【悪堕ちシナリオ】スライムさん

スライムのように身体を液状化させて他人の身体を侵食する能力を持った敵が、ヒロインの身体も記憶も知識も奪い取って本人に成り代わり、主人公の前に現れたところ……という設定です。
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悪堕研究機構 @utakuochi

スライムのように身体を液状化させて他人の身体を侵食する能力を持った敵が、対象者の身体も記憶も知識も奪い取って本人に成り代わり、改めて対象者の想い人の前に、不敵な笑みを浮かべて現れる話ください。

2016-06-28 23:39:10

第1話

悪堕研究機構 @utakuochi

「誰!?」 「はじめまして、と言ったところかしら。単刀直入に聞くわ、あなた、彼の知り合いでしょう?」 「……だとしたらどうなるの?」 「彼ね、正確には彼の力ね、私たち欲しいんだけど、どうも彼は心を開いてくれないの。だから、あなたに協力してもらおうと思って」

2016-06-29 03:21:37
悪堕研究機構 @utakuochi

「あなたの身体、私にいただけるかしら?」 「っ!?」 彼女は咄嗟に右手にナイフを掴み、目の前の女性の胸を刺した……が、全く手応えがなく…… 「あらあら、残念。私の身体、あなた達人間と違ってこんな風に不定形なの。刃物は全く効かないわ」 逆に刺した右手がズブズブと取り込まれていった。

2016-06-29 04:09:08
悪堕研究機構 @utakuochi

女は、彼女の右手を左手で掴み、ゆっくりと取り込んでいった。 「くすくす、あなたの右手はこれで私のもの。ほら、もう動けないでしょ?」 取り込まれた右手だけではない、全身が硬直して動けなくなった。 「前にもらったこの子はドロドロに溶かしてしまったから、固体の身体が欲しかったのよ」

2016-06-29 04:17:57
悪堕研究機構 @utakuochi

「それじゃ、ゆっくりとあなたの身体をいただくわね」 女は右手で彼女の顎を優しく掴むと、そのまま自分の口を彼女の口に押し当てて濃厚な接吻を始めた。 「ん……んんー!!」 (ほら、どんどん“私”があなたの中に流れ込んでいくわよ) 「やめて……」 (あなたはこれから“私”になるの)

2016-06-29 04:21:29
悪堕研究機構 @utakuochi

液状化しつつある女の身体は、その体積を縮小させながら……彼女へと、口を通じて侵入しつつあった。 (あなたの身体だけじゃないわ、あなたの知識、あなたの記憶も私のものとなる。そしたらどうなるかしら? あなたが持っているもの全て……地位も人間関係も、彼さえも私のものとなるのよ?)

2016-06-29 04:25:50
悪堕研究機構 @utakuochi

(“あなた”は今から消えてなくなるの。今度は“あなた”という存在を私が有効に活用してあげるから、黙って私を受け入れなさい) 「そんなことは……させない……!」 (!? 馬鹿な……右手が……?) 「◯◯君、ごめんなさい……私、もうあなたに会えない……」

2016-06-29 04:32:35
悪堕研究機構 @utakuochi

「けど……私の身体がいいようにされて、あなたの敵になることは耐えられないから!」 (ぐっ……あなた……自分の胸を……) 彼女は残った力を振り絞って、右手に握ったナイフで自分の胸を刺した。彼女の胸から大量の血が地面へと滴り落ち、血の塊の中に彼女の身体は倒れ込み、動かなくなった。

2016-06-29 04:36:16
悪堕研究機構 @utakuochi

どれくらい時間が経っただろうか。 彼女が倒れている付近を中心に広がっていた血の塊が、突然、まるで最初から人間の血という液体ではなく、一種の液体化生物であったかのようにゆっくりと動き出し、彼女の身体へとズブズブと吸い込まれていった。

2016-06-29 04:50:56
悪堕研究機構 @utakuochi

地面に広がっていた血が全て彼女の身体へと吸収されてから数刻、彼女“だったもの”は地面から身を起こし、ゆっくりと立ち上がった。 「ふふ……悪くないじゃない、この身体も……」 確かに、彼女の声が彼女の口から聞こえた。 だが、その身に纏う妖艶さは以前とは比べ物にならない闇を湛えていた。

2016-06-29 04:56:04
悪堕研究機構 @utakuochi

「それじゃあ、この身体を慣らすためにどこかに出掛けてみましょうかね」 彼女は全身を両手で触りながら、また全身を眺めながらその準備を終えた。 「あら?」 彼女は口元にスライム状の物体が付着しているのに気付いた。 それを右手の指で絡め取り、そのままそれを指ごと舐めた。 「おいし……」

