目一鬼は白蛇を恐れる

リエットさん(@rsr28083)の書いてくださった、落ちぬい二次創作です。 今回は尻尾付きとの遭遇のお話? 顛末はどのようになるか。 ぜひお楽しみくださいませ! 続きを読む
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リエット @rsr28083

南西諸島や北方、東方に陣取る連中なんかとは比べ物にならない一級の敵を揃えた敵艦隊を相手に、俺の最大戦力たちは負けじと攻撃を放ち続ける。 徐々に艦隊は損傷を受け始めるも、こちらも敵を一体、二体と討ち取った。 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:06:04
リエット @rsr28083

親玉の尻尾付きを護る様に遮っている随伴どもを確実に剥ぎ取り、奴に迫っていた。 もう少しだ…もう少しで! 両の拳をきつく握る。 緊張と興奮が最高潮に達しようとしていた。 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:06:33
リエット @rsr28083

と、ここで旗艦長門のバイタルサインと艤装の状態シグナルが変わった。 察するに砲撃体制を止め、航行体制に集中し始めたのだろう。 俺はすぐにマイクを掴み、声を飛ばした。 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:07:01
リエット @rsr28083

「長門どうした!?問題発生か?」 「ああ、砲撃戦が熱い!あまりに楽しすぎてどうにかなりそうだ!」 体のみならず人格まで純度100%筋力で構成されていることを悟れる快活な声が返ってきた。 「じゃあなんで航行体制に全振りしてる?尻尾付きが逃げ出そうとしてるのか?」 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:07:46
リエット @rsr28083

「いいや、今こっちに向かってきてる。ゆっくりとな」 尻尾付きが向かってきている それを聞いただけで俺は息を飲んだ 「そうか…だったらテメエは何をするつもりなんだ?」 「ああ、ようやく向かってくるのだから、挨拶をと思ってなっ!」 …別の意味で嫌な汗が流れだした #落ちぬい二次

2016-07-15 22:09:47
リエット @rsr28083

「…おい、まさかぶん殴りに行くんじゃねえだろうな?」 「正解❤」 俺は机から立ち上がり怒鳴り込んだ #落ちぬい二次

2016-07-15 22:10:18
リエット @rsr28083

「馬鹿いってんじゃねえぞ!相手は何十回と他の機動部隊返り討ちにした化け物だっ!いくらテメエがメスゴリラでも今回ばかりは許さねえぞっ!」 本気で言って洒落にならない これだけの激戦の中未だに手の内を明かしてこない奴に殴り込みをかけるなど常軌を逸しすぎている #落ちぬい二次

2016-07-15 22:11:44
リエット @rsr28083

それも対象があの尻尾付きとなればなおさらだ 俺は今にも走り出しそうな長門を必死で止めようとする が、長門はそんな俺の言葉をカラッと笑い飛ばした 「案ずるな提督!ほら、たった今相手の最後の随伴を沈めたぞ。残りはやつ一人…一発デカイ挨拶をかまそうじゃないかっ!」 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:13:33
リエット @rsr28083

そう言うや否や、長門は航行を開始。 尻尾付きに向けて一直線に向かい始めたのだ。 「止めろっ!長門っ!!」 必死の静止に長門は耳を貸さず、艤装の出力を上げ続ける。 文字通りストレートを決めるつもりか。 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:14:10
リエット @rsr28083

「おいメスゴリラァッ!」 「うるさい兵頭!ようやくお前の仇をぶちのめせるんだ…やらせろォッ!」 長門の怒声に俺は舌打ちする。 ばれていたか…いや、先ほどまでの俺の姿を見ていたらそのくらい誰でも察しが付くか… #落ちぬい二次

2016-07-15 22:15:22
リエット @rsr28083

しかし脳筋で好戦的なのは承知だが長門が戦術とリスクをブン投げてこんな暴走をしでかすとは考えてなかった 「さあ尾ひれのついたチビスケッ!この長門の拳を受けろおっ!」 悔いる俺を他所に猛々しい咆哮のごとく気勢を上げて長門は艤装の出力を上げ、尻尾付きに直進し続けた #落ちぬい二次

2016-07-15 22:16:34
リエット @rsr28083

もはや止めようがない。 長門の拳が尻尾付きに通じるよりも、長門に被害が出ないことを祈った。 「邪魔」 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:17:02
リエット @rsr28083

