壁打ちまとめB

さみしいなにかを書くから連想したもの
0
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_branch

記憶もなくし変わり果ててしまった唐松の姿を、ようやく立ち直りつつある両親に見せることは決して良いとは言えない、と意見は一致した。  そして彼らは、両親へうしろめたさと重苦しい後悔の念に苛まれながら、兄弟に会いに来る。  更に、唐松はなぜか彼らに懐いた。一番触れる時間の多い市松

2016-08-24 02:23:07
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_branch

は元より、他の兄弟たちにも笑顔を見せた。  欲に最初の時、謝罪しながら水槽の前で泣きだしてしまった市松、じゅうしまつ、椴松に対しては殊更に優しい笑みを向ける。――それは弟たちを庇護対象と見ていた昔のままの態度で、それが殊更に彼らにとっては嬉しいと同時に胸に突き刺さるようだった。

2016-08-24 02:28:26
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_branch

光物が好きで。 音楽が好きで。 妙に恰好をつけていて。 基本的な性格はなにも変わらない。 ただ、自分たちのことをまったく覚えていない。 人魚になったからその喉からは、昔のように歌声が発されることもない。 紛れもなくそれは唐松だったが、もう同じではない。

2017-02-07 00:16:33
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_branch

それを見続けるのが自分たちへの最大の罰であったが――それがいつしか縋るものになってしまったのは仕方がないことなのかも知れない。 そんな日々をおよそ一年。人の手で人魚が飼育下での最長記録が間近に迫ったあくる日、唐松を海に帰すことに決まった。 弱ってきたというのがその理由だった。

2017-02-07 00:22:29