戦したいのにといいながら艤装を着けて射撃訓練をしている川内がいた。 「響も夜戦!!夜戦しよ!!」 そう言い放つ川内の瞳の奥はどこか黒いものを帯びていて。私は思わず後ずさってしまった。 …、夜戦をして沈んだらどうするんだい? 「1人でも倒せたらallOK!」
2016-05-01 20:12:39命が惜しくはないのかい。 「ないよ、また転生して帰ってくるから」 声のトーンに気圧される。 「それが艦娘でしょ?沈んだら運が悪かったし、また生き返れる」 そんなこと……、あるわけないさ 「あるよ?だって私達、艦娘だもん」 もう何度転生した川内なんだろう?川内をそうさせたのは誰だ。
2016-05-01 20:39:29ふつふつと怒りが湧き上がる。提督に?艦娘に生まれた運命に?どう抗えばいい。 「戦わなければ存在できないんだよ、うちの3女なんか戦いたいのにって言ってた」 ちがう。戦いたいわけじゃない、一緒にいられるから戦うんだ。そこを履き違えては駄目だよ。 「いいよ。1人でも夜戦行くから」
2016-05-01 21:10:26姉妹のことを考えてよせめて。みんなの事より夜戦が好きなのかい。 「夜戦、しないと、みんなを守れないから、ヤセン、ヤセン………」 警報があたりの静寂を潰す。艦娘が、深海棲艦に……?そんな、馬鹿な…。 「うちの長女がご迷惑をおかけします」 神通さん? 「色々背負うから暴走するんです」
2016-05-01 21:39:32「すごくすごく、優しい姉で。助けもして、でも助けられなかった艦も沢山見てきた。だから、考え過ぎちゃうの」 艤装を向ける神通。川内もそれに気付き、応戦の準備をする。何かをするより先に自分が動いていた。 やめろ!! 川内の艤装に纏った黒いものに向けて、私は銃口をやり、引き金を引く。
2016-05-01 22:10:45黒いモヤが弾け、白く光る球がふわりと浮かぶ。発砲音に合わせて何個も何個も何個も。 「あら、……響ちゃん、すごいのね」 その光に川内が包まれたと思った瞬間、昇華し、川内がまとっていた禍々しいオーラがなくなった。ふらっと倒れそうになるのを神通が受け止めた。 な、なんなんだいこれは。
2016-05-01 22:39:28「すごいのよ響ちゃん、深海棲艦化は姉妹艦にしか止められないのに。ありがとう、響ちゃん」 私は何を…、して、どうなったんだい……。 「今は少し分からないでしょう。落ち着いてから話すわ。早く、おやすみ。それと、使用許可なく発砲したのも提督に言わないでおくから」 スパシーバ。おやすみ
2016-05-01 23:10:43