アイドルスレイヤー#4【レジェンド】part3

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チチチ……、チチ……。地下排水路の一角にセンサー走査音が鳴る。チチチ……。 (2目標はアイドルと確認/さらに観測を続ける)人工繊維製のツインテールを揺らしながら、"彼女"はコンクリートの迷路ごしに2名の侵入者を監視する。1 #ナナニン

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【レジェンド】part3 #ナナニン

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｢ねぇヒメ=サン、これから会うサワラって人のことを少しだけでも教えてくれない？｣先ほど聞いて拒否された質問だが、会話の糸口が見つからない以上、これを聞くしかハルにはなかった。｢少しだけでいいから｣ ｢うーん、オレもあまりあいつは知らないけどよ、話で食われそうになる｣2 #ナナニン

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｢食われそう？｣｢ああ、得体の知れない笑みの下に油断ならない目ざとさがある……みたいな感じだ｣ヒメは語尾を濁しつつ、サワラの危険性を語る。｢ま、さっきも言ったと思うが実際に会えばわかるさ｣ 食われないように、気持ちだけでも強くいこう、とハルは気を引き締めた。3 #ナナニン

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｢ん？｣｢なに？｣｢なにか物音がしなかったか？｣ハルは耳をすましてみるが、廃水の流れる音しか聞き取れない。その行動ををコニーがたしなめる。((無駄無駄、ミトの耳のよさには勝てないよ)) ｢うーん、わからないかな……｣｢そうか、どこかで聞き覚えがあったハズ……｣4 #ナナニン

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｢……！！このモーター音……！｣｢やっぱり私にはわからない……｣ハルは聞き取るのを諦めた。 ｢あっ、しまった……！てやんでい！ハル、戦うぞ！｣｢エッ｣｢イヤーッ！｣突然のヒメの言葉に戸惑うハルにアンブッシュ！ブリッジ回避したハルの後ろに小さな人影が着地する。5 #ナナニン

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｢ドーモ、晴海シンジュだ。君たちからの降伏をうけつけるモードにはないぞ｣若干シツレイながらも、相手を適度に煽る高度なアイサツ！それに続くハルたちのアイサツ。｢ドーモ、春日部ハルです｣｢野々原ヒメです｣ ｢なあシンジュ、少し話を……｣｢イヤーッ！｣ヒメの説得無意味！6 #ナナニン

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向かってきたシンジュの矢めいたキックに、ハルは両腕でのガードで凌ぐことを選んだ。その腕には消すことのできない炎。シンジュのキックがガードに刺さった瞬間、炎はその小さな足に灯り、しばらくの移動を困難にする……はずであった。 刺さったシンジュの足が、……燃えない！7 #ナナニン

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困惑を出せばイクサでは死ぬ、ハルはガードを解き、ストレートを繰り出す。それを左腕でガードしつつ、右手を上下展開させ、中からライフルを露出させる。 ｢ヒメはいいとして、どこのアイドルだかわからんものを通せん｣ライフル零距離発泡！BATATATA！！8 #ナナニン

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跳躍回避、そして壁と天井のトライアングルリープで反転したハルは、そのままキックを繰り出す！しかし火炎キックは難なくいなされ、排水流に突き刺さる。爆発的に発生する水蒸気！ 白い視界を破って殺到する弾幕をハルは側転回避！しかし狭い排水路内では回避に限度がある！9 #ナナニン

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(ダメだ……、ヒメ=サンはどこに！？)((彼女は完全には信用できない、逃げた可能性もあるでしょ))焦るハルに、コニーの悲観的な見解はさらなるヘイキンテキの乱れをもたらす。 ｢そろそろ観念しろ｣シンジュのライフル攻撃！BATATATA！！10 #ナナニン

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ブリッジ回避したハルは、接近したシンジュに向け、バネ仕掛けめいて起き上がりチョップを打つ！左腕でなんとかガードするシンジュ。ハルはその腕を残る左腕で引っ張り投げる！ジュドーの代名詞、イポン背負い！ ｢イヤーッ！｣｢ピガーッ！？｣シンジュは排水に投げ込まれる！11 #ナナニン

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そのままハルはシンジュのライフル機構右腕を踏みつける！弾薬にハルの火炎が引火し暴発！｢ピガーッ！？｣｢カイシャクしてあげる｣ ｢イヤーッ！｣｢はぁ……全く……｣カイシャクの構えをとったハルの後ろからまたシンジュらしき声！シンジュは目の前にいるはずでは……！？12 #ナナニン

