「NHKスペシャル 決断なき原爆投下」の感想と、原爆についての余談。

Nスペ。
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イヌノオー@ @inunohibi

NHKスペシャル | 決断なき原爆投下~米大統領 71年目の真実~ NHKスペシャルの番組公式サイトです。 www6.nhk.or.jp/special/detail…

2016-08-07 09:55:27
イヌノオー@ @inunohibi

「NHKスペシャル 決断なき原爆投下」を見た。原爆で無差別に市街地を破壊し、市民に被害を与えることにこだわるグローブス准将と、なるべく軍事施設に限るよう注意するトルーマン大統領の対比。興味深い作りだったが、やや構図が単純すぎる気もする。

2016-08-07 09:21:45
イヌノオー@ @inunohibi

たとえば、7月16日に原爆実験が成功し、予想以上の威力を見せつけたことで、トルーマンは「原爆でソ連参戦前に日本を降伏させることができる」と期待するようになった。ローズヴェルト前大統領の米ソ協調路線から、戦後を見すえて、ソ連との対立路線にトルーマンの戦略が変化した。

2016-08-07 09:22:51
イヌノオー@ @inunohibi

このように原爆の威力を知っていたトルーマンが、日記に記したように「女や子ども」を巻き込まないように使えると本気で信じていたのだろうか。「トルーマン伝」の作者デビッド・マッカラフは、これはトルーマンの「天性の楽天主義の表れ」か、「自己欺瞞」か、疑問だらけだと述べている。

2016-08-07 09:23:10
イヌノオー@ @inunohibi

(荒井信一「空爆の歴史」163~164ページ)

2016-08-07 09:24:13
イヌノオー@ @inunohibi

ちなみに准将というのは、軍隊の階級で上から5番目になる(元帥、大将、中将、少将、准将の順番)。軍の官僚的組織が出来上がることで、実務を担当する中堅幹部たちが勝手に作戦計画を作り、軍事に詳しくもない政治家は承認を与えるだけになった構図が見える。

2016-08-07 09:25:15
イヌノオー@ @inunohibi

日本でも「族議員」のように、各省庁の官僚が開く勉強会などで洗脳された政治家が、官僚の口真似であれこれ主張するというのはよくある。選挙で当選したり落選したり、世論に左右されて立場の不安定な政治家よりも、官僚のほうが専門に関してよく勉強しているため、

2016-08-07 09:25:49
イヌノオー@ @inunohibi

官僚によって政治家が操作されるわけである。

2016-08-07 09:26:06
イヌノオー@ @inunohibi

グローブスという悪魔的人物一人の問題ではなく、肥大した官僚組織の普遍的な問題を見るべきだろう。

2016-08-07 09:27:09
イヌノオー@ @inunohibi

余談だけれども、Nスペの冒頭では、「例の」という具合に「原爆投下が、戦争終結を早めて多くの命を救った」というアメリカ人の理屈を流していた。これは、どうも原爆開発計画や作戦立案の時点では全く見当たらない理屈で、投下後のトルーマン大統領の国民向け演説に、唐突に出てくる。

2016-08-07 13:39:06
イヌノオー@ @inunohibi

しかも当時は「卑劣な真珠湾攻撃と、捕虜殺害」への報復として語られていたのが、のちには「日本人の命も多く救った」という理屈が付け加わる。それをやっていたのがよかった。一時的な復讐心や熱狂、日本人に対する蔑視が薄れれば、原爆投下は民間人の被害が大きすぎて「報復」というには苦しい。

2016-08-07 13:40:07
イヌノオー@ @inunohibi

またこれは、一面的な理屈はどうにでもくっつけられることを痛感する。放射能の後遺症に苦しむ広島・長崎の人たちを知れば、「多くの命を救った」などというのは詭弁に過ぎないと直感的にわかるのだけど、彼らは意識的・無意識的に知ろうとせず、自分たちの狭い理屈に閉じこもる。

2016-08-07 13:40:37
イヌノオー@ @inunohibi

(原爆が「日本人の命も救った」といわれるようになった過程については、荒井信一「戦争責任論」も参考になる。)

2016-08-07 15:05:04
イヌノオー@ @inunohibi

ちなみに、1945年2月、英米の連合軍がドイツのドレスデンを爆撃した時、アメリカ国民からは、その軍事的必要性や倫理的正当性について、疑問の声も上がった。もうほとんどドイツの負けが決まっている情勢で、さらに民間人に被害を与えていいのか、と思われた。

2016-08-07 15:45:04
イヌノオー@ @inunohibi

ところが日本への原爆投下の際は、わずかな教会関係者などを除いて、アメリカ人から疑問や抗議はなかった。カール・スパーツ大将は、「ドイツ人は我々を爆撃することはなかった」「最初に真珠湾攻撃を仕掛けてきた日本人に対しては、ドイツを爆撃するのと違った熱意、

2016-08-07 15:45:35
イヌノオー@ @inunohibi

違った感情を持っていた」と説明している。(田中利幸「空の戦争史」235ページ)

2016-08-07 15:45:53
イヌノオー@ @inunohibi

しばしば原爆投下には、白人の人種偏見と差別があった、といわれるが、こういう背景にも注意する必要がありそうだ。白人がなぜ黄色人種や黒人を差別したかと考えたとき、「白人が悪い心を持っていたから」では何の教訓にもならない。

2016-08-07 15:46:30
イヌノオー@ @inunohibi

そして、「黒人は怠けてまじめに働かない」といった偏見や差別は、現代においてもよみがえり、同じ差別が繰り返されることになっている。

2016-08-07 15:46:43
イヌノオー@ @inunohibi

空爆の歴史―終わらない大量虐殺 (岩波新書) 荒井 信一 amazon.co.jp/dp/4004311446/… @amazonJPさんから

2016-08-07 13:53:30
イヌノオー@ @inunohibi

戦争責任論―現代史からの問い (岩波現代文庫) 荒井 信一 amazon.co.jp/dp/4006001460/… @amazonJPさんから

2016-08-07 15:05:36
イヌノオー@ @inunohibi

空の戦争史 (講談社現代新書) 田中 利幸 amazon.co.jp/dp/406287945X/… @amazonJPさんから

2016-08-07 15:47:26

追加

イヌノオー@ @inunohibi

ハリー・トルーマン大統領について、原爆投下を「部下が勝手にやったことだ」と責任逃れしなかったことは、評価できる。それは彼の政治的ポリシーだった。トルーマンの大統領執務室には、「責任はすべてここにある」という標語が飾られていたという。

2016-08-08 23:06:48