憲法公布７０年

谷津憲郎 @yatsu_n

【日本国憲法】７月１日　衆院特別委での審議がスタート。憲法改正は「外部的誘因は非常に大きいけれども、内部的にも改正すべきものが相当あった（略）敗戦の結果やむを得ず強制されたかの如く考えられることは非常に遺憾であります」と弁士の自由党・北昤吉議員。二・二六事件の北一輝の弟であった。

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【日本国憲法】６月３０日　「国民精神総動員なるものがあります。一体これは何をなしておるのであるか」と、昭和１５年のいわゆる反軍演説で気骨を示した斎藤隆夫議員は、この憲法制定議会では吉田茂内閣の大臣をつとめていた。この日は休日。「憲法草案研究。其他雑事を為す」と日記に記す。

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【日本国憲法】６月２９日　憲法草案の審議は７２人からなる衆院特別委に委ねられた。委員長になった芦田均議員は、この日買ったカバンに「憲法改正紀念」と書かれ、喜んだ。「この地位が実質的にはさほど重大とは思わない。だが（略）修正案の取扱にも細心の注意をしなければ」。芦田修正まで１カ月。

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【日本国憲法】６月２８日　この憲法草案はいったい日本文と英文のどちらが正しいのか。共産党の野坂参三議員の問いで議場は荒れた。問題とされたのは、前文の「国民の総意が至高なもの」のくだり。政府は英文の「sovereignty（主権）」を「至高」と超訳していた。審議の舞台は特別委へ。

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【日本国憲法】６月２７日　民間の「憲法研究会」の草案づくりに加わった森戸辰男議員は「今日憲法を作るとすれば、何をおいても、生活保障の一条がなければならぬ」と訴える。同会の草案はこう説いていた。国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス――のちにほぼこの形で憲法２５条となる。

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【日本国憲法】６月２６日　「自衛権の発動としての戦争も、また交戦権も放棄したものであります」。吉田茂首相は草案９条２項について、衆院本会議でこう答えた。「近年の戦争は多く自衛権の名において戦われたのであります。満州事変しかり、大東亜戦争またしかりであります」。何度も拍手がわく。

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【日本国憲法】６月２５日　政府草案が衆院に上程された。北昤吉議員（自由党）から、新憲法下でも国体は変わらぬことを明確にすべきだと迫られた金森徳次郎担当相は、「政体」と「国体」は別だとして質問を煙にまく。「国体は変わらないのであります。水は流れても川は流れないのである」

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【日本国憲法】６月２４日　憲政史上初めて、共産党議員が公然と衆院の演壇に立った。徳田球一氏。「憲法よりも食糧を」と述べ、草案の主権者の概念をただした。金森徳治郎担当相が答える。「主権が天皇にあるとか国民にあるとか分けた考え方は、国民の恐らく承認せざるところで……」。拍手が起きた。

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【日本国憲法】６月２３日　のちに「芦田修正」を施す芦田均議員は、黒革表紙の小さな手帳に日記をつけ続けていた。ＧＨＱ草案の存在を初めて耳にした際には「bombshell（爆弾）」（２月１９日）と。そしてこの日、短く記す。「憲法委員会の委員長になるらしいので、挨拶の文句を書いた」

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【日本国憲法】６月２２日　天皇が日本の元首であることは事実だと、帝国議会貴族院の山田三良氏は憲法原案への遺憾を表明した。原案第１条は「象徴」となっていた。吉田茂首相は答える。「敗戦の今日におきまして、如何にして皇室の御安泰を図るか（略）憲法論以外に、現在の国情よりご判断になって」

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【日本国憲法】６月２１日　ＧＨＱのマッカーサーが声明を出した。新憲法の審議で①十分な時間と機会の確保②明治憲法との法的継続性③採択が国民の自由意思であることの表明を日本に求めた。「日本国ノ憲政機構ノ根本的変革」の決定権を握るはずの極東委員会（米英中ソなど１１カ国）への配慮だった。

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【日本国憲法】いまの日本国憲法の原案（帝国憲法改正案）が第９０回帝国議会に提出されたのが、７０年前のきょう、１９４６年６月２０日。原案の前文には「ここに主権が国民に存することを宣言し」のくだりはなかったんですねえ。ndl.go.jp/constitution/s…