古いふすまを処分しようとしたら中から240年前の文書が!ロマンあふれる発見について話を聞いた

思わぬところに貴重な文化財
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古民家のふすまの中から240年前の文書が見つかったという報告がX(Twitter)で話題だ。

古い文書が再利用されていたふすまの下貼り。小麦の穂も見つかった

投稿したのは古民家再生に挑戦している、きびと月の畑(@kibi_tsuki)さん。古民家修繕中に再利用できないふすまを燃やすために裁断していた時、下貼りとして使われていた古い文書を発見したそう。

「天明四 甲辰年」「正月吉事日」などの文字が  (画像提供:きびと月の畑さん)

ふすま表面の上貼りをはがしていく動画に写るのは、めくるたびあらわれる古い文書の数々。木組みの基礎に近付くほど年代が古くなっていき、「天明四 甲辰(きのえたつ)年」とに文字が読み取れるものも。「天明」とは江戸中期の1781年から使われていた元号で、書かれたのが240年も前だということになる。

この投稿にXユーザーからは「物をとことん大事にしていたのが伝わってきた」「むかしの人たちが何を読んで何を書いたりしてたのかも見えてきそう!」と感心する声が集まっている。

ふすまの下貼りから他にどんなものが見つかったのだろうか? 詳しい話を聞いた。

タイムカプセルを開いた時のような気持ちに

ふすまの下貼りから何枚くらいの紙が見つかりましたか?

ボロボロに破れてしまっている文書も含めて、一つのふすまから30~40枚見つかりました。

年代によって何層にも文書が重ねて貼られており、一番下の層は「天明四 甲辰年」と記載されていました。上の層はおそらく大正〜昭和初期かと思われます。

ふすまに貼られた文書をめくるごとに年代が古くなっていったので、タイムカプセルを開いた時のような気持ちになり、この場所で暮らしてきた方々の歴史を感じました。

どんなことが書かれた文書が見つかりましたか?

「三面大黒天」と思われる神様の絵が書かれた版画が出てきました。「大黒天」は農業の神様でもあることから、家主が江戸時代から農民の家系であることが分かりました。

「三面大黒天」は大黒天・毘沙門天・弁財天が三位一体となった姿とされている  (画像提供:きびと月の畑さん)

「條巻貸責帳」(正しい漢字なのか不明)と記載されている文書がありましたが、インターネットで検索しても詳細は分かりませんでした。

「ちりぬるを」と子どもの字でいろは歌の一節が書かれたものがあり、江戸時代の読み書きの練習をした紙かと思われます。

子どもが書いたと思われる文字  (画像提供:きびと月の畑さん)

文書以外に襖の中から小麦の穂が意図的に封入されていました。小麦の表皮は「ふすま」とも呼ばれるのでおそらく縁起物では? と推測しています。

その他は素人では解読できない状態です。

文書に関して今後どのような対応を考えていますか?

 版画や巻物は額縁に入れて古民家のインテリアにしたい思いがありますが、地域の図書館に文化財に詳しい学芸員の方がいると伺ったので近日相談する予定です。

古くから代々大切に住まわれてきた家だからこそ見つかった歴史ある文書の数々。古くから使われているふすまを処分する際は、一度上貼りをはがしてみると思わぬ発見があるかもしれない。

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書いた人
中野ようす

野生のフリーライター。本とお笑いを摂取し日陰で眠り、たまには濡れた犬の匂いが嗅ぎたい。Twitter:@nakano_books