グラフィックデザインのような卵のアート写真が面白い!細部に散りばめられたアイデアの数々を聞いた

グラフィック卵の実写化にしか見えない
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等間隔に並んでいる卵の画像がTwitterに投稿され、反響を呼んでいる。一見グラフィックデザインかのようにも見えるが、実は本物の卵を3時間かけて、手作業で均等に並べて撮影したものなのだ。

どれも本物のゆで卵

大掛かりな撮影風景

写真を投稿したのは、美術作品の撮影を専門としている写真家の森田直樹(@Naoki_M_Photo)さん。配置や接触、影の形まで細かく調整することで、形や配置、影の長さや方向まで同じに見えるように工夫されているのだ。

Twitterユーザーからは「合成かと思うくらいきれい」「これすごすぎます…光の具合に感動です!!」「見えない部分の難しさを想像する面白さが伝わり、とても気に入りました!」など多くの反響があった。

森田さんによると「ゆで卵の写真」は研究のための習作の一つとのこと。ほかにも、同じように等間隔でプレッツェルを並べた作品などさまざまな写真作品を残している。 

同様にプレッツェルを並べて撮った作品

今回、作品作りにあたってゆで卵を用いた理由や製作秘話などを、森田さんに詳しく伺った。

ゆで卵を並べる3時間より30分の片付けの方がつらい

今回の写真を撮ったきっかけは?

被写体について、特にこだわりはありませんでした。何かを並べてパターン構図のような写真を作ろうと決めて、スーパーで撮るものを探していたときに見つけたのが卵とプレッツェルでした。

アーティストのマグリットやエッシャーの作品に、影響を受けてきたという森田さん。今回の作品でも、何かしらインスピレーションを受けたのだろうか?

※ルネ・マグリット…ベルギー出身のシュルレアリスムの画家、エッシャー…だまし絵で知られるオランダの画家

マグリットやエッシャーの影響は反映されていますか?

特別意識したわけではありませんが、ずっと美術に関わっているので、画作りの部分で好みは出ているかもしれません。

ゆで卵を並べる作業で一番苦労された点は?

写真を撮っているときは苦労という感覚がそもそもないですね。一番つらいのは撮影が終わった後の片付けと眠気です(笑)。 
作業に全集中した後は、電池が切れたみたいに一気に体が重くなるので無理やり体を動かさないと動いてくれません。ゆで卵を並べる3時間より、30分の片付けの方がずっとつらいです。

また、あまり共感してもらえないことが多いんですが、何かを夢中で作っている最中に障害に出くわすと、とても楽しくてワクワクしてきます。

ただそんな風に思う自分の方がどうやら変わっているようだと気付いてから、最近は建前上「頑張ってます」って言うことにしています。

写真を研究する目的をお聞かせいただけますか?

目的は何かと聞かれると難しいですが、自分の性格上、作業に使う道具が思い通りに扱えないと嫌なんです。カメラ、レンズ、ライト、それからその他周辺機材まで、とにかく手足のように使えるのが理想です。

自分にとってのカメラや写真は画家でいうところの画材みたいなもので、それを使いこなせないことで気持ち悪い思いをしたくない、というのが目的でしょうか。

マスキングテープをバウムクーヘンに見立てた作品

また、アート撮影に特化したフォトスタジオStudio Jugaad(スタジオジュガール)を経営する森田さん。ただきれいに撮るだけではなく、作品や作家のコンセプトを追求した写真表現を心がけているのだそう。

森田さんは日頃から自身やアーティストの作品などを撮影したものをTwitterに投稿している。

多くのアーティストから作品の撮影依頼を受ける森田さんの写真には、アーティストが作品で表現したい概念やこだわりを大事にする想いが写し出されているのかもしれない。

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