スルー・ザ・ゴールデン・レーン #4

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムアミダブツ!己の放ったスリケンが空気を切り裂きながら飛び戻り、さらにブラッドチェイサーのイアイドーまでもが迫る!「「イヤーッ!」」火花!ヒートカタナの切っ先がニンジャスレイヤーの腿を掠めた。血が焼かれ、刀身で爆ぜて蒸発した。弾き漏らしたスリケンの1枚が、死神の肩を斬り裂いた。

2016-05-25 18:28:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スリケンの一発はブラッドチェイサーの背中も掠めていた。彼は危険なスリケン飛行軌跡へと身を投じていたのだ。アイウチと呼ばれる捨て身のイアイドーアーツであった。だが、ニンジャスレイヤーのカラテが勝った。「イヤーッ!」「グワーッ!」裏拳を受け、彼はメンポごと歯を砕かれて弾き飛ばされた。

2016-05-25 18:33:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

遅れて、エシオを狙う3発のキネシス・スリケンが飛来した。ニンジャスレイヤーは弾き、弾き、最後は弾ききれずに、肩で止めた。並のスリケンならば、全て瞬時に叩き落としていたであろう。己の投げ放ったスリケンの力を逆利用されたがためである。それでも、エシオの後頭部へのスリケン命中は免れた。

2016-05-25 18:38:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「バカナー!」マインスイーパはニンジャスレイヤーのカラテを目の当たりにし、サイバネ化された両目を剥いた。あれほどの猛攻が、通らぬ。ローラーコースターは大広場を狂ったように駆け抜け、チューブトンネルに達しようとしている。『立つと危険』と書かれた警告ネオンカンバンが前方の壁に見えた。

2016-05-25 18:44:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

閉所ゆえ戦闘は不可能。ニンジャスレイヤーですらバック転を打ち、エシオの座席の隣に着地した。ならば先回りし、仕止める。「イヤーッ!」マインスイーパは車輛の座席上で立ち上がり、跳躍せんとした。刹那、前方から無慈悲なる鈎つきフックロープが飛来し、マインスイーパの両腕と胴体を絡め取った。

2016-05-25 18:50:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シマッタ!」マインスイーパはもがいた!この鈎つきフックロープを先頭車輛から投じたのは……無論、我らがニンジャスレイヤーである!「イヤーッ!」死神はこの厄介なキネシス使いをここで確実に殺すべく、両腕に力を込めた!敵は直立不動のまま動けぬ!ゴウン!コースターが暗黒の中へ滑り込む!

2016-05-25 18:58:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マインスイーパは逃れようと身をよじった。だが無駄だった。「ハイクを詠むがいい!マインスイーパ=サン!」暗黒の中から恐るべき声が響いた。「グワーッ!」激突!マインスイーパの体は物理衝撃で真っ二つに切断され、オイランドロイドの死体が転がる緑の炎の中へと落下!「サヨナラ!」爆発四散!

2016-05-25 19:03:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウン!暗闇の中、風と音。アマクダリの追っ手を一時的にかわし、暗黒のトンネルコースを走り抜けるローラーコースター。先頭車輛ではエシオとニンジャスレイヤーが安全バーを共有していた。ひとつ後ろの車輛には、シロウツリ。

2016-05-25 19:08:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ようやく再会できました。よくここが」エシオは目元に垂れてくる血を拭いながら、丁寧な口調で言った。「名刺を追え、そのようなメッセージと判断した」ニンジャスレイヤーは鈎つきフックロープを巧みに引き戻しながら、ジゴクめいた声で返した。「あの時交換した、私の名刺のソウル痕跡を追え、と」

2016-05-25 19:13:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

名刺。然り。エシオの胸には頑丈な名刺入れと、かつてニンジャスレイヤーから渡された名刺があった。他ならぬネオサイタマの死神自身の血が染み込んだその名刺は、今なお無視できぬニンジャソウル痕跡を放っていた。あの日交換した名刺を、エシオは保存し続けていたのだ。無論、ニンジャスレイヤーも。

2016-05-25 19:18:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼らの律儀さに驚嘆された方もいよう。日本人は他者から渡された名刺に対し、類稀なる敬意を示すのだ。たかが、名前を刻印されただけのカード。だがそれを粗末に扱うことは、名誉を汚すも同然であり、渡された名刺を折りまげたり、尻ポケットに入れたサラリマンは、即座にムラハチの対象となるという。

2016-05-25 19:26:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「コースターは60秒ほどで再び外へ。それまでに伝えられる全てを伝えます」エシオは言った。物言わぬネオン電飾やウサギ人形がコース側面に並んでいた。「オヌシは何者だ、神か、あるいは」怒りに満ちた死神は、奥歯を噛みながら、己の身体に突き刺さった己自身のスリケンを引き抜き、胸元に収めた。