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｢ドーモ、晴海シンジュだ。降伏は受け付けるモードにないぞ｣またも適度に煽るアイサツ！ハルは困惑しながら2度目のアイサツ。｢ドーモ、春日部ハルです｣ 排水の上で動かなくなったシンジュを背に、ハルとシンジュはお互い様子を伺う。13 #ナナニン

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((おかしい……、アイドルにしては憑依した痕跡がない……))｢もしかして、機械？｣困惑するコニーに対し、ハルは思い付いたことを言ってみる。((そんなはずはない、アイドルの機動力を機械ごときで再現できるはずが……)) ｢イヤーッ！｣シンジュの矢めいたキック！14 #ナナニン

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それをいなしてローキックを放つハルに、シンジュは頭突きでハルに反撃！鼻血の流れる顔を押さえよろめくハル。一方左足を損傷させ、ひざまずくシンジュ。 ふと、後ろのほうでなにかが動いた気配をハルは感じた。と、次の瞬間、ハルは死に体の1体目のシンジュに背後から襲われる！15 #ナナニン

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そのまま抑えつけようとするシンジュ1と、逃れようともがくハル。それをシンジュ1ごと撃とうとライフル機構を展開するシンジュ2！ゆっくりとライフルの銃口がハルの頭に向けられ……！｢ヌウーッ！｣ ｢ハル！なんとか避けろ！｣ヒメの声！暗闇の向こうからはなにかが迫る轟音…！16 #ナナニン

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｢なっ……！？｣音の発生源が近づくにつれ、ハルの表情は驚愕のそれに変わる。巨大な氷球！ 銃口を向けるシンジュ2が、状況確認のためか動作を止めている隙に、ハルは跳躍、ウケミで背中のシンジュ1を打撃し引き離す！そのまま水蒸気が変わらず漂っているのを確認し、球に向かう！17 #ナナニン

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2体のシンジュは高速で迫る通路を塞ぐ大きさの氷球にあっさり潰された。あとに続く爆発音。 そしてその後、身を起こし無事を確認するハル。一体どうやって彼女は回避したのか？……水蒸気とわずかな隙間である。18 #ナナニン

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シンジュたちとのイクサで周囲に漂った水蒸気は、氷球の表面を湿らせるのに十分な量だった。ゆえにハルは、氷に貼り付くリスクを考えず、排水路角に密着しなんとかやりすごしたのだ。 ｢ふぅ……｣｢わりぃわりぃ｣向こうからヒメが小走りでくる。19 #ナナニン

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｢まったくもう、こっちまで殺されるかとおもった……｣｢だから悪かったって｣ヒメはぺこぺこ頭を下げる。｢ま、結果よかったからいいけどね｣ ｢濡れてるわねぇ｣地下の主、晴海サワラはハルの姿を見て言った。｢仕方ねぇだろ、そっちのシンジュに襲われたんだから｣20 #ナナニン

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｢はい、タオルどうぞ｣濡れ鼠めいた風貌になっていたハルに、サワラの助手を務める晴海カジカがタオルを渡す。｢あ、スミマセン！｣ ｢で、今日はなにかあったの？｣｢おう、その前に土産と、あとシンジュの標的からハルを除外してくれ｣｢はいはい、カジカー、聞いてたー？｣21 #ナナニン

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裏に引っ込んでいたところを再び飛んできたカジカは、｢シィちゃんからハル=サンを除外ね｣と復唱した。｢あとお土産もっていって｣｢はーい｣ ｢あのシンジュ=サンってロボットなんですか？｣｢私たちの家を守ってくれる家族よー｣｢そろそろ本題に……｣ヒメが切り出す。22 #ナナニン

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｢うんうん、それでなんで来たのかしら｣｢実はこいつはアイドルや七咲ニコルについて知らなくてな｣ヒメは横に立つハルを指さす。｢ドーモ、春日部ハルです｣｢晴海サワラです｣ ｢それで話が聞きたいと？｣｢おう、そういうことだ｣ふむ、とサワラはしばらく座って考える。23 #ナナニン

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｢そもそもなんで知りたいのかしら？｣｢まあそれについては追々こちらから話すからさ、頼む｣なるほど、といってサワラは奥の