【Lancer】Beginning of Rebellion -前編-

これは仮面ランサーがシンキというハンターだった頃の記録。覚醒への道程、運命を変えたその事象をしかと見届けよ。
0
仮面ランサー @MaskedLancer

金髪の男が提案した。五人の集まりとなるとそれが妥当だろう。 「そーかー、お前は旅立っちまうのかー達者でなー」  先程セインと名乗っていた緑髪の男がどこか間延びした口調でそう言うと、その発言に早速金髪の男がツッコミ始めていたが他人事なので笑って軽く流しておいた。-24

2016-07-04 23:25:06
仮面ランサー @MaskedLancer

その後、赤髪の男がアレックス、金髪の男がカイルという名前であることを確認し、四人と別れてシンキは自分の部屋に戻る。その夜、シンキは自室のベッドに横たわりながら昔の事を思い返していた。-25

2016-07-04 23:26:05
仮面ランサー @MaskedLancer

ヘリックはシンキが新米ハンターだった頃に出会い、世話になった先輩ハンターである。かつては毎日のようにペアで狩りに出掛けており、親友と言える仲であった。-26

2016-07-04 23:27:07
仮面ランサー @MaskedLancer

しかし後にヘリックが一足先にギルド軍の一般部隊に任命されると、通常のハンターであったシンキはそれ以来顔を合わせる機会もなく年月が流れていったのである。-27

2016-07-04 23:28:07
仮面ランサー @MaskedLancer

始めて出会った日の事は今でも鮮明に覚えている。まだ大型モンスターの狩猟経験も少なかった俺はあるクエストを受けるかどうか決めかねてクエストカウンター近くで立ち往生していた。-28

2016-07-04 23:29:04
仮面ランサー @MaskedLancer

「君、どうしたんだ? 何を迷っているんだい?」  さすがにオドオドした挙動の俺を見兼ねたのか一人の見知らぬ男に声をかけられた。 「あ、いえ、ボルボロスの狩猟に行こうと思ってたんですが一人で勝てるか不安で……」-29

2016-07-04 23:30:29
仮面ランサー @MaskedLancer

「なるほどなぁ、そういう事なら俺が一緒に行ってあげよう!」  思いがけない誘いに一瞬戸惑ってしまった。 「え? いいんですか? 見ず知らずなのに……」  一緒に行くことを躊躇していると男は急かすように俺の背中をバンバン叩きだす。-30

2016-07-04 23:31:06
仮面ランサー @MaskedLancer

「そんな気持ちでいちゃいつまで経っても仲間なんてできないぞぉ! さ、準備準備。善は急げって言うだろう?」 「わ、分かりました……!」  言われるがままにクエストの受注手続きを済ませる。半ば強引ではあったが腹を括って狩りを共にする事を決心した。-31

2016-07-04 23:32:04
仮面ランサー @MaskedLancer

「俺はヘリック、よろしくな」 「俺はシンキです」  互いに挨拶を交わす。クエストに向かう直前になってパーティを組む相手の名前を知るのはどこか奇妙な気分だった。-32

2016-07-04 23:33:06
仮面ランサー @MaskedLancer

「シンキさんだな。よし、覚えたぞ。早速行こうか」  出発口に向かうヘリックの背中はこれ以上になく頼もしく感じることができた。そして生まれて初めての共闘。先輩ハンターの助けもあり思いの外苦にならずにボルボロスを倒すことができた……と思いきやそう簡単には終わらなかったのだ。-33

2016-07-04 23:34:04
仮面ランサー @MaskedLancer

「し、死ぬかと思った……」  ごつごつとした岩の壁に背中を預け、二人はぐったりと地べたに座り込む。 「いやぁ~まさかイビルジョーまで出てくるとはなぁ。ま、狩りにはこんなトラブルだって付き物さ」-34

2016-07-04 23:35:04
仮面ランサー @MaskedLancer

ボルボロスの狩猟に成功したと喜ぶ矢先、恐暴竜イビルジョーの乱入があり二人は命からがら逃げ延びてきたのだ。 「てか先輩もイビルジョーとは戦った事なかったんですね」 「いやいや何度か出くわしたことはあるさ。でも未だにあいつには勝てなくてなぁ」-35

2016-07-04 23:36:06
仮面ランサー @MaskedLancer

そう言うとヘリックはあれだけの危険に遭遇しておきながらハハハと陽気に笑って見せた。反面俺はさっきまでのヘリックに対する頼れる先輩像が崩れ、深い失望感に包まれる。 「うまく逃げれたからよかったものの……何かもうこの先やっていける気がしなくなってきた……」-36

