【ヴァルプルギスの華燭】二日目昼――第二の間

昼フェイズ、戦闘
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《ヴァルプルギスの華燭》管理アカウント @walpurgis_marry

聞こえるか、あの鐘の音が。 聞こえるか、命の潰えるあの音が。 力を持ち、その足で立つならば。 その命の意義を果たさなければならない。 聞こえるか、君の心音が。 君が愛する、或いは求める、その音が。 #ヴァル華

2016-08-11 20:00:02
アルティメット @ultbeelz

はたして―― 柔らかい物体に身を預けて、目を覚ましたのは明け方。 はて、さて。何事もなく一日が始まってしまった。身支度をして鏡で体をチェックして、息を整えて扉を開く。 ――昨夜と変わりのない廊下の光景が広がっていた。

2016-08-11 22:04:15
アルティメット @ultbeelz

特筆して異なる点を挙げればあの人形がいない。 よく見ればこの光景は少し異なっていた。カーテンの模様が違う、絨毯の色が違う、装飾が所々違う。 先の場所とは異なるよな、微妙に違う"世界"だ。 しかしなんとなく分かっている。案内するまでもなく行くべき場所は理解している。

2016-08-11 22:04:24
アルティメット @ultbeelz

はたと肩を竦めて瞬きを数度、たどり着いたのはエントランスホール。 前に玄関口へ来たときはいきなり異空間につながったものだからここをしっかり見た記憶すらないものの、ほとんどつくりは変わらないのだろう。 部屋の中心に伸びる階段の手すりに手をかける。

2016-08-11 22:04:43
アルティメット @ultbeelz

シャンデリアが証明の役割をし、巨大な扉は硬く口を閉ざしている。周囲には荘厳な甲冑や剣が飾られていて、両隣には通路が伸びている。 至って高貴な身分の屋敷、という印象を与える。掃除も行き届いていてしっかりとした頑丈なつくりの壁であることもうかがえた。 多少壊しても問題ないとばかり。

2016-08-11 22:05:55
アルティメット @ultbeelz

撫でていた手すりに腰かけながら、フードを被りなおして笑んだ。 「……待ちくたびれてしまいますよ」 どこともなく、俯いたまま声を上げた。 手に持った身の丈ほどの杖の先端がふらふらと空中を彷徨う

2016-08-11 22:06:25
ヤマナ @akumayamana

戦場へ、廊下より来る人影 「待たせたか、すまぬな」 昨夜と違い、少し高揚した声音(トーン)。 フードの女性に向かって、笑いかける。 「得物は何だ?  杖ってことは、魔法でも使うのか……?」 そして、自らの愛刀を叩く。 「俺はこれだがね。まあ、魔法も使う」 悪魔の術、という事だ。

2016-08-11 22:31:17
アルティメット @ultbeelz

戦場にしては随分と手狭だが、どこより広々としたこの空間は人において御誂え向きだろう。 高揚とした声色に「あぁ」と反応して顔を上げた。 「随分時間を食っていたね、男のくせに身だしなみのチェックか?」 両手に杖を持ちながら。 「これ"も"得物」

2016-08-11 23:14:10
アルティメット @ultbeelz

座り込んだまま、手すりを滑る。体が斜めに揺れながら下層へとたどり着く。 今の今まで女人がいた場所に、音もなく蜘蛛が天井よりぶら下がってくる。 眼を合わせることもなく、その腕を食らおうと口を開いていた。 「これが得物。むしろこれが吾(わたし)の武器、妾(わたし)のすべて」

2016-08-11 23:14:30
ヤマナ @akumayamana

「 ”わたし” が二人もいるらしい」 刀を引き抜く、そして、真正面に構えた。 「蜘蛛の糸は、善人を救う糸だという  さて、では俺のような悪人は、捕らえられぬかな?」 からかうように言った。 そのさなか、ヤマナの足元から前方に向かって水たまりが伸びていた。

2016-08-12 11:25:45
アルティメット @ultbeelz

「"我々"は二つで一つ。その本質は吾が真で妾は偽だが。  あぁ、だが妾の真意は相違無いし、叶うなら"つがい"もほしい」 あっけらかんと吐き捨てるように嘲りながら、刀を構える"悪"を見上げた。 「善行を為す蜘蛛の糸には程遠いが、実態があるなら捕らえることは容易いだろう?」

2016-08-12 22:02:25
アルティメット @ultbeelz

彼の足元に水が伸びるのは察知していた。蜘蛛も装飾も互いが理解している。 だからなんだと云う話でもある。蜘蛛は天井よりぶら下がったまま糸を吐いた。同時に女人も杖を振るえば糸が射出される。二つの方向から彼を突き飛ばす勢いの糸が噴出された。

