翻訳での書誌情報について

まとめてみました。
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KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

索引といえばデリダの『そのたびことにただ一つ、世界の終焉』(岩波)のバルト論を翻訳した時、バルトからの数ある引用についてデリダはほとんど引用箇所の指定をせず。俺はそれを全部調べ上げた(いや、一箇所だけ不明だったか)。その事に感動してくれたのは編集の方の他は、宮崎裕助君だけだった。

2011-02-09 10:31:22
yusuke miyazaki @parages

そういやそうだったね、ああいう作業はホントに大事だよ!RT @lethal_notion: ...バルトからの数ある引用についてデリダはほとんど引用箇所の指定をせず、俺はそれを全部調べ上げた...。その事に感動してくれたのは編集の方の他は、宮崎裕助君だけだった。

2011-02-09 22:01:23
yusuke miyazaki @parages

翻訳物の人文書(とくに思想書とか学術的なもの)の良し悪しを容易に見分けるための重要な基準のひとつは、原テクストでの引用箇所について、《既訳の書誌情報・該当頁がきちんと調べられているかどうか》だと思っている。

2011-02-09 22:05:55
yusuke miyazaki @parages

この種の照合作業は、一見翻訳そのものとは関係ないようにみえる地味な作業だし、原テクストに参照頁が欠けていたり誤記されていたりする場合などはすごく調査に手間がかかることがある。

2011-02-09 22:06:59
yusuke miyazaki @parages

しかし、既訳にあたり先達の訳業を検討してみて初めて分かることや教えられることは非常に多い。原テクストの理解度も変わってくる。原著者の誤りに気づくこともある。訳文ではそれを読者に追体験可能にし、先達の遺産を継承するためにも、この種の調査は不可欠のはず。

2011-02-09 22:08:24
@mesentente

原著の書誌情報を省かないで欲しいとも思います。たとえ文庫であろうとも。 RT @parages 翻訳物の人文書(…)の良し悪しを容易に見分けるための重要な基準のひとつは、原テクストでの引用箇所について、《既訳の書誌情報・該当頁がきちんと調べられているかどうか》だと思っている。

2011-02-09 22:09:11
yusuke miyazaki @parages

だが、この文献調査を怠っている訳業は意外に多い。要するに面倒だから。で、粗っぽい訳になったり、誤訳を招いたりする。「既訳の書誌情報・該当頁の明示の有無」は、翻訳に対する訳者の姿勢が透けて見える部分なので、訳書の質が露呈する判断基準として使えると思う。

2011-02-09 22:09:43
yusuke miyazaki @parages

ただ、一律に何が何でも既訳との対応箇所を示せというわけではない。一々頁数をあげていると煩瑣になり読みにくくなることがあるので、これを嫌う編集者もいる。しかしそういう場合でも、既訳にあたって自分の訳を反省することは必要だし、既訳の書誌をどこかに示すことぐらいはあっていいはず。

2011-02-09 22:11:36
yusuke miyazaki @parages

まあ、現実問題として100%調べ上げることは不可能なことも多いんだけれど、いまはネット検索がいくらでもできる時代だし、既訳の文献を探し出すことも容易になっているので、もはやこの種の文献調査をやらないで済ませる言い訳はできなくなっている。以上自戒を込めつつ。

2011-02-09 22:13:14
yusuke miyazaki @parages

そういや訳本の、そういう文献の照合作業だけ請け負ったことがあったのを思い出した。ニコラス・ロイル『デリダ』 http://3.ly/XR7E という本で、訳者の田崎英明さんと青土社の編集者故津田新吾さんからの依頼でお引き受けした。

2011-02-10 00:17:25
yusuke miyazaki @parages

この本は、ロイルが縦横無尽にデリダからの引用を鏤めた(少し風変わりな)デリダ入門書なのだけれど、ロイルの原著では引用箇所が数百カ所にもわたっており、参照指示が英訳の頁数でしか示されていないので、日本語版ではどうするかが問題になっていた。

2011-02-10 00:18:31
yusuke miyazaki @parages

仕方がないので、意を決して英訳をできるだけ揃え、すべての参照頁にあたって、デリダのフランス語の原書の頁数を探し出し、そのうえで邦訳書の対応箇所を調べて示すということをやったのだった。予想以上に厄介な作業で、調べ上げるのにゴールデンウィークを潰して一週間ぐらいかかったっけか……。

