- ShinShinohara
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今年、和歌山のすさみで印象に残ったこと。生き物が少なすぎる。私が小学生の時、すさみに初めて行ったときの印象は「溢れんばかりの生命」。引き潮の水溜まりには小エビと小魚がひしめき、ヤドカリは私の影で転げ落ち、巻き貝はいくらでも取れた。 pic.twitter.com/i1vUHM5P3V
2016-08-07 20:31:50波打ち際には海草がたくさん打ち上げられ、磯の香りが鼻をついた。それも、何キロも先から。近隣の釣り餌の店は床が真っ黒で、足を踏み入れると黒が足の形によけてコンクリートの地肌が見えた。フナムシでビッシリだったのだ。磯にもフナムシは多く、逃げ足の速いその大群を追いかけて遊んだ。
2016-08-07 20:35:20しかし。たくさんいたはずのカニもいない。ヤドカリは探さないと見つからない。巻き貝は生きているのを見つけられなかった。小エビは完全に絶滅状態。小魚がわずかに。何より不気味なのは磯の香りがしないこと。海辺に立っても感じない。数キロ先から「海が近い」と感じさせた、あの強烈な臭いが。
2016-08-07 20:37:38磯の臭いはジメチルスルフィドという物質が、腐敗した海草から発することで生まれる。肝心の海草が全く打ち上げられていない。流木やゴミはいくらでも打ち上げられているのに、海草は蒸発したかのように。同行した子供がたまたま発見した、という程度。
2016-08-07 20:39:41海には海草も生えていない。ウニも魚もかつてと比べれば激減。ニナという巻き貝がほぼ絶滅状態だから、それらをエサにする魚がいないのも無理はない。昔は釣糸を垂らしながら座っているその場で、手を伸ばせばいくらでもニナが取れて、エサに使えたのに。
2016-08-07 20:42:41異変に気づいたのは2000年代から。その時思い起こすと、80年代後半からフナムシが消えたことに気がついた。90年代半ばから、磯の香りが弱くなった。そして2000年代に入り、磯の香りがほぼ消えた。同時に海草が打ち上げられなくなり、魚も小エビもニナもカニもヤドカリも消えていった。
2016-08-07 20:45:35全滅したわけではない。フナムシは2センチほどのがたまに見かける。昔は5センチ以上のが数百匹ほどの大群で動き回っていたが。ニナは死んだ貝殻ばかり。ヤドカリは探さないと見つからない。小エビは全く見つからない。小魚はいくつかの水溜まりを探してようやく見つかる程度。全然違う。
2016-08-07 20:48:04私が気にしているのは、「すさみでそれが起きている」ということ。ここは昔から人口が少なく、森林も手付かずの天然林が広大に広がる場所。最近、生活排水をきれいにしすぎて栄養塩が減り、海が貧困化しているという説が有力だが、それは都市近郊の河口付近の話で、すさみには該当しない話。
2016-08-07 20:50:51人間界の直接的影響がほとんど及んでいないはずのすさみで、海草から根こそぎ生命が失われている。磯の臭いもしないほどに。 磯の臭いは、意外にも自覚されにくい。地元民は鼻が慣れて磯の臭いの変化が分からない。都市から出た人間が意識していないと、気づきにくい。
2016-08-07 20:53:08すさみはもう40年近く定点観測しているから間違いない。そして、磯の香りが失われたことは、大阪回り、三重回りの海岸線のいずれでも確認される。少なくとも紀伊半島全体から、かつての強烈な磯の香りが失われている。それはすなわち、生命の源である海草がないということだ。
2016-08-07 20:55:20何が原因なのだろう?紀伊半島全域だとすれば、容易な変化ではない。かなり巨大な変化だ。海から生命が失われている。何が起きているのだろう?磯の臭いが失われる変化が起きてからすでに16年は経っている。その間にも打ち上げられた海草は減り続け、今年は砂漠のようだった。
2016-08-07 20:57:55「磯の臭い」は、出張で海辺近くに行く時に注意しているが、中学生の頃(80年代前半)まで感じていたあの磯の臭いのするところはもうない。海辺に立ってわずかな磯の香りを感じる程度。日本全国、磯の香りが失われている。
2016-08-07 21:39:38×ジメチルスルフィド
◎ジメチルスルホキシド