サイバー・スレイヤー 【二殺目・ラクシャーシー】

ガンダルヴァ=サンとかいうもっと酷いのがいるからまだ大丈夫
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劉度 @arther456

男の手にはニンジャの生首が掴まれている。だが少女は怯えた素振りを見せない。しかし男は、以前とは違う反応を読み取っていた。以前、この少女は生首がどういうものか理解すらできなかった。だが、今は理解した上で、それでも恐怖を感じていないように見えた。48

2016-08-08 23:18:03
劉度 @arther456

男は以前と同じように、少女ドロイドと生首をLANケーブルで繋ぎ、データを送り込む。男が何かを操作する必要はない。バシリデス特製のこのオイランドロイドには、彼のカラテドレインで吸い上げたソウルを自動で回収、統合するソフトウェアがインストールされている。49

2016-08-08 23:21:07
劉度 @arther456

ソウルのデータ化とインストール。ヨクバリ計画でリー先生が発明した技術とコンペを行ったものだと、バシリデスは言っていた。それが本当かどうか、この2度目のインストールで分かる。男は、異常発熱により発火するラクシャーシーの生首を見つめる。50

2016-08-08 23:24:02
劉度 @arther456

少女ドロイドの足元がふらついた。倒れるのか、と思った男は思わず手を差し伸べたが、ドロイドは自分の足で踏み止まった。そして男の顔を見る。その目には、一瞬前までは見当たらなかった理性と自我が宿っていた。「……フ、ジ……キド?」少女の口が言葉を紡ぐ。51

2016-08-08 23:27:01
劉度 @arther456

男――フジキド・ケンジは、少女の声に耳を疑った。ソウルを1つ入れた時は、このオイランドロイドは動きこそしたものの、言葉を発さなかった。それが、まるで人間のように喋ったのだ。しかも、彼がドロイドに一度も伝えたことのない名前を。「……ナラクか?」52

2016-08-08 23:30:10
劉度 @arther456

フジキドの問いに、少女は少し首を傾げて考えてから、両手を合わせてアイサツした。「ドーモ、フジキド・ケンジ=サン」フジキドはしばし動きを止め、それから震える手を合わせて、アイサツを返した。「ドーモ、ナラク・ニンジャ=サン。フジキド・ケンジです」53

2016-08-08 23:33:02
劉度 @arther456

【二殺目・ラクシャーシー】おわり 【三殺目・ワームトキシン】に続く

2016-08-08 23:34:05
劉度 @arther456

流石に11時超えると長いな……。

2016-08-08 23:45:11