サイバー・スレイヤー　【二殺目・ラクシャーシー】

劉度 @arther456

「ドーモ、ラクシャーシー＝サン。ニンジャスレイヤーです」「ドーモ、ラクシャーシーです。逃げ回っているかと思ったのに。勇ましいことだねぇ」「逃げ回る？オヌシを後回しにしていただけの話よ。動かぬ獲物は陸に打ち上げられたマグロよりも殺しやすい」23

劉度 @arther456

「アブラクサスにタマ・リバーへ叩きこまれたサンシタが、よく吠える」「カラテを一発も当てられなかったオヌシが言えたセリフか？」「……ッ！」ラクシャーシーはギリ、と歯を鳴らした。確かにあの時、ラクシャーシーは一撃もカラテを叩きこめなかった。だが今は違う。それを思い知らせてやる。24

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「既にダイヤシュラ＝サンはジゴクへ送った。奴が席を用意している。そこまで送り届けてやろう」「ハッ！だったらその席には……」ラクシャーシーは両手両足のサイバネを起動させた。「アンタが座りなッ！」強化筋肉による踏み込みで、一気にニンジャスレイヤーとの間合いを詰める！25

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「イヤーッ！」鉄板をも貫くチョップ突き！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは掌打で軌道を反らして回避！「イヤーッ！」続いて挟み込むような水平チョップ！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーはブリッジ回避！更にサマーソルトキックを放ちつつラクシャーシーから距離を取ろうとする！26

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「イヤーッ！」ラクシャーシーは斜め前方に倒れこみサマーソルトを回避！前転しながら腕の力で跳躍、立ち上がったニンジャスレイヤーにロケットめいたトビゲリを放つ！「イヤーッ！」致命的トビゲリをサイドステップ回避したニンジャスレイヤーは、ラクシャーシーへスリケンを投擲！27

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「甘いっ！」ラクシャーシーはスリケンを義手で弾いた！「スリケンで殺せるサンシタだと思うな！イヤーッ！」再び踏み込み、ニンジャスレイヤーにワン・インチ距離からカラテを挑む！「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」28

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チョップを主体としたラクシャーシーの攻撃は苛烈、ニンジャスレイヤーは避けるのが精一杯のように見える。「……チィーッ！」だが、ラクシャーシーは十数度の打ち合いの後、距離をとった。全て見切られている。このまま続ければ、以前の戦いのようにカウンターを受けるだろう。29

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「いつまで未熟なカラテを振るうつもりだ。隠し玉を出すがよい」「……知ってるのかい？」確かに、ラクシャーシーには奥の手がある。だがそれをニンジャスレイヤーに見せた覚えはない。「オヌシら５人の事は徹底的に調べてある。私に分からぬことがあると思うな」30

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「そうかい」どうやら、出し惜しみする必要は無いようだ。ガコン。ラクシャーシーの右の義手の一部が外れ、床に落ちる。そこから、指の太さほどもある、強化繊維の鞭がだらりと垂れ下がった。「抜かせたね。アタシに、鞭を」ラクシャーシーの目付きが、変わる。31

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鞭がしなり、蛇めいてニンジャスレイヤーに襲いかかる！「イヤーッ！」横薙ぎをニンジャスレイヤーは屈んで回避！鞭はソファに命中し、いともたやすくこれを破壊！「カモン・レッド・スネーク！」ラクシャーシーが雄叫びを上げ、サイバネ鞭が破壊の暴風を巻き起こす！32

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ラクシャーシーの義手に仕込まれた鞭は、サイバネ神経に接続されており、彼女の意志によって自由自在、いや、それどころが通常の鞭の範囲を超えた動きを見せる。本来なら叩くことしかできない鞭が、空中で静止し、頭上からニンジャスレイヤーを突き殺そうとする！33

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーはこれを感知、鞭先が眉間5cmまで迫った所で、これを掴みとった！このまま鞭を引きちぎろうと、ニンジャスレイヤーは拳に力を込める。その瞬間、鞭と彼の体を黒い不浄の炎が覆った！「グワーッ！？」思わぬ攻撃にニンジャスレイヤーは鞭を放してしまう！34

