【奉仕する影丸】福間健二 #k2fact148

福間健二 @acasaazul

奉仕するとはどういうことか。風をつくるモーターの音、それがうるさいと言いながらちゃっかり眠って「気持ちいい」液体に溶けていたきみの粘土。歪んだフレームは元に戻らないが、きこえてくる音楽にはつばさがある。飛ぶ夢に未来からの視線がぶつかるよ。（奉仕する影丸１）#k2fact148

福間健二 @acasaazul

動いていること、黒いこと、切りとった部分も変わらない。愛のない話し方に抗議することもなく、親を思う子どもたち。無言で通るトンネルの先の、報いられない低空飛行。朝から考えている。落ちるとき、せめて骨が折れたりしないように。体をひとつにする。（奉仕する影丸２）#k2fact148

福間健二 @acasaazul

昼はタンメン。ラー油をたっぷりかけて。良心とセットのどんな器官を鈍らせているのか。苦手。それは作らないという新しい体育、プランだけならいくらでも言える。影丸は影丸の舌で、きみはきみの舌で。サボリの言い訳にすぎない「苦い人生観」に同調しながら。（奉仕する影丸３）#k2fact148

福間健二 @acasaazul

新しい体育がだめでも、空飛ぶ反警察がだめでも、計画に変更はない。愛によって。人の膝に巻きつくのはそれ以外の動機では「つたわる」にならない。つる性の植物。あるいは雨のしずく。おそれるな。感光すること、発達すること、そしていつか消失することも。（奉仕する影丸４）#k2fact148

福間健二 @acasaazul

なにかあったらお知らせくださいって、どのラインで知らせるのか。待った。待ったことを後悔しない影丸だ。投げておくわけにもいかない砂を部屋に運び込んでドアを閉める。仕事、やるのも、やっているふりというのもつらいが、盗まれた芽、雑草ならまた出る。（奉仕する影丸５）#k2fact148

福間健二 @acasaazul

パッと消えて数分後には塩豚どんぶり食べおわっている。それだけの忍術。歌わないアジア、いまは少しだけ消えて、外からの指示を待たずに胸の大箱あけて空気を灰色にする影丸がきみの好きな影丸だ。コーヒーを注文するきみ、敏感になってきた。目に情を含んで。（奉仕する影丸６）#k2fact148

福間健二 @acasaazul

きみを見つめる。きみの手をとる。きみを抱きしめる。きみなしには生きていられないと言う。一本足で立つ。片膝をつく。両膝をつく。資料はシベリア鉄道経由でちょっと古いが、これが影丸の求愛だ。鳥がたくさん落ちて死ぬ。その羽を始末するのが先だったけど。（奉仕する影丸７）#k2fact148

福間健二 @acasaazul

毎晩こんなことをしているの？　何のことかな。わかっているでしょう。トラックで運んだ死体防腐材料の横に寝て天井を見つめた。火薬の匂い。幼年と老年を同時に生きる。退屈はしない。ただひとつ問題なのは、この花火のしずくをきみに飲ませてやれないことだ。（奉仕する影丸８）#k2fact148

福間健二 @acasaazul

ここまで来ると、どの暗黒面も逃げきれない「おろかなる私たち」を笑うためのものじゃない。救いはないってこと。カビのついた帽子をかぶって出かける前の、それを言うだけの不満顔。「私たち」のひとりはピアノを弾く。影丸は三味線。糸が切れても仲はいい。（奉仕する影丸９）#k2fact148

福間健二 @acasaazul

きみは窓から覗く。アジサイの花が残っていて、演奏をつづける影丸が奥にいる。失うこと、片付けること、得意になって、走り去るものにやさしい術。抽象的な乗り物で自分も移動してきたのだ。さあ日本に着いた。掃除機、洗濯機、うるさい順に先に降りている。（奉仕する影丸10）#k2fact148