漫画家の佐久間薫さんによる「自分の本を取り置きしたお客さん」へのサプライズに反響!素敵な後日談も

幸せな気持ちをおすそ分けしてもらいました
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漫画家であり、書店員としても働く佐久間薫さん(@sasakumako)がX(Twitter)に投稿した、お客さんとの思わぬ交流を描いた漫画が注目を集めている。

漫画家の書店員
心の中で「著者です…」

佐久間薫さんは、都内の書店で働く中で自身の本をお客さんに売る機会があるという。

佐久間さんはある日、自著である『お家、見せてもらっていいですか(KADOKAWA)』の直筆サイン本を、お店で取り置きしているお客さんがいることに気付いた。そのお客さんは遠方の人で、メモには「発送するか東京にいる家族が買いに来るか考え中」とあった。

佐久間さんが電話でお客さんに確認を取ったところ、お客さんは発送を希望。佐久間さんは発送の場合送料がかかることや、ご家族が取りに来るまで取り置きも可能であるとも案内したが、お客さんは「お金がかかっても、どうしても欲しいので!」と言った。もちろん、お客さんは電話口の相手が佐久間さん本人だとは知る由もない。

お客さんの熱意に感激した佐久間さんは、発送の折に「電話で案内した店員は著者です」というメッセージとイラストを添えたカードを送ったそうだ。

偶然が重なったサプライズ演出に、投稿を見たユーザーからは「そ、そ、それは超〜嬉しいサプライズ」「受け取った瞬間に卒倒しそう」など購入者の気持ちを想像するコメントが相次いだ。

お客様に電話をした時の気持ちや直筆カードを送ったことについて、佐久間さんに詳しく話を聞いた。

「これは何か特典をつけなくては!」と

「どうしても欲しいので」というお客様の声を聞いた時のお気持ちは?

自分の本を購入されるお客様と直接話す機会があまりないので、どうしてよいかわからず…ちょっとこそばゆいような気持ちだったと思います。

でも話していくうちにお客様の真剣さが伝わってきて「ああ、こんなに私の漫画(サイン本)を欲しいと思ってくれる人がいるのか…」と感動し、「これは何か特典をつけなくては!」 と思いました。

イラスト付きカードはどんな内容のものだったのでしょうか?

イラストは漫画の主人公と、そのお母さんを描きました。

文章は「私は書店で働きつつ漫画を描いているのですが、その書店というのはこの店で、電話で話をしたのは私です」というような告白です(笑)。

あとは感謝の気持ちを書きました。本当はもっと色とりどりの凝ったものを描きたかったのですがその日はお店が忙しくて、ほぼモノクロになってしまったのが心残りです。

漫画家兼書店員として、ほかにも思い出に残っているエピソードはありますか?

少し前に新しくバイトで入った大学生の方から「母が佐久間さんの漫画を読んでいる」と聞きました。 (嬉しいですね~。)

そしてさらには「佐久間さんはそこの店で働いているんじゃない?」とも言っていたそうです…!

私が漫画を描いていることは、店のスタッフは知っていますが、お客様には公表していません。ではなぜわかったのか? それは、前作『本屋の堀ちゃん(双葉社 )』という書店が舞台の漫画を描いた時に、うちの店を参考に作画したんですね。

そしたらうちに来ているお客様は「あれ? ここかな」って気付く人もいたのでしょう。 彼女のお母さんもうちの店を利用してくださってたんですね。まだお会いしたことはありませんが、いつか直接お礼を言いたいと思っています(笑)。

後日、なんとお客さん本人から反応が

今回のお話には続きがある。佐久間さんがXで漫画を投稿したあとに、なんと漫画に登場するお客さん本人から佐久間さん宛てに感謝を伝える反応があったのだ。

漫画家の書店員
なんと、電話をしたお客様からメッセージが届いた

「先生。実はその幸せなお客さん私です。先生からの奇跡のサプライズに号泣でした! ありがとうございます!」という文面からも、お客さんの感激っぷりが伝わってくる。

今回、佐久間さんと電話で直接やり取りしたお客様に、イラスト付きカードが届いた時の感想を聞くことができたのでこちらもご紹介する。

購入した漫画はXで一部読んでいて心温まる作品とわかっていたので、「本で続きが読めるんだーっ」とワクワクしながら開封させていただきました。

丁寧にプチプチで包んであり、取り出すと黄色い紙が見えました。「 通販とかでよくあるお店のパンフレットかな? いや? 実店舗さんやから違うか?」と思いながら表を読むと、佐久間先生のイラストと共に「実は書店員もしてまして、あの時電話してたの私だったんですよ」や「嬉しかったです」などのコメントを書いて下さっていました。

まず 「いやいやいやいや、そんな事ある? そんな馬鹿な。ホンマに? 」ってパニックになって、まずそっと伏せてしまいました。

そしてまたそーっと表を向けると、やっぱり佐久間先生のイラストと温かなお言葉が見えて 「こんな幸せなことある? 」と涙が止まりませんでした。

Xにもたまに愚痴ってるのですが、家族のことやら将来の不透明さやらいろいろ不安で押しつぶされそうになりながらも、何とか前向きに真っ当に生きてきて良かったって。「お天道様は見ていて下さってるんだな」って思いました。

作品の力、佐久間先生の優しさ、ありえない偶然が幾重にも重なった最高の奇跡に、生きる気力をいただきました。

お客さん本人からお礼の連絡が届いたことについて、佐久間先生は

Xでは時々こういったミラクルを目にしていましたが「まさか自分には起こるまい」となぜか思っていたのでびっくりしました(笑)。

と同時に、カードを受け取った感想などが聞けて嬉しかったです…!

とコメントしている。

佐久間さんが漫画家兼書店員という立場だからこそ起きた稀有なやり取りに、胸が熱くなった。

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書いた人
みわんこ

東京下町出身の3人息子のママライター。アマプラと少女漫画とベリアル様(見た目)が好き。

Twitter:@miwancoo