2016-08-12 22:04:57
ヤマナ @akumayamana

「この糸は結構な上物だ。  俺も、剣技で値打ちを示すとしようか。――『剣客乱舞』ッッ!!」 水たまりに、愛刀の切っ先を立てる。 すると、水で出来た刀身が五本、沸き起こった。 水刃は、低空より来るフードの糸を四分五裂にする。

2016-08-12 23:15:34
ヤマナ @akumayamana

されど、高度より来たる、蜘蛛の糸をヤマナはまともに受けた。 「ふっ……!」 丹田に力を込める。すると、打撃の痛みに耐えられるのだ。 それでも、吹っ飛んだ。 廊下の入り口まで叩き戻された有り様。そのうえ、全身を床につけている。

2016-08-12 23:16:22
ヤマナ @akumayamana

「ああ、ごふっ……面白いな  面白い。面白いわ――!」 立ち上がりざま、刀を構える 「……『水霧』!」 霧が立ち込める。エントランス階段下の、ヤマナ側半分を覆う霧 「さあ来い。やたらめったら撃ってもいいぞ!」 が、当のヤマナはわざと位置を変えず、霧生み直前と同じ位置に潜んでいた

2016-08-12 23:20:06
アルティメット @ultbeelz

「編んでみればさほど悪くないものが仕上がる自信もある」 相手もおらず、得手でもない故そこだけがネック。素材ばかり自信があるのはあれだ、生物(なまもの)だから。剣技のよな華麗な技巧もない女人と蜘蛛は、野性的な知恵と愚直の術しか知らない。だから理のある者と戦うことは糧になる。

2016-08-13 00:56:03
アルティメット @ultbeelz

女人は杖の先端から糸を伸ばし、蜘蛛の足へと引っ掛ける。ワイヤーの要領で巻き取りながら宙へ舞う。 「室内で霧を見られるとは思わなかった」 天より見下ろす蜘蛛でも姿を追うのは困難。しかし霧中に入っても蜘蛛は"足不足"。蹂躙する前に持っていかれる。蜘蛛を制しながらふと思う。

2016-08-13 01:01:41
アルティメット @ultbeelz

蜘蛛が糸を引き、天井に張り付いて前進する。天の地にあるシャンデリアの留め具を食いちぎり、手当たり次第に破壊して地面へと落として行く。 届けばあるいは破片か本体が刺さり、衝撃で霧すら晴らそうか。 「行儀の悪いとは思わないでほしいな。餌を喰らうには弱らせなければ食べられないのだ」

2016-08-13 01:06:56
アルティメット @ultbeelz

女人は蜘蛛にぶら下がりながら笑う。前を走る蜘蛛の目の変わりとして、様子を伺っていた。

2016-08-13 01:09:23
ヤマナ @akumayamana

中々霧に入ってこない二人。 「何をしておるのだ」 こちらからは気配は窺(うかが)えない。 唐突に。

2016-08-13 15:59:37
ヤマナ @akumayamana

ガツンと極太の金属が左腕にぶっ刺さる。 「ぎゃぁぁ、痛ってえ!」 だが、一つだけ解った。 「霧上斬ッッ!!ってぇぇ巫山戯やがって」 痛みを堪えながら、金属が降ってきた場所へピンポイントで、霧状の刀身を延ばす。 『霧上斬』は、日本刀の刃渡りを、霧によって拡張する魔法剣技である。

2016-08-13 15:59:55
ヤマナ @akumayamana

糸でなく自身で照明を切り落としているならば、ちょうど狙う場所にいるはずである。そう推測し、手応えさえあれば、切り裂くように横に振り抜くつもりだった。

2016-08-13 16:00:00
アルティメット @ultbeelz

進撃の最中に叫び声が聞こえた。怒号に続き、相手の得物から放たれたであろう突出した霧を視認した。 しかしてそれはただの霧ではなく刀としての性質を持つ刃。前進する己の動きの先を読まれることは想定外だったのか、蜘蛛の動きが捕らえられ、横薙ぎの一刀の下に斬られるまでに足先が離れた。

2016-08-14 00:57:14
アルティメット @ultbeelz

関節は非常に硬く両断まではされなかったが、体液が零れる始末。バランスを崩してしまう。 糸を噴出し、床へと落下することは防いだ。ターザンのよにして勢いをつけて蜘蛛が飛来し、霧が飛んできた方向へと強襲し、踏みつぶさん勢いで巨体の足が彼を狙った。

2016-08-14 00:57:35
ヤマナ @akumayamana

敵が、来る。 その巨体を、向けてきた。 「ふ、ははは。今日ほど楽しい日はない。そうだろう、そう思うだろう!? アルティメットォッ!」 『兜割り』という、打ち下ろしの構え。 純然たる剣技。狙うは、瞳。 「一騎打ちぞッッ」

2016-08-14 10:24:11