2016-07-04 23:37:05
仮面ランサー @MaskedLancer

「いやいや、シンキさんも初めてジョーに出くわしてあれだけ凌げるなんて大したもんだよ。周りのほとんどのハンターはめちゃくちゃにやられて帰ってきたもんさ。俺もだけどな」  実際、イビルジョーの追撃から逃れる為に何度か時間稼ぎで立ち向かわざるを得ない場面があった。-37

2016-07-04 23:38:03
仮面ランサー @MaskedLancer

とは言え俺の使うランスは元から防御に秀でた武器である為、回避行動を要求される他の武器と比べれば比較的未知の敵に対処しやすい。 「運が良かっただけですよ……正直ここに逃げ込めなかったらあれ以上持ちこたえられませんでした」-38

2016-07-04 23:39:06
仮面ランサー @MaskedLancer

「でもわざわざ俺を助ける為に踏みとどまってくれてたんだろ?」  それこそ時間稼ぎを強いられるハメになった最大の原因。ヘリックがやたらともたついていて幾度もイビルジョーに追いつかれたのだ。本人曰く、作ったばかりの防具で動きに慣れていなかったらしい。-39

2016-07-04 23:40:10
仮面ランサー @MaskedLancer

「そりゃ放って逃げるわけにはいかないじゃないですか」 「……正直、その度胸はすごいよ。シンキさんはもっと自信を持っていいと思うよ」  単なる仲間意識から自然と取っていた行動をそこまで評価されるとは思っていなかった俺は反応に困った。-40

2016-07-04 23:41:05
仮面ランサー @MaskedLancer

「そうかな?」 「ま、何もともあれボルボロスの狩猟はできたんだし状況が落ち着いたら帰ろうか」 「そうですね。ここのアイルー達には悪いけどもうちょっと居座らせてもらいますか」  二人で逃げ込んだ先はアイルーの巣のある洞窟だった。アイルーが何匹か集まってきている。-41

2016-07-04 23:42:07
仮面ランサー @MaskedLancer

「ああ、すまんなぁ急に入ってきて驚かせちゃって」  かくして思わぬ波乱の旅となってしまったが、この事件のおかげですっかり打ち解ける事が出来、いつの間にか自然と互いに呼び捨てで話すほどになっていた。  そんな思い出に浸っている内にシンキは深い眠りに就く。-42

2016-07-04 23:43:04
仮面ランサー @MaskedLancer

翌日以降、新たに知り合った仲間と共に狩りをする日々が続いた。日毎に代わる代わるメンバーでクエストに赴いてる内に息も合っていき、戦闘のリズムが出来上がっていく。以前のチームでは考えられないほどに快適な狩りができた。-43

2016-07-04 23:44:03
仮面ランサー @MaskedLancer

そんなある日、ヘリックから久し振りに二人で狩りに行きたいと頼まれた。相手は氷牙竜ベリオロス。騎士にも例えられるその佇まいから、俊敏な攻撃を繰り出す強力な飛竜である。-44

2016-07-04 23:45:06
仮面ランサー @MaskedLancer

「はぁっ!」  シンキは敵の攻撃を盾で防いでは返しの突きを叩き込み、着実にダメージを積み重ねていった。 「やっぱりすごいなぁシンキのランス捌きは」 「俺はただ、堅実な使い方をしてるだけだ」-45

2016-07-04 23:46:04
仮面ランサー @MaskedLancer

戦闘中に悠長な会話を始めるヘリック。シンキは敵の次の出方を窺うのに集中してる為、素っ気ない返事をしていた。 「なぁ、シンキさんよぉ……少し聞いてくれ」  ふとヘリックが珍しく神妙な面持ちで語りかける。-46

2016-07-04 23:47:05
仮面ランサー @MaskedLancer

「どうした? 狩りに集中しろ」 「ハハ、本当はここで話すべきじゃないだろうけど、でもとても大事な話なんだ」  刹那、ベリオロスが壁蹴りから凄まじい勢いで跳びかかってくる。-47

2016-07-04 23:48:08
仮面ランサー @MaskedLancer

しかし敵から全く目を逸らしていなかったシンキはこれもしっかり受け流し、攻撃の隙を突いてベリオロスの爪を砕いた。氷上でのスパイク機能を失った敵はその行動に支障をきたすだろう。-48

2016-07-04 23:49:03