「これが本当に最後」昭和の文具「ミッキーナイフ」製造会社が廃業、在庫を集めた文具店に惜しむ声が集まる

時代で変わる、文房具の役割
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昭和の時代に定番だった文房具の『ミッキーナイフ』を製作していた会社が廃業となり、最後の在庫を買い集めたと報告した文具店のツイートが話題だ。

ミッキーナイフ
昭和レトロな雰囲気の折りたたみナイフ

ツイートしたのは、名古屋に店舗を構える「注文の多い雑貨店」(@the_knick_knack)さん。同店の開業時から卸していたというミッキーナイフは、1949年に創業した坪米製作所が製作していた、鉛筆を削るための文具だ。コンパクトな手のひらサイズで、刃の部分は折りたたんで収納できる。昭和期には学生たちの間でも主流だったようだが、簡単で時間のかからない鉛筆削り器の登場により、ナイフで鉛筆を削る人は少なくなっていった。

2023年3月に廃業となった坪米製作所からB品も含めた最後の在庫を買い集めたという投稿に、Twitterユーザーからは「小学生の頃筆箱に入れてたな」「昔々は小中学校の購買で普通にこれが買えたんですよ」など懐かしむ声や「時代の流れとはいえ、寂しいですね」などミッキーナイフを惜しむコメントがあがった。

「注文の多い雑貨店」さんに、ミッキーナイフを卸した理由や思い出のエピソードについて話を聞いた。

ミッキーナイフはお店にとっても「思い出の品」だった 

開業時からミッキーナイフを仕入れていた理由は?

子供の頃、おばあちゃんの引き出しに常備されていたのを思い出し、懐かしくなって仕入れていました。

どういった方が購入していくのでしょうか?

基本的には40代より上の層ですが、店頭POPを読んで買って行かれる学生さんもチラホラいらっしゃいます。売れ行きは地味~にコツコツ、気が付いたら減っている感じです。

来店客やTwitterユーザーから聞いた、印象深いミッキーナイフのエピソードは?

関東ではボンナイフ(※)、名古屋や関西ではミッキーナイフと、地域によって馴染んでいる名前が違っていたことです。

それと、ボンナイフは厚紙を挟んで売られていたらしく、当時の小学生男子はその厚紙を抜いて刃を出やすくしていたそうです。飛び出しナイフみたいに指で弾いて、いかにかっこよく刃を出せるかを競っていたみたいですよ。

(※)…東京都墨田区のボン安全剃刀製作所本舗で製造されていたナイフの名称

時代の流れと共に、その役割が終わったり移り変わったりしていく文具品。最後の仕入れとなったミッキーナイフは、使ってきた人々の懐かしい思い出を蘇らせてくれた。なお、「注文の多い雑貨店」さんにある残りのナイフは、店頭のみで販売される予定だ。ほかにも懐かしさを感じる代物がないか気になった人は、お店をフォローして雑貨巡りを楽しんでみては。

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書いた人
みわんこ

東京下町出身の3人息子のママライター。アマプラと少女漫画とベリアル様(見た目)が好き。

Twitter:@miwancoo