【アドベンチャー・オブ・マンゴー・トレーニング】

ゴシップミルが他のすみゆ忍を巻き込んでマンゴー研修に行きます。
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不幸鳥 @hukurou_nayuta

【アドベンチャー・オブ・マンゴー・トレーニング】

2016-07-04 22:12:48
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「行こうぜ!」目の前のニンジャの突飛な発言に、彼らは瞬きをするしかなかった。そして互いに顔を見合わせ……口を揃えて言った。「「いやです」」だがゴシップミルは話を進める。「そうこなくっちゃな!…でここに行くにはまあ一筋縄じゃあ行かないんだ…」テーブルには地図が広げられている。1

2016-07-04 22:14:14
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「待て待て待て」若い男のニンジャは言いながら、地図を隠すように手を置いた。その首元にはザイバツ紋。「聞いてなかったのか。嫌だっつったンだよ」その隣に座る可憐なメイドも曖昧な笑みを浮かべながら頷いた。「…だが実力のあるニンジャが二人も着いてくればなんとかなるはずだ!」「聞けよ」2

2016-07-04 22:17:36
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ようやく、ゴシップミルは二人の話を聞く気になった。しかし。「そう。関係ないね!」聞いただけだった。「何でだよ!そもそも何だ、そんな得体の知れねェダンジョンに向かわなきゃならねえ理由は!」「キャヴァリーチャージ=サンに同意します。私、色々仕事あるのですよ?」二人は立ち上がる。3

2016-07-04 22:22:12
不幸鳥 @hukurou_nayuta

状況を説明しよう。ゴシップミルという謎の放浪ニンジャは、ふらりと命名教会…「サント・デル・フジサワ教会」を訪れた。そして、同じくふらりと立ち寄っていたザイバツニンジャ「キャヴァリーチャージ」と、この教会のメイド「エーデルヴァイス」を、半ば強引に冒険へ連れていこうとしている。4

2016-07-04 22:26:07
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「逆に何で嫌なんだ?教えてくれ4文字で」放浪ニンジャは大袈裟に耳に手を当てるジェスチャーをした。「めんどい」「しんどい」二人は簡潔に述べた。「何がしんどい、だ!最近の若いもんはなっとらん!」テーブルを叩き、ゴシップミルは嘆く。そして付け加える。「ファーザーの許しも出てるのに」5

2016-07-04 22:30:45
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「何ですって?」エーデルヴァイスが声色を変え、切り込んだ。「聞いてくれるか?こちらの話も。うん、メイドさんは話が早くていいや」「いいから聞かせろ」キャヴァリーチャージは急かす。「アー、そう。こういうことがあってな…」6

2016-07-04 22:35:15
不幸鳥 @hukurou_nayuta

『飛ばします』神父風の男は小難しげな本に目をやったまま、厳かに言った。『ハイ?』どういうこった?都バス?わからないな。『散々おイタを繰り返す貴方を飛ばします。どっかの島のしんどそうなダンジョンへ』『オイオイオイ』言ってる意味がわからない!おイタ?少しは目を瞑ってほしい!7

2016-07-04 22:38:40
不幸鳥 @hukurou_nayuta

『目を瞑っているつもりでした。しかし看過出来ぬこともあるのですよ』神父風の男……ゴッドファーザーは本を閉じる。『けど教会には特に害は』『お黙り』『ハイ』凄かった。有無を言わせぬ迫力がそこにはあったぜ。『なんで、研修代わりです。何ならうちのメイドを連れていきなさい』…マジで? 8

2016-07-04 22:43:39
不幸鳥 @hukurou_nayuta

『マジです。更に言うと今来ているキャヴァリーチャージ=サンも連れていくといい。むしろそうしなさい、メイドも彼もほら。お得でしょ』ゴッドファーザーは鳩の形を模したサブレーをかじった。私はルマンドを口に放り込んだ。『二人は客間です。そんな風にルマンドでも摘まんでいることでしょう』9

2016-07-04 22:47:05
不幸鳥 @hukurou_nayuta

強いニンジャ二人付きとは頼もしい。絶対に研修に付き合わせてやろう。そんな決意を新たに客間に向かおうとした。その背にファーザーの声が飛んできた。『あ。そうそう。私も無意味な研修はさせません』なんだ?追加ミッションかな?『そこでマンゴーを採ってきなさい。あと夕飯になりそうなもの』10

2016-07-04 22:50:41
不幸鳥 @hukurou_nayuta

──「と、いうわけさ。お前たちはもう拒否出来んのだ、アハハハ」楽しげに笑い、ルマンドを頬張るゴシップミルとは対照的に、エーデルヴァイスとキャヴァリーチャージは肩を落とし、溜め息を吐いている。「まあ……ああいう方ですし…わかってはいますが…」「嫌だァー…嫌だよォめんどくさい…」11

2016-07-04 22:54:07
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「諦めいッ」二人の腕を掴む。「ヤメロ、俺はまだそっち側に行きたくない」キャヴァリーチャージは首を勢いよく横に振る。「いやです、私もただのカワイイメイドでいたいです」エーデルヴァイスも彼の腕を掴み、拒絶する。召喚師は聞く耳を持たない。「行くぜーッタグ実況してる皆の為にも!」12

