先生と呼ばれた提督

ひょんなことから、艦娘の識字率を知った提督は、勉強をいろいろと教えることになる。
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同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

私たち大人は、君達から大切な青春を奪って戦線を支えてきた。だからせめて、その埋め合わせになればいい。そう、思ったんだ。

2016-07-25 18:56:35

私は、文字を教えることにした

同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

提督「電、あなた字が読めないの!?」 電「は、はい」 提「はい、って……。艦隊戦ってすごい複雑じゃないの。教本とかどうしてたの?」 電「そ、促成なので教本はほとんど使ってないのです。艤装は感覚で動かせるし、複雑なところは妖精さんが助けてくれるのです」

2016-01-16 22:21:53
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

提「妖精さん……ってそんな便利な仕様だったかな……。じゃあ、学校とかは?」 電「行ったことないです。促成組だと、行ったことのある子の方が少ないのです」 提(人事部め……経歴が欠けだらけだと思ったらそういうことか)

2016-01-16 22:28:49
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

響「空襲でほとんどなくなっちゃったからね。ましな施設から徴用された子には読める子もいるけど」 電「響は、字読めるんでしたよね?」 響「うん、小さいころに教えてもらったんだ」

2016-01-16 22:39:55
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

提「もしよかったらだけど、私が読み書き教えようか?」 電「ふぇ?」 提「もちろん余暇を利用して……ってことになるけど。もしできるようになれば、きっとこの先役に立つよ。本を読んだり、手紙を書いたりして、自分の世界を広げることにもなる」

2016-01-16 22:51:40
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

電「わあ、いっぱい本が読めるようになるのですね…って当たり前なのです」 提「そう! 当たり前に読めるようになるんだよ!」 電「わたし、やってみたいのです!」 雷「あ、いいわね! 私もやりたいわ」 暁「あ、暁もやっても…いいかしら?」

2016-01-16 23:04:56
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

「「教えてください! せんせい!」」

2016-01-16 23:11:18

ひらがなはむずかしい

同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

提「帝国語にはひらがなと、カタカナと、漢字という三種類の文字があるんだ」 雷「うぇえ? 三つもあるの?」 提「はは、よく言われていたよ。漢字は難しいから、まずはひらがなから勉強しよう」 暁「ひ、ひらがなくらいなら読めるわよ」

2016-01-23 23:18:13
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

提「そうかい? じゃあ”め”と”ぬ”の違いは分かるかな?」 電「? 同じ文字ではないのですか?」 提「これで左の文字はめ、右の文字はぬと読む。ほら、右下のここがクルッとなっているだろう?」 暁「なにそれ!? ちょっとしか違わないじゃない!」

2016-01-23 23:22:52
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

提「ちなみに”あ”という文字もある」 雷「何か棒が増えたわ!」 響「”ゐ”という文字もあるよ。これでいと読むんだ」 暁「いって”い”って書くんじゃなかったの!?」

2016-01-23 23:26:19

私は、無知だと知っている

同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

何かやろうとするたびに、様々な壁にぶつかる。 今運んでいる、書類一つ取ってみてもそうだ。

2016-07-25 19:15:19
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

言語の壁、知識の壁。 自分の知らない言語で書いてあるから、何と書いてあるかわからない。 なまじ読める言葉で書いてあっても、内容に関する知識が基礎すらないから、何のことを書いているのかわからない。

2016-07-25 19:16:50
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

このぺらぺらの紙の上ですら、私に届くのは読めるところまで。知っているところまで。 紙を手でつかむことはできても、文字を目でおうことはできても、そこは私には届かない世界。 私の世界の、外側。

2016-07-25 19:19:17
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

提督に、先生に教えてもらえればかわるのだろうか。 新しい言葉を覚えれば、新しい知識を手にすれば、私の世界は広がるのだろうか。

2016-07-25 19:21:20
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

目の前に広がる未知の世界を、私の世界にできるのだろうか。

2016-07-25 19:21:43