2016-06-29 05:14:11

ここで話の流れが変わる

悪堕研究機構 @utakuochi

スライムのように身体を液状化させて他人の身体を侵食する能力を持った敵が、対象者の身体も記憶も奪い取って本人に成り代わったところ、想い人に対する“恋”という感情を知ってしまって、その初めての感情に戸惑い、想い人を前に恥じらい始める純心な敵の女幹部ください。

2016-06-30 01:24:32

第2話

悪堕研究機構 @utakuochi

「どこに行ってたんだ、家に戻ってないと聞いて心配したぞ」 「ごめんなさい……私、夢を見ていたの」 「夢だって?」 「そう、夢。あなたがどこにもいなくなって、私の居場所もなくなって、ずっと、ずうっと、私でない私が、あなたを探し続ける、怖い夢」 「そうか、怖い思いをしたんだな」

2016-07-01 11:22:06
悪堕研究機構 @utakuochi

「俺にできるのはこれくらいしかないが……」 「ああ……あなたの身体、温かい。私はずっとあなたの温もりを感じていたい……」 「……違う」 「えっ……?」 「君は……いや“彼女”はそんな冷静に抱擁を求めない……俺にそんな冷たい笑みを向けない……」 「……」 「君は、一体何者なんだ?」

2016-07-01 11:27:59
悪堕研究機構 @utakuochi

「おかしなことを聞く人ね。私は、私じゃない」 「違う! そうじゃない!」 「あなたは忘れてしまったの? 私を助けてくれたあの時の勇敢さ、私の告白を受け入れてくれた温かさ、私とあなたの熱い抱擁を」 「……」 「私はずっと覚えている、あなたとの思い出を」

2016-07-01 11:46:15
悪堕研究機構 @utakuochi

「私はあなたが欲しい……あなたを私のものに……あ……れ……おかしいな……あなたの事を思い出すと……胸がギュッと苦しくて……あなたの顔を見ると……胸の鼓動がどんどん高まっていって……私のからだ……どうなっている……」 「おい、待ってくれ! どこへ行く!?」

2016-07-01 11:51:16
悪堕研究機構 @utakuochi

「はぁ……はぁ……いったい私はどうしたというのだ。さっきまで冷静でいられたのに。これは私の感情ではない……これは……彼女の記憶と彼女の身体がそうさせるのか……くっ……これは想定外だ……これでは私は……」 「ここにいたのか、一体どうしたんだ」 「わ……私……」 「泣いているのか?」

2016-07-01 12:33:07
悪堕研究機構 @utakuochi

「えっ……私……涙……」 「ほら、ハンカチ」 「あ……ありがとう。私……あなたにひどいことしようとした」 「うん?」 「あなたの純真さを弄んで、あなたの全てを手に入れようとしてた。でもそれはとても恐ろしいことなんだって……」 「……疲れているんだよ。家まで送ってく」 「うん……」

2016-07-01 13:19:36
悪堕研究機構 @utakuochi

(私は何をしているのだ……彼を落とし込むチャンスだというのに) 「ん? 何か言った?」 「ううん、独り言。明日が来るのが楽しみだなぁって」 「あれ、明日何かあったっけ」 「毎日が楽しみなのよ。新しい自分にも、まだ見てないあなたにも会えることが」 「そっか、それは良かった」

2016-07-01 13:34:41
悪堕研究機構 @utakuochi

「ほら、君の家、着いたよ」 「ありがとう」 「じゃあ俺は帰るね」 「待って……私の部屋まで来て、話したいことがある。お父さんとお母さんには外に出ててもらうから……」 「でも俺は……」 「お願い……!」 「わかった」

2016-07-02 01:33:20
悪堕研究機構 @utakuochi

「……なぜ、鍵を閉める」 「あなたを逃がさないためよ……」 「やはり君はもう……」 「違う!」 「!?」 「ご……ごめんなさい。でも、違うの、違うのよ……あなたが思っているようなことでは、ない。私を信じて……信じて話を聞いて……」 「んー……?」 「ほら、見て、私の胸、この傷」

2016-07-02 02:16:59
悪堕研究機構 @utakuochi

「私は、正確には“彼女”はもう死んでる。いや、私が死なせてしまった。そして、この傷が塞がっているように、私は……“彼女”はもう人間ではない。は……初めはあなたに近づくために彼女の身体を奪ったんだけど、彼女とひとつになって、わ、私がよく分からなくなって、こんなに胸が苦しいし」

2016-07-02 02:25:19
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