2016-05-25 19:34:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「まさか。私は人の子です。そして、ピグマリオン社のサラリマンです」エシオは汗と血を拭いながら返した。後部座席で黙するシロウツリは、ニンジャソウルを感知しながらも、ニンジャスレイヤーに対して銃口を向けようとはしなかった。オイランマインドは以前に、彼が敵ではない事を学んでいたからだ。

2016-05-25 19:41:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「よかろう。どちらにせよ、私の行動は変わらぬ」ニンジャスレイヤーは言った。カラテの熱冷めやらぬ肩からは湯気が立ち上り、エシオは火傷せんほどの熱を感じ取っていた。「急ぎ、続けてくれ。神か何かでないならば、オヌシはいつ死んでもおかしくはない」「解りました。鷲の翼が開かれる日について」

2016-05-25 19:50:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「まさか。私は人の子です。そして、ピグマリオン社のサラリマンです」エシオは汗と血を拭いながら返した。後部座席で黙するシロウツリは、ニンジャソウルを感知しながらも、ニンジャスレイヤーに対して銃口を向けようとはしなかった。オイランマインドは以前に、彼が敵ではない事を学んでいたからだ。

2016-05-27 17:01:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「よかろう。どちらにせよ、私の行動は変わらぬ」ニンジャスレイヤーは言った。カラテの熱冷めやらぬ肩からは湯気が立ち上り、エシオは火傷せんほどの熱を感じ取っていた。「急ぎ、続けてくれ。神か何かでないならば、オヌシはいつ死んでもおかしくはない」「解りました。鷲の翼が開かれる日について」

2016-05-27 17:01:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それは彼らに与えられた、わずか60秒の、轟音の中の静謐であった。トンネル内激走音が弾丸車輛を包む。外界の音は通らず、外界へも音は漏れ出さぬ。苦悩にのたうちながら掘り進むワームめいて、チューブコースは強化コンクリートの中を複雑に曲がりくねり、スクリュー回転しながら、先へ先へと続く。

2016-05-27 17:06:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「今から約3ヶ月後。2038年1月18日から19日にかけて。深夜、ウシミツアワー。満月。オールドオーボンの夜」エシオは声の平静を保ち、語った。「鷲の翼が開かれ、地球全土を覆います。その時、世界中のUNIXはオーバーフローを起こし、Y2Kにも比肩する爆発と災厄を引き起こすはずです」

2016-05-27 17:13:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「鷲の一族の末裔たるアガメムノン、そして月面のアルゴスこそがアマクダリの心臓部です」エシオは腕時計文字盤を操作した。蛍光色のホロ映像が浮かび上がった。それは精密なワイヤフレームで再現された地球。そして月であった。「その日、アガメムノンはアルゴス・システムを完全起動させるでしょう」

2016-05-27 17:17:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

腕時計ホログラム上に、アルゴス・システムの完全起動イメジが映し出される。月面のアルゴス本体を中心に、地球衛星軌道上に配置された無数のメガトリイ社製無線通信ネットワーク衛星が目覚め、自律制御により正しき座標へと広がってゆく。鋼鉄と電子で作られた巨大な鷲の翼が、地球全土を覆ってゆく。

2016-05-27 17:22:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

間も無く、人工衛星の点と点をワイヤフレームが繋ぎ、地球全土を窒息させる鋭角の殻が如くに包みこんだ。「さらに、旧世紀システムを備えるジグラット」地表に人類の墓標の如く屹立する、カスミガセキ・ジグラットが描画され、再び無数の線が引かれた。「同様の旧世紀システムが、各大陸に存在します」

2016-05-27 17:27:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ハッカー達の伝説によれば、ヒエラルキー最上位に位置する神秘的なUNIXサーバがかつて地球全土に13個存在し、幾つかが滅びたという。その残されたひとつがジグラットなのだ。「鷲の翼とアルゴスでインターネットを再統合し、再定義し、支配するのが彼らの狙いです。いかなる犠牲を払おうとも」

2016-05-27 17:35:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コースに突如流れる色褪せた旧世紀音楽。ノイズ塗れの電子音声。ネオン電飾世界地図。ウサギ型ロボット達。メガトリイ社が21世紀にもたらす希望と、いまや絵空事の未来を喧伝する。過去の残響全てが過剰速度で頭上を通過する中、ニンジャスレイヤーは問うた。「敵は如何にしてそれを完全起動させる」

2016-05-27 17:41:01
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