女の声が鮮明に俺の耳に飛び込んだ。 俺はハッとして顔を上げる。 今のは…!? その声が何だったのか考えようとしたその時… #落ちぬい二次

2016-07-15 22:17:40
リエット @rsr28083

ドゴオオオオォォンッッ!!……… ヘッドホンからすさまじい爆音が飛び出す。 余りの音の大きさに俺はとっさにヘッドホンを耳から外すが、慌てて付け直してマイクを右手に掴んで口元に寄せ、長門に通信を試みた。 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:18:36
リエット @rsr28083

「長門ォッ!さっきの爆発はなんだっ!?奴の砲撃か…!!」 「……………」 「おい、長門…!応答しろっ!何があった…!!」 返事が返ってこない。 焦る俺は机の上の機器のモニターに目を移し、そこから状況を把握しようとした。 そして俺は、最悪の状況を見ることとなった。 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:20:12
リエット @rsr28083

艤装状態シグナル…オール0 損傷数値…測定不能 生命バイタルサイン…なし 戦艦長門状況判定…轟沈 …………は? #落ちぬい二次

2016-07-15 22:20:46
リエット @rsr28083

突きつけられた真実に、俺は見ているものを疑い、その場に固まった。 長門が…轟沈…? 長門が…死んだ…? 俺は何を見ている?俺の残された片目は幻を見始めたのか?そう思うと視界の景色は徐々に色を失って白と黒のみが残るようになってきた。 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:22:13
リエット @rsr28083

やはりこれは幻なのか?ならこの目を潰せば俺の前の光景は無くなってくれるのか? そんな凍った感情が俺の全身を駆け巡った。 馬鹿を言うな…あいつは戦艦じゃないか…それにさっきまで脳筋らしく騒いでいたじゃないかあいつは… 私を信じろと俺を気付けてくれたあいつが… #落ちぬい二次

2016-07-15 22:23:03
リエット @rsr28083

いつでも強く、頼もしかったあいつが… こんなただの一瞬で…何かそれらしい言葉を遺すこともなく…簡単に掻き消えるわけが無いじゃないか…!   そうだ…この機械がおかしいんだ… さっきの大きな爆発…あれで消えたのは長門じゃない… #落ちぬい二次

2016-07-15 22:23:55
リエット @rsr28083

俺の目の前に出てるのは電波機器故障による誤報だ…きっとそうだ…そうに違いない… そうであってくれ…! 俺はまたマイクを引き寄せ、向こうにいるはずの長門に呼びかけようとした。 その時、またあの激しい轟音がヘッドホンから飛び出てきた。 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:25:04
リエット @rsr28083

まだ視線を残していたモニターの数値が激しく動き、艦隊の艦娘一人を示す数値が長門のものと同じものとなった。 もう…誤魔化しようが無かった… あいつが…尻尾付きが…長門を殺したんだ…! #落ちぬい二次

2016-07-15 22:25:45
リエット @rsr28083

心と体が奈落に落ちそうになる… だが今、尻尾付きは艦隊の艦娘を一人、長門と同じように殺した。 やつはこのまま艦隊を皆殺しにするつもりなのだ。 撤退命令を出さなくては…俺は提督だ…艦娘の命を預かっているのだ… #落ちぬい二次

2016-07-15 22:26:09
リエット @rsr28083

何とか残ったやつだけでも引き上げさせなくては…! 右手でマイクを掴み、おののく唇の前に持っていき、今生きてるはずの艦娘たちに向けて、撤退の命令を喉奥から振り絞ろうとする… ドゴオオオオォンゴオオンッガアアアンッドゴアアアアァンッーーー!! #落ちぬい二次

2016-07-15 22:26:30
リエット @rsr28083

俺が喉から吐き出す前に四つの爆裂音が鳴り響く… 作戦を指揮するためのモニターに、『轟沈』というメッセージが淡々と墓標のように現れる。 南方の海に、長門たちは悲鳴一つ遺すことなく…尻尾付きに葬られた… 俺は…真っ白になった… #落ちぬい二次

2016-07-15 22:27:06
リエット @rsr28083

提督としてその事実に対処する理性も、長門たちを悼む感情も、このような結果を出すこととなった己の不始末を責める気持ちも、何一つ俺の中で生まれることがなかった。 ただ…呆然とする他なかった #落ちぬい二次

2016-07-15 22:27:35
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