2016-07-04 22:57:59
不幸鳥 @hukurou_nayuta

こんなときに限り、ゴシップミルはバカ力を発揮する。「エイッ」哀れキャヴァリーチャージとエーデルヴァイスは、彼女に引き摺られて、マンゴーをもぐなどの研修に行くことになってしまった。「タグ実況って何だよ…」「みんなって誰ですかぁ…」いたたまれない。「誰か二人を応援してやってくれ」13

2016-07-04 23:02:22
不幸鳥 @hukurou_nayuta

小さな舟に乗り、3人のニンジャは研修先へと向かっていった。一人は、ニンジャ第六感を活かし、風を読む。一人は、ひらひらした袖をたくしあげ、舵を切る。一人は素早「あんたもなんかしろよ」キャヴァリーチャージは双眼鏡を覗きながら、教会から持ってきたルマンドを貪るゴシップミルに言う。14

2016-07-04 23:05:49
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「いや…実際やることなくないか、俺」キャヴァリーチャージの口にルマンドを詰め込みながら、エーデルヴァイスに視線をやる…メイドは恐ろしいまでの笑顔でゴシップミルを見ている。「アッハイ。手伝います。…ルマンド食べる?」「貴方じゃ力にならなそうなのでルマンド係しててください」15

2016-07-04 23:11:18
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ルマンドの大袋が二袋空いた頃、舟は目的地の孤島に着いた。「ここだ。ダンジョンの入り口も見える…タノシイ研修タイムだぞ」ゴシップミル、エーデルヴァイス、キャヴァリーチャージはルマンドをくわえながら、慎重に降り立った。「しかし救援物資がコレだけなの、なかなか愉快だよな」16

2016-07-04 23:16:12
不幸鳥 @hukurou_nayuta

3人の前には真っ黒な穴が広がっている。彼らは深呼吸をし、そこに踏みいった。足元は階段になっている。「気を付けてくださいね。苔で滑りやすいので」先頭はエーデルヴァイスだ。彼はどこからか懐中電灯を取り出し、辺りを照らしながら進んでくれている。「ここにおゆはん材料あるのでしょうか」17

2016-07-04 23:18:55
不幸鳥 @hukurou_nayuta

じっとりとした空気。どこかカビ臭い。「マンゴーも怪しいよな。本当にあるのか…?」キャヴァリーチャージは独り言めいて呟いた。「ボキはファーザーを信じよう。ルマンドもこんなにくれたし」ゴシップミルはまだ何か食べている。「なあルマンド好きなの?それ手離したら死ぬの?」18

2016-07-04 23:21:32
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ゴツン!「痛ェ!」ゴシップミルが叫んだ。「あ、その辺り一ヶ所だけ天井低いですよ」無邪気な声。後ろでキャヴァリーチャージが爆笑している。「早く言ってよォ!」気を取り直し、彼らは進む。変わり映えしない、狭い通路を。…その時!「イヤーッ!」エーデルヴァイスのシャウト!一体何が!?19

2016-07-04 23:24:36
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「どうした!?」「トラップです!この辺りの壁から、矢です!イヤーッ!」エーデルヴァイスは素早くドス・ダガーを構え、壁に突き刺した!『ピガーッ!』壁に仕組まれた仕掛けが破壊された。「トラップ…!何も無い筈がないと思っていたが、こんなド定番な…!」「他にもあるかもな!」20

2016-07-04 23:27:16
不幸鳥 @hukurou_nayuta

狭く暗いダンジョン。仕掛けられたトラップ。この研修はどうやらただで済まないらしい。「何処に何があってもおかしくはありません…各自対処を!」「任せなエーデルヴァイス=サン…イヤーッ!」キャヴァリーチャージが叫び、手を合わせる。すると、2体。騎馬武者姿の人形が現れた。21

2016-07-04 23:31:14
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「バトル・ジョルリ。何かありゃあ身代わりにはなるだろう」これがキャヴァリーチャージの切り札。それらをエーデルヴァイスの前と、最後尾のキャヴァリーチャージの後ろへ歩かせる。「へぇー。やるな、キャヴァリーチャージ=サン」ゴシップミルが笑う。「当たり前だ。俺をなんだと思っている」22

2016-07-04 23:33:55
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「ああ、こんな有能なニンジャ二人も付けてくれる。ゴッドファーザーは太っ腹だなあ」召喚師は呑気に言った。「そうそう、ゴシップミル=サン。この研修、断ろうとすれば断れたのでは?いえ、普段の貴方ならサボっていました」「行かないと細工してマディソンおばあちゃんしか喚べなくするって」23

2016-07-04 23:37:08
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ゴシップミルも、それなりに行かねばならぬ理由があったのだ。妙な理由だけれど。「誰だよ…つまりあの、ピンクのニンジャとか喚べないのか。ガーディアン=サンを殺した」「ガーディアン?知らんがザ・ヴァーティゴ=サンを喚ぶのもダメだろう」3人は、順調に進む。かのように思えた。24

2016-07-04 23:40:15