ストレイトロード:ルート140(20周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」のコンビがお届けする、短編という名の習作。 今回は951~1000+おまけ。 今後も引き続き1日1組つぶやいていきます。 続きを読む
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「寄り道していい?」尋ねる形式でも藍が言えばそれは決定事項だ。私は言われるまま道順を修正し、あるいはすぐハンドルを切る。「どちらへ行かれますか」今日は車を降りると言い出した。要求通り停車すると藍は即座に走り去り、私の視界の外へ消えた。十数分後、彼女は大きな花束を抱えて帰ってきた。

2016-06-04 23:58:54
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、988。寄り道。 今日はギリギリ…

2016-06-04 23:59:13
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

悪意を全身に纏った男達が袋小路の出口を塞いだ。狙いは藍に違いない。私は保護者として前に出ようとしたが、その前に藍が私の正面に立った。「たいした相手じゃないわ」再三下がるよう言ったが、藍は自身について楽観しか語らなかった。仕方なく質問を変えた。「通報しますか」「もうちょっと待って」

2016-06-05 19:37:53
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、989。楽観。 自信の根拠は目に見えない。

2016-06-05 19:37:59
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

市街地を曲芸飛行していた怪物が、藍の誘導により防壁の外へ追い出された。翌日、私達が滞在する宿に役場から封筒が届いた。中身は昨日の騒ぎで損壊した諸々の一覧と修復費用の見積書。インフラ部門の律儀な担当者がわざわざ計算して寄越したらしい。「請求書はありません」「だったら何の嫌がらせ?」

2016-06-06 19:30:45
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、990。律儀。 何事もとりあえず結果を確認したい、そんな人もいる。

2016-06-06 19:30:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「まず例題を読んでみましょう」「わかりません」開始一秒で藍が授業を放棄した。学校から出された数学の課題は問題文も解法も決して難しくない。先生や私が教えた内容を覚えていれば解るはずで、実際に藍は先程似た計算式を解いた。では何故今は出来ないのか。「この例題、設定おかしいと思わない?」

2016-06-07 19:40:25
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、991。例題。 家庭教師も大変。

2016-06-07 19:40:33
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

廃墟を探索した藍が古いカメラを発掘した。調べる途中でフィルムの存在に気づき、迷わず私に押しつけた。「開けちゃダメなのよね?」露光に設備も準備も要るとの話は前に教えたことを覚えていたようだが、この時代にそれを頼める相手が限られる点は忘れたのか。「貴重な資料って言えば誰か来るでしょ」

2016-06-08 20:24:41
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、992。露光。 見通しの甘さ。

2016-06-08 20:24:50
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

少年は庭の一角に木材を並べて自分を囲い、枠に近づく大人達を威嚇した。騒ぎを見かけた藍は少年の親に話を聞き、足元のボールを拾った。「これは中に入れていいの?」少年は藍が投げたボールを嫌な顔で投げ返した。しばしラリーが続いた後、捕球し損ねた少年が枠を踏み越えた。「はい、あなたの負け」

2016-06-09 19:21:41
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、993。枠。 ルールが見えないゲームの一例。

2016-06-09 19:21:49
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「行きましょ」「どちらへ」「次に運ぶ物があるところ」それは次の指示、つまり私を雇う契約を続けるとの宣言だった。私が初めて藍の手足として働いた後で聞いたその一言は、生活の糧を失わずに済む良い報せというより、再び危険の鼻先に飛び込む前兆に聞こえた。「行ったらいるんだから。あきらめて」

2016-06-10 19:13:46
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、994。宣言。 初めての働きとは、140字に先行して出した短編の話。

2016-06-10 19:13:56
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

私達は人狼の言い伝えが残る村を訪れた。複数の家の軒先に獣を追い払う道具が飾られていたが、住人は誰も使い方を知らないという。「今からでも備えたら?」窓辺から山を眺める藍の顔がガラスに映った。「昨日いなかったものが今夜も現れないとは限らないでしょ?」直後、別の窓の外を何かが横切った。

2016-06-11 19:51:48
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、995。人狼。 ラ( @raaaaaaaaaaaa14 )さん提供のお題から。 様々な言い伝えはそれを知る人がいる限り、世界が変わっても大体残る。

2016-06-11 19:51:54
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

今夜が流星群のピークだとラジオは繰り返している。観測会が予定される丘には大勢の子供が集まっていたが、彼らの頭上は厚い雲に覆われていた。日没の時刻を待つ間に子供達が藍に気づき、風の魔女の力を貸してほしいと訴えた。「大丈夫」藍は自信たっぷりだ。「風を呼ばなくても、そろそろ晴れるから」

2016-06-12 20:31:29
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、996。流星群。 紙箱みど( @middlechronica )さんからのお題。 見逃せない瞬間を前にして。

2016-06-12 20:31:34
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

車の点検不備を理由に足止めされて三日、仕事熱心な街の警官は再び私達に出発を許さなかった。「貴方の身分証に不審な点がある。来ていただきたい」非情の通告だ。藍の調査活動にとっては停滞決定、対応次第で彼女の立場も危うくなる。連行される私を見る魔女の目は誰への怒りに燃えていたのだろうか。

2016-06-13 19:24:50
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、997。停滞。 愁海棠( @takuramu_ossan )さんによる掛詞シリーズ第三弾、「手痛い」と掛けて…とのこと。(なおそれと別にもう一箇所で掛けてます。) ゼファールは一度身分を捨てていることが時に弱点ともなる。

2016-06-13 19:25:52
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

報告のメールを読む藍は終始険しい顔をしていた。旅を妨害する集団の目的は魔女の打倒や秘密の隠蔽ではないという。「あの人、どうしてもわたしを自分のものにしたいんだって」狙いは戦力だろうか。「その辺は何も。愛情がどうとかって書いてある」主犯は片想いで終わることを良しとしない人物らしい。

2016-06-14 18:57:06
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、998。片想い。 ラスティ( @buizel_Rasty )さんからいただきました。 一方通行には必ず理由がある。ただし理にかなう内容とは限らない。

2016-06-14 18:57:15
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

藍は集めた証拠を次々と卓上に並べた。脅迫の根拠が嘘と暴露された男は意外にも動じなかった。「これをどうするって?」「出す所に出すの。あなたにはコイン一枚渡さない」「でもここで全部破けば終わりだな」「これは写しよ、実物はもう弁護士に送ったわ」卓上を埋めた書類を挟んで睨み合いが続いた。

2016-06-15 19:14:29
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、999。卓上。 ラ( @raaaaaaaaaaaa14 )さんからもう一つ。 どちらも相手の仕掛けのテーブルにはつきたくない。

2016-06-15 19:14:36
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

乾いた風が吹いていた。藍は広大な廃墟となった街を一人探索し、私は車の側に残って彼女の帰りを待った。崩落した時計塔の辺りを見ると他にも人がいた。彼らは例の怪物に蹂躙された人々の遺物を拾い集めていたらしい。「知り合いの持ち物を探してるんだって」彼らと話した藍は半信半疑という顔だった。

2016-06-16 19:21:30
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