2011-02-10 00:22:13
yusuke miyazaki @parages

訳者名にもクレジットされない地味な下働きだったけれど、田崎さんと津田さんとの共同作業からいろいろ教わることができたので救われた。あの本は津田さんの、編集の仕事を遙かに超えた尽力がなければ実現しなかった。津田さんにはもっと教わりたいことがあったのだが、それも叶わなくなってしまった。

2011-02-10 00:24:38
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@parages 宮崎くん、返事遅れました。邦訳の参照箇所調べについてのツイート読みましたよ!あれは確かに基準になるよ。だって面倒だもんね。それにしても、デリダのバルト論はひどいな。俺がデリダの指導教官だったら叱るよ!きちんと参照箇所指定しろって。

2011-02-11 02:33:39
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@parages 俺も津田さんとは宮崎くんがやったのと同じシリーズのコールブロック『ドゥルーズ』(青土社)でお世話になった。亡くなったときはびっくりしました。あのシリーズはけっこういいよね。ボードリヤールのやつがよかった気がする。

2011-02-11 02:36:45
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@parages 宮崎くんは訳者名にはクレジットされていないけど、訳者後書きでは全面的に持ち上げられていた。あそこで田崎さんが書いていた事に俺は賛成。脱構築は一つの運動みたいなものとしてとらえなければならず、したがってアメリカの脱構築派とかの動きを知っていなければならない。

2011-02-11 02:37:48
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@parages で、日本でデリダも読み、アメリカの脱構築派の動きも知っているのは宮崎くんであると。確かにそうだろ!俺はずっと言っているけど、宮崎くんに、『脱構築の歴史』というほとんど語義矛盾みたいなタイトルの分厚い本を書いて欲しい。『脱構築の歴史』…。いいなぁ。欲しい。

2011-02-11 02:40:28
yusuke miyazaki @parages

@lethal_notion 『脱構築の歴史』かー。いやー修論ではデリダとド・マンの関係についてやって、それに近いことを構想してたこともあったし、留学後、連載企画を某思想誌に持ち込んだこともあったんだが、なんか反応が鈍くて。そういうの需要ないんだなと思ってカントに行ってしまった。

2011-02-11 10:28:55
yusuke miyazaki @parages

@lethal_notion いまはデリダ論をきちんとまとめてやろうと思ってます。日本ではフーコーやドゥルーズに比べ、デリダは翻訳も遅れてるし、若い人でもデリダを研究する人が少なくなっているようだし、ましてや英語圏での展開も踏まえてやるとなるとほとんど誰もいないという状況。

2011-02-11 10:30:22
yusuke miyazaki @parages

@lethal_notion 回り道したぶん、いまでは責任も感じてる。まあとにかくいまやってる翻訳の仕事に一区切りつけてそちらに向かう予定。國分くんもドゥルーズ論の連載を近々やるとか。楽しみだ。お互いいい意味で刺激となり響き合うような仕事なればいいよね。

2011-02-11 10:36:51
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

残念ながら、その通りだね。@parages 日本ではフーコーやドゥルーズに比べ、デリダは翻訳も遅れてるし、若い人でもデリダを研究する人が少なくなっているようだし、ましてや英語圏での展開も踏まえてやるとなるとほとんど誰もいないという状況。

2011-02-11 10:59:07
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@parages しかしさ、俺等も、もう「今の若い研究者は…」とか言うような年齢になっちゃったんだね笑。この前ツイッターで「國分って、若手なの?」とか書かれててちょっとふさぎ込んでしまった俺。

2011-02-11 11:00:33
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@parages ずばり言うとデリダって本人を見ると全然違うんだよね。あのインパクトはすごい。俺なんかデリダの授業受けるまではデリダなんて全く読めなかったし、そんなに関心もなかったから。ドゥルーズにはそういうところ感じない。本人には会えなかったけど、別にどうでもいいやって感じ。

2011-02-11 11:04:47
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@parages なんかデリダの講演の映像を見て、それを宮崎くんが解説するとか、そういうイベントをやってはどうだろうか?デリダが出ている映画は全然ダメ映画なので、講演の映像がいい。そういうのって残ってないのかな。『マルクスの亡霊』の講演とか。

2011-02-11 11:06:07
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

デリダが出てた映画はなんといったか、あれを見ながら「撮影されながら歩くのって難しいんだなぁ」って思った。デリダの歩き方がめっちゃ変なんだ。映画を作っている友達にそのことを言ったら、「ものを持たせると歩きやすくなる」と言っていて、なるほどと思った。確かにデリダは手ぶらだった。

2011-02-11 11:07:09