「ネクロマンティック・フィードバック」 #3

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

もぬけの殻となった対策室で唯一人、長机に行儀悪く腰を下ろす中年男が一人……シンゴ・アモである。背中を丸めた彼はホワイトボードの殴り書きを暗い湖めいた瞳で睨みつける。ニュービー・マッポが入室し、ボードの字を消しにかかるが、「カエレ!」シンゴが一喝すると、静かに失禁して退出した。

2011-02-13 21:36:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

署に帰ったシンゴを待っていたのは、バーナー殺人事件捜査本部の一方的な解散の知らせである。深夜に起こった大量殺人事件と同様、唐突な幕切れの通告……上層部の政治的判断だ。シンゴのような兵隊には預かり知らぬ、理不尽な権力が介入したのだ。

2011-02-13 22:04:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だが……シンゴはホワイトボードの殴り書きを睨みつける。アンコ入りセンベイ・クランチを噛みながら。「タバタ……待っとれよ」殴り書きは、バーナー・キラー、「ウィルオーウィスプ」と名乗ったあのニンジャめいた殺人鬼の、これまでの犯行地図だ。

2011-02-13 22:52:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

五分程そうしていただろうか。シンゴはようやく立ち上がると、クマの浮かんだ落ち窪んだ目で前方を凝視、署の廊下を歩き出す。すれ違う同僚は気まずい視線を送るだけで、彼に声をかけはしない。それはそうだ。かける声など、ありはしない。

2011-02-13 22:57:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シンゴは太った体を揺すり、地下の武器庫へ続く階段を降りる。「ドーモ」管理室の老人に冷たくアイサツし、シンゴは武器庫のカーボンフスマを開いた。「来ちまったかあ、止めても仕方ないのかねえ」管理人の老人が頭を掻いた。「……」「タバタは可哀想だったよ、だがねえ」「……」

2011-02-13 23:09:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

比較的治安の良好なトコシマ地区であっても、武器庫は充分に危険な場所である。暴徒鎮圧兵器や突入用重火器だけでなく、凶悪犯の使用した偏執的武器やヤクザから押収した凶器までが、どういうわけか納められている。シンゴはバイオバンブー製の陳列ラックの奥へ歩いていく。

2011-02-13 23:15:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おい、シンゴ=サン、本気なのか?」手にした武器を見た管理室の老人が問う。「本気だとも」シンゴは平静に言った。

2011-02-13 23:18:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ウィルオーウィスプ。一度殺人を行った地域で再度の犯行は起こしていない。一定の距離間隔を確保しつつの犯行。トコシマ地区をまんべんなく巡回するかのように。まだ手のついていない地域は多くない。後はデッカーの勘だ……。

2011-02-13 23:24:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「だが、そんな……何を相手にする?」「……ニンジャだよ」

2011-02-13 23:24:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆ヤクザ記念◆ 親愛なる読者の皆さんへ。昨日はセクションの終わりが入るべきところが横線になってしまうという文字化け現象が起こり、大変混乱させてしまったことをお詫びいたします。 ◆人気投票結果◆

2011-02-14 22:54:32