夜中に天然の落とし穴「やちまなこ」に落下!命からがら抜け出した人に状況や対策を聞いた

落ちるまで存在に気付けなかったという恐怖
5

湿原にできる天然の落とし穴「やちまなこ」に落ちたという人の投稿が、X(Twitter)で話題になっている。

地面にそんなに深い穴が!?

「やちまなこ」とは湿原に自然発生する壺型の深い水たまりのことで、漢字では「谷地(アイヌ語で湿地の意)眼」と書く。環境省が公開している情報によると、深さが3メートル以上になるものもあり、周りに草が生えるなどして見えにくくなっている場合、気づかずに落ちた動物が死んでしまうこともあるという。

そんな「やちまなこ」に落ち「死ぬかと思いました(笑)」と投稿したのは、生き物が好きで日夜フィールドワークに励む大学生のモクズガニ(@crab_banyanya)さん。

画像に写るのは、暗闇の中、背の高い草の生い茂る地面に胸まで埋まり、懐中電灯らしき灯りに照らされるモクズガニさんの姿。モズクガニさんの周囲は草で覆われており、一見してそこに沼があるとは思えない。

投稿を見た人からは「こんなに埋まるのか…怖すぎる」「驚くほどの深さ。これがもう少し穴が大きかったらと思うと、ぞっとします」と戦々恐々とする声が寄せられた。

やちまなこの実際の様子や、落ちた後の対応について、モクズガニさんに詳しく聞いた。

穴の存在に気付けないし、一人では抜け出せない

「やちまなこ」に落ちてしまった時の状況を教えてください。 

午後9時頃、魚を捕まえようと初めて訪れたポイントで池の周りの葦(あし)の茂みを歩いていたら、いきなりズボッと底が抜けて、落ちました。

たまたま腕が草に引っ掛かって止まりましたが、足がつかないくらい深くて怖かったです。胴付き長靴を履いている状態で落ちましたが、膝上くらいまで水があってかなり焦りました。

落ちた瞬間は、落ちたことは分かりましたがなぜこうなったのか状況がよく分からなかったので、とりあえずただただ笑っていました(笑)。

投稿の引用先のアカウントである小宮 春平さん(@ariake538)と一緒に行動しており、助けてもらいました。

私を助ける時にガサっと何か大きな音がしたので振り向いたら、後輩も胸まで埋まっていたそうで、面白かったと言っていました(笑)。

「やちまなこ」はどんな外観・形状でしたか?

もともと池の周りはコンクリートや石組みで固められた護岸(ごがん)になっていて、その延長に土砂が堆積して草が生えている土地になっているのだと思っていました。護岸を歩いていたつもりが、途中で護岸のないところまで来てしまっていたようで、いきなり落ちて驚きました。

夜で暗かったこともあり、歩いている時は穴の存在は分からなかったです。恐らく自分の身長(180cm)以上の深さがあり、かなり深い穴でした。草が覆い被さっていたので横の広さは分からなかったです。

珍しい体験をして感じたことを教えてください。

「やちまなこ」に落ちた際、最初は自力で抜け出そうともがきました。しかし周りは植物が堆積した層だったので力をかけられる場所がなく、一人では抜け出せませんでした。

初めて行くような自然環境、特に水周りはいつ命を落とすか分からないので、訪れる場所の地形を理解するまでは、助け合えるように複数人で行こうと思いました。

池の周りということで普通の人は近づく機会はあまりないかもしれませんが、私みたいに生き物が好きで探し回っている人や釣り人さんなどは落ちる可能性があると思うので、気をつけて欲しいと思います。

実際に「やちまなこ」に落ちた人の話を聞くと、一人では抜け出すことが難しい恐ろしい穴であることがわかる。モクズガニさんの言う通り、水のある場所の回りはいろいろな意味の「落とし穴」があるかもしれないので、慣れない場に行く際は複数人で出かけるようにしよう。

記事中の画像付きツイートは許諾を得て使用しています。