【マーク・ウィズ・ア・テンセイ】#1

アジャイトー @agito710515

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KABOOM！背後で大きな爆発が起こり、爆風が二人の体を押した。「グワーッ！」「急ぐバル！すぐそこまで来てるバル！」体を植物の葉で覆い尽くしたそのニンジャ、ハーバルは、自分を背負っているニンジャを捲し立てた。「分かっている！」 1 #agatxt

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ハーバルを背負ったニンジャ、アジャイトーは大声で答え、走り続けた。「急ぐバル！あ、そこ右バル」「イヤーッ！」アジャイトーはもはや返事もせず、右へ急カーブし跳んだ。背後では断続的に爆発が続き、罪なき市民が巻き添えを食らっていた。 2 #agatxt

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【マーク・ウィズ・ア・テンセイ】#1 #agatxt

アジャイトー @agito710515

「イヤーッ！」アジャイトーはハーバルを背負いながら、狭く入り組んだ路地の中を駆ける。「あともう少しで回復するバル。もうちょっとバル！」「よし、イヤーッ！」走りながら、アジャイトーは己が置かれた状況を整理する。遡る事、30分と少し。 3 #agatxt

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ネオショーナンを通る電車は、様々な主要ビジネス街も通るため満員状態だった。アジャイトーはやや大きめのエナメルバッグを、邪魔にならぬよう体に密着させた。もう少し遅い時間に乗ればよかったと後悔しながら、メタルフレームの眼鏡の位置を正した。 5 #agatxt

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彼が目指すのは、ネオショーナンの海辺の小高い山の上にある廃墟だ。かつて教会だったその場所に、アジャイトーが感謝の意を伝えたい人物がいる。知り合いの助けを借り、彼はその場所を知り、こうして電車で向かっているのだった。 6 #agatxt

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ガタタン。電車が揺れる。目的地にはまだ遠く、アジャイトーは普段の仕事の事を考えながら暇をつぶした。ニンジャとなった彼はヤクザのヨージンボとなる事もあるが、モータルに紛れている時の彼の仕事は、ウキヨエ師であった。 7 #agatxt

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ニンジャとなって以来、アジャイトーは新たなものを生み出す事ができなくなった。だが、ネオサイタマでは既製品を模したウキヨエを使ったビジネスもあり、彼は（非常に不本意ながら）そういうもので金を稼いでいるのだった。 8 #agatxt

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ガタタン。電車が揺れる。線路が劣化しているのだろうか？揺れが多い。ガタタン。また揺れる。「？」アジャイトーが微かに疑問を感じていると。キィーーーッ！電車が急停止し、乗客が一斉にバランスを崩した。アジャイトーはニンジャ器用さによりバランスを保つ。 9 #agatxt

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「な、なんだ？」「事故？」「アイエエエ遅刻！」乗客たちが騒つく。ガタタン。揺れは断続的に続く。異常事態を察したアジャイトーは感覚を研ぎ澄ませる。電車の中…。（いや、車内じゃない。外か？）アジャイトーはニンジャ聴覚で電車外を探る。 10 #agatxt

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ゴオオ…。強い風の音。ガタタン。続いて揺れ。ゴオオ…。また風の音。ガタタン。揺れ。その反復は、徐々にこの電車へ近づいていた。そして風の音に混じり聞こえてくるこれは…カラテシャウト！「な…」その時！KABOOM！背後で突然の爆発！ 11 #agatxt

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車輌に大穴が穿たれる！「アイエエエ！？」「アバーッ！」爆発の衝撃をまともに受けた乗客たちが死亡！生き残った乗客たちはパニックに陥り、車内が小規模なアビ・インフェルノ・ジゴクと化す！「イヤーッ！」アジャイトーは窓を突き破り車外へ脱出！ 12 #agatxt

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「ヌゥーッ」爆発の衝撃はアジャイトーにも届いている。アジャイトーは線路上で、痛みをこらえ身を起こそうとする。その時！「ンアーッ！」「グワーッ！？」上から降ってきた何者かに体を押しつぶされる！顔に触れたその体は、カサリ、カサリと不思議な感触がした。 13 #agatxt

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「うーん…」その者が身を起こす。「あの」下敷きになったアジャイトーが話しかけようとすると、「うわぁッ！」その者は跳びのこうとし、失敗して転んだ。「痛…足が…」落ちた時だろうか、その者は足を怪我していたのだった。いや、足よりも注視すべきはその身体だ。 14 #agatxt

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アジャイトーが目を見張る。その者の身体は、不思議な事に植物の葉に覆われていたのだった。「ああ、まずいバル…」その者が深刻そうに呟くと、その者の背後、スクラップと化した電車の上に新たな影が現れた。「鬼ごっこは終わりにしようぜ、ハーバル＝サン」 15 #agatxt

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ハーバルと呼ばれたその者は、険しい顔で振り返る。スクラップ上の影がアジャイトーを見ながら言う。「ア？なんだ、生き残りがいるじゃねえか。ドーモ。テンペストウミウシです」影はそうアイサツすると、「死にな！イヤーッ！」奇妙な四角いクナイを投擲！ 16 #agatxt

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「しまっ…」「イヤーッ！」ハーバルが動くよりも先に、アジャイトーはクナイへ真っ直ぐ跳んだ！クナイとすれ違う一瞬で持ち手を掴み、一回転してテンペストウミウシへ投げ返す！「何！？イヤーッ！」テンペストウミウシはすんでの所で頭をひねり回避！ 17 #agatxt

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KABOOM！上空でクナイが爆発！「なるほど。さっきの爆破は貴様か」いつの間に着たのか？既にニンジャ装束を身に纏っていたアジャイトーがそう言い、オジギした。「ドーモ。ハーバル＝サン。テンペストウミウシ＝サン。アジャイトーです」 18 #agatxt

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「…アジャイトーだと？オイオイ、なんでニンジャが紛れてやがる？」「…ドーモ、ハーバルです」気まずげなハーバルのアイサツが終わった直後！「「イヤーッ！」」アジャイトーとテンペストウミウシは同時に動き出した！ 19 #agatxt

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テンペストウミウシは爆破クナイを3つ投擲！アジャイトーは…ハーバルの元へ！「アイエッ！」驚くハーバルを乱暴に担ぎ上げたアジャイトーはそのまま全力疾走！KABOOOOM！背後で爆発！「何ィーッ！？」テンペストウミウシは動揺しつつ後を追う！ 20 #agatxt

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「助けてくれるバル？」ハーバルが不安そうにアジャイトーに尋ねる。「…」アジャイトーは返答に躊躇した。自分でも何故助けたのかよく分からない。「待ちやがれーッ！」背後からテンペストウミウシの声！「…今はとにかく逃げる！」アジャイトーはそれだけ言い、走り続けた。 21 #agatxt

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