ニンジャスレイヤー二次創作【テンダー・ホワイト・ドラゴン・アンド・ブルタル・レッド・ブラック・ドラゴン】#6

◆無名のサンシタ @MMMwithbe 第一作◆公式と関係が一切ない◆身勝手◆ #1:http://togetter.com/li/963105 #2:http://togetter.com/li/963850 #3:http://togetter.com/li/969615 続きを読む
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プロキオン @MMMwithbe

腋に抱えるペクヨンの爪先はほとんど真下を向いていた。それを上向きに戻し、手首内側の突起を正確にアキレス腱に当て、爪先を腋で固定。そして!「イヤーッ!」ありったけのニンジャ筋力で絞り上げる! ジュー・ジツのベーシック・アーツ、アキレス・テンダン・ホールドだ! ゴキリ!「グワーッ!」

2016-05-28 13:44:10
プロキオン @MMMwithbe

ニンジャスレイヤーは背中を強く反らす!「イヤーッ!」「グワーッ!」腕力と背筋力を乗算したニンジャテコの原理により、ペクヨンの左足首の関節構造が破壊される! 突起で集中的な圧をかけられたアキレス腱も損傷! 赤黒の炎の高熱もペクヨンの肉体を責め苛む! 容赦なきサブミッション・コンボ!

2016-05-28 13:47:56
プロキオン @MMMwithbe

「グワーッ! グワーッ! グワーッ!」激痛に悶絶しながらも、ペクヨンは自由な右脚でニンジャスレイヤーの身体を繰り返し蹴りつける! 離さぬ!「コォーッ!」激痛に耐えコリ・エンハンスメント・ジツを再度発動!「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーは脚を離しヘッドスプリングで起き上がる――否!

2016-05-28 13:51:17
プロキオン @MMMwithbe

ヘッドスプリングでペクヨンの真上に跳躍! 空中回転からのダブル・フットスタンプでペクヨンの腹部を踏み潰さんとする!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ズドム! タタミが足裏の形に陥没した。間一髪、ワーム・ムーブメントで回避したペクヨンは、そのまま転がって距離を取り起き上がった。

2016-05-28 13:54:21
プロキオン @MMMwithbe

ペクヨンの左膝と左足首は、もはや蹴りを放つどころか、ただ立っていることもできぬほどに破壊された。変幻自在のチャギ・キックを最大の武器とするテコンドー使いにとって、利き足にこれほどまでの重傷を負うことは致命的だ。勝敗は決した……はずであった。だが。

2016-05-28 13:57:45
プロキオン @MMMwithbe

「コォォォーッ……!」激痛のためペクヨンの顔中に浮かんだ脂汗が、氷霧となって次々と空中に散った。コリ・エンハンスメント・ジツ。ペクヨンは銀白色の髪を振り乱し、銀白色の目を血走らせて大きく見開き、右手右足を前に出すサウスポースタイルで再び構えた。その戦意は微塵も衰えていない!

2016-05-28 14:01:48
プロキオン @MMMwithbe

「死ねない……! 死ぬわけには、いかない! ニンジャスレイヤー=サン! 私は貴方を殺す! 私は、テコンドーを、ドージョーを、妻と息子を守る!!」

2016-05-28 14:04:47
プロキオン @MMMwithbe

血を吐くような絶叫であった。ペクヨンの左膝から下を、無数の氷塊が、ニンジャ装束ごと覆っていた。ゴツゴツと不格好なそれは、さながらエンシェント・ドラゴンの鱗の如き様相! ペクヨンはコリ・エンハンスメント・ジツにより自らの左脚を凍結させ、感覚を遮断し関節を固定したのだ! ゴウランガ!

2016-05-28 14:07:45
プロキオン @MMMwithbe

「スゥーッ! ハァーッ!」だがニンジャスレイヤーは、その四肢に赤黒き不浄の炎を燃え上がらせ、決断的に言った。「ニンジャ、殺すべし。慈悲はない!」ペクヨンの凝視を真正面から受け止める。右目のみならず左目にもセンコめいた真紅の光点が宿る! 大地を駆ける猛獣めいて極端な前傾姿勢で突進!

2016-05-28 14:10:29
プロキオン @MMMwithbe

「イヤーッ!」心臓摘出右チョップ突き!「イヤーッ!」右腕で捌く!「イヤーッ!」左の肘打ち!「イヤーッ!」ブレーサーでガード! 反撃の右ミドル!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ブレーサーを失った左腕でガード! チャギ・キックの威力自体は落ちているが、冷気の侵蝕はより強くなっている!

2016-05-28 14:12:48
プロキオン @MMMwithbe

死力を振り絞ってペクヨンが攻める! 左フラミンゴで右のチャギ・キック連打!「イィィヤヤヤヤヤーッ!」下段・下段・上段・中段、最後は中段の空振りと見せかけて内回しで戻ってくるコロチャギ・フックキック! 左膝も左足首も全く動かないのにこれほどの連続攻撃ができるのか! 執念の為せる業!

2016-05-28 14:15:48
プロキオン @MMMwithbe

だがニンジャスレイヤーの赤黒の炎も、強まったペクヨンの冷気に劣らぬ火勢を維持! チャギ・キック4連撃は全てガード、最後のコロチャギ・フックキックは身を沈めて回避!「イヤーッ!」そのままタタミに円形の焦げ跡を残しながらの高速水面蹴り! 凍結した左脚を刈りにいく!

2016-05-28 14:19:05
プロキオン @MMMwithbe

ガキン!「ヌウーッ!?」ペクヨンの左脚は揺るがない! 地面に堅く固定されている! さながらジンジャ・カテドラルのシンバシラ・セントラル・ピラーの如し! 強まったコリ・エンハンスメント・ジツによって、足裏からタタミを貫き建物の床材まで超低温の冷気を通し、太い氷の根を張ったのだ!

2016-05-28 14:21:44
プロキオン @MMMwithbe

水面蹴りを止められ、低く屈んだ状態で体勢を崩したニンジャスレイヤー。ペクヨンはその一瞬の隙を見逃さない!「イヤーッ!」渾身の右回し蹴りで、ニンジャスレイヤーの側頭部を蹴り抜いた!「グワーッ!」首が100度横を向く! 吹き飛ばされタタミの上を転がるニンジャスレイヤー!

2016-05-28 14:24:14
プロキオン @MMMwithbe

ペクヨンは氷の根を切り離し、跳馬競技めいたロンダート動作で跳躍した。ドラゴンの鱗めいた氷塊で覆われた左脚から、白く輝く氷霧の軌跡を描いて。後方伸身二回転、捻りを加えて向き直りながら、残された右脚を高々と振り上げる! 芸術的前方180度開脚! さながら口を開き牙を剥いた白龍の如し!

2016-05-28 14:27:36
プロキオン @MMMwithbe

ニンジャスレイヤーは転がる勢いを利用し、シームレスに片膝立ち姿勢で起き上がった。両腕に纏う赤黒の炎が身体を伝い降り、両脚に集中する。両目のセンコめいた真紅の光点が、より強く鮮烈で禍々しい色合いを帯びる! さながらアビ・インフェルノ・ジゴクから地上を見上げるブッダデーモンの如し!

2016-05-28 14:30:58
プロキオン @MMMwithbe

「イィィィヤァァァーッ!!」テコンドー最大奥義、ティミョ・ネリョチャギ!「イィィィヤァァァーッ!!」暗黒カラテ奥義、サマーソルトキック! カラテの力、ジツの力、闘志、信念、愛情、哀しみ、殺意、エゴ――あらゆる力と感情を巻き込んで、白銀の氷と赤黒の炎が激突した。そして!

2016-05-28 14:36:10
プロキオン @MMMwithbe

「グワーッ!」爆発的なカラテ斥力により、氷と炎の接触点からピンボールめいて弾き出されたのは――ペクヨンだ! 垂直に近い角度で吹き飛ばされ、5mほどの高さにあるドージョーの天井、オナタカミ社製LEDボンボリの一つに背中から激突!「グワーッ!」ボンボリが衝撃で粉々に砕ける!

2016-05-28 14:39:10
プロキオン @MMMwithbe

運動エネルギとカラテ衝撃力の全てをペクヨンに伝達したニンジャスレイヤーは、低高度で一回転し、ふわりとタタミに降り立った。ペクヨンの身体が天井から離れ、自由落下を開始。ニンジャスレイヤーは三連続側転から赤黒の軌跡を曳いて跳躍する! ペクヨンとは逆方向、ドージョーの太い柱に向かって!

2016-05-28 14:42:24
プロキオン @MMMwithbe

垂直の柱に屈み込むかのように全身の力を溜め――開放!「イヤァァァァーーーッ!!」ニンジャスレイヤーは決断的に水平跳躍した! トライアングル・ドラゴン・トビゲリ! 赤黒の炎に包まれた右脚が、地面に落下する直前のペクヨンを捉える!「グワァァーッ!!」氷と炎が一塊となって水平に飛ぶ!

2016-05-28 14:45:29
プロキオン @MMMwithbe

そして完璧なトビゲリ姿勢のまま壁面に到達! ニンジャスレイヤーの右脚が深々とペクヨンの腹部に食い込んだ! 壁面に杭で打ち付けるが如く!「アバーーーッ!」ペクヨンのメンポが吹き飛んで転がる!「ゴボボーーッ!」大量吐血! 純白のニンジャ装束が鮮烈な赤に染まる! 赤黒の装束にも返り血!

2016-05-28 14:47:41
プロキオン @MMMwithbe

後方一回転してペクヨンの目前に着地したニンジャスレイヤーは、ザンシンすることなく、さらに攻撃の構えを取った。限界まで引き絞った弓矢めいて、左手は前に、右拳は顔の横に。チャドーの処刑的打撃技、ジキ・ツキ。両脚に纏っていた不浄の炎が素早く胴体を這い上り、今度は右拳で大きく燃え上がる。

2016-05-28 14:49:56
プロキオン @MMMwithbe

「ハイクを詠め。ペクヨン=サン」ニンジャスレイヤーはペクヨンの目を見た。コリ・エンハンスメント・ジツによる発光は既に消えていた。銀白色の両目から、鮮血の涙が一筋ずつ、頬を伝い落ちた。苦痛とも、諦めとも、怒りとも、哀しみともとれる表情が、彼の瞳の中にあった。

2016-05-28 14:52:51
プロキオン @MMMwithbe

ペクヨンはハイクを詠んだ。「『軍馬の蹄/てんからくだる/白龍な』」

2016-05-28 14:56:01
プロキオン @MMMwithbe

「イヤーッ!」ジゴクの炎を纏った右拳は、ペクヨンの左胸に手首まで深々と突き刺さった。ペクヨンの唇が、なおも動いた。それは二つの音節を形作った。ミ、ナ、と。声はなかった。ペクヨンの首が反り返り、その口腔と眼窩から赤黒の炎がジゴクめいて噴出した。「サヨナラ!」ペクヨンは爆発四散した。

2016-05-28 14:58:02