落札後に開けてびっくり!「旧陸軍のトランペット」をわずか520円で手に入れたコレクターの話がスゴい

わかる人にはわかる、超レアな楽器
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戦時中に旧陸軍で使われていたと思われるトランペットを、破格の520円で手に入れたという投稿がTwitter(X)で話題になっている。

もとは“ジャンク品”の扱いでオークションサイトに出品されていた
実際に届いたトランペット。シロウト目にはボロボロにしか見えないが…
実は激レアなお宝だった!

投稿したのは、戦前の国産楽器や軍服のコレクションを趣味とするエンカイ(@enkaizangakki)さん。オークションサイトでたまたまこのトランペットを見つけたが、画像ではジャンク品に見えたため、520円の価格も妥当だと思ったという。

ところが落札後に届いた品物を確認すると、音が出るベルの部分に「陸軍軍楽隊」という刻印を発見。普段から古い楽器を見慣れているエンカイさんは、「旧陸軍で使用されていたトランペットに違いない」とすぐに気づいたそうだ。

☆マークの下に「陸軍軍楽隊」「日本管楽器株式会社」「2602」などの文字がうっすら見える

投稿に添えられた「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」の文言からも、とんでもないお宝を格安で手に入れてしまった驚きぶりが想像できる。

しかも、ためしに吹いてみたらちゃんと音が出たというから、保存状態もかなり良かったのだろう。なんとも希少な逸品…!

ちなみに「陸軍軍楽隊」の刻印の下に記された2602という数字は、戦中まで日本で使われていた神武天皇即位紀元の「皇紀2602年」を示している。和暦に換算すると昭和17年、つまり終戦の3年前にあたる。まさに戦争の真っただ中に製造されたトランペットだということがわかる。

さらに製造したメーカー名も刻まれており、今のYAMAHAの前身であり、“ニッカン”の愛称で親しまれた「日本管楽器株式会社」で作られた楽器で間違いないようだ。

世界と肩を並べるほどの、質の高い楽器を作っていた会社

レアすぎるお宝画像を見たユーザーからは、「博物館とかにありそうな品なのに」「状態良けりゃコレクターのオークションレベルの品」「こういうとんでもない品が、価値を十分わかる方のもとへ納まるのはネット時代の良いところ」などの声が寄せられた。

このトランペットを手に入れた経緯や、古い楽器を集め始めたきっかけになどついて、エンカイさんに詳しく聞いた。

陸軍軍楽隊の文字を見つけたときは大声を上げた

破格値でこのトランペットを入手できたお気持ちは?また、ご自身の査定額はいくらでしょうか?

オークションサイトにて落札した時点では、壊れたトランペットでしかないと認識していたので、ゴミ同然の価格で終了してもとくに何も思いませんでした。

ではなぜ買ったかのというと、(外見には)戦前の「日本管楽器」の製品と思われる特徴があったので、部品取りとして使うつもりだったのです。楽器が届いて、陸軍軍楽隊の文字を見つけた時は大声を上げて驚きました。

自分の査定額的には現状では3万円、修理したら30万円くらいでしょうか。

陸軍軍楽隊用の楽器は50本程しか製造されておらず、本当はもっと珍しいのですが、大金を出してまで欲しがる人も稀なので…。

音を鳴らせることがわかったときの感想は?この時代の楽器で、音が出るのは珍しいのでしょうか?

一応壊れていても楽器は楽器ですので、何となく吹いてみたら音が出て驚きました。3つのピストンバブルのうち、第1と第3が無事だったので、第2ピストンを使わない音は鳴らすことができました。

ただしもちろん出ない音もあり、現状ではちゃんとした演奏には使えないので「演奏不可」の分類になります。

戦前の楽器を買っても9割は「演奏不可」で、まったく音すら出ないのは3割くらいです。

吹奏楽経験者じゃないと、なかなかここまで手の込んだ修理はできない

「戦時中の楽器」をコレクションし始めたきっかけと、それらの持つ魅力を教えてください。

学生の頃は吹奏楽をやっており、さらに元々古い物や歴史が好きだったので、これらの趣味が組み合わさって古い楽器が好きになりました。

日本の金管楽器の歴史は幕末から始まり、楽器を作った職人や吹いていたプレイヤーのさまざまな苦労や進化の歴史があります。ですが、今では忘れ去られてしまっているので、少しずつ資料を集めて調査している次第です。

段々といろいろな事実が分かっていくのが、最近の楽しみです。

古い楽器が持つ歴史を風化させないよう、コツコツと収集活動を続けているエンカイさん。

戦時中のトランペットから聞こえる音色は、いろいろな人の思いを載せた分だけ、現代の楽器の音とはまた違った響きで耳に届くのかもしれない。

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