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「ハッハッハッ！どうだい、自分の炎に身を焼かれる気分は！」UNIXに封じたナラク・ニンジャのソウル由来の不浄の炎だ。ニンジャスレイヤーはワーム・ムーヴメントで地面を転がり、体に纏わりついた炎を消す。そこに、地を這うラクシャーシーの鞭が迫る！35

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「イヤーッ！」「グワーッ！」丸太で殴られたかのような衝撃が、ニンジャスレイヤーに叩きつけられる！ダメージに耐え、ニンジャスレイヤーは立ち上がり、追撃の鞭を避ける！KBLAM！鞭はカウンターバーを粉砕！破片がニンジャスレイヤーに襲いかかる！36

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ニンジャスレイヤーはこれをチョップ迎撃！同時に反対の手でスリケンを先制、ラクシャーシーに投擲！「チイッ！」ラクシャーシーはこれを避けるが、鞭の軌道が乱れた！「イヤーッ！」僅かなブレ。それを見逃さず、ニンジャスレイヤーは鞭を踏みつけ、止めた。37

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「イディオットめ！」ラクシャーシーはすぐに鞭に不浄の炎を送り込む。炎がニンジャスレイヤーを包み込んだ。だが、ニンジャスレイヤーは鞭から足を離さず、燃やされながら鞭を両手にしっかりと握りしめた。「なっ……！？」「イイイ……」ニンジャスレイヤーは両腕に力を込める！38

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「イイィィャァーッ！」カラテシャウトと共に、ラクシャーシーの体が浮いた。鞭ごと振り回された彼女の体が、壁に叩きつけられる！「グワーッ！」「イヤーッ！」再びニンジャスレイヤーが腕を振り回す！ラクシャーシーの体は鎖分銅めいて酒棚に突入！「グワーッ！」39

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「イヤーッ！」三度、ニンジャスレイヤーは鞭を振るう！「イ……イヤーッ！」だが、空中で鞭がラクシャーシーの腕から切り離された！緊急パージだ！更に両足のサイバネ義足から、隠しタント・ブレードを展開！鞭で投げられた勢いをつけ、ニンジャスレイヤーに蹴りかかる！「死ねェーッ！」40

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しかし、その時既にニンジャスレイヤーは鞭を手放し、ジュー・ジツにおける対空技、ポムポム・パンチの体勢に入っていた。ラクシャーシーは目を疑った。全身を炎に焼かれながら、それを気にも留めず相手への迎撃を考えるなど！「イヤーッ！」「アバーッ！？」41

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天井に蜘蛛の巣めいたヒビが走った。その中心には、カウンターによって両足を砕かれたラクシャーシーが突き刺さっていた。拳から燃え移った不浄の炎が、彼女の体を焼き始める。「ア、アバッ……貴様……」血を吐きながら、彼女は叫んだ。「貴様……何故、その炎に耐えられる！？」42

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ニンジャスレイヤーの体には、未だに黒い不浄の炎が纏わりついている。だが彼は、炎の勢いを押し殺すように言った。「これは私の憎悪の炎だ。焼かれる痛みはオヌシよりもよく知っている。どれだけ耐えられるかもな」43

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パラパラと、天井の破片が地面に落ちる。重力がラクシャーシーの体を引いている。「オヌシの負けだ、ラクシャーシー＝サン。ハイクを読め！」「アバッ……燃える……アタシが、燃える……！」不浄の炎に身を焼かれ、もがきながら、ラクシャーシーは譫言を呟いた。44

劉度 @arther456

ラクシャーシーの体が、天井から剥がれて落下した。落下地点にいたニンジャスレイヤーは、サマーソルトキックを放ち、ラクシャーシーの首を刈り取った。「サヨナラ！」ラクシャーシーは爆発四散した。不浄の炎はニンジャスレイヤーの体の中に吸い込まれるように消え去った。45

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劉度 @arther456

目の前の道路を消防車や救急車が駆け抜けていく。どこかで火事があったようだ。自販機の前でその様子を見ながら、少女ドロイドは人を待つ。彼女をここに待たせている人を。やがて、消防車が走り去っていった方向から、男が少女に向かって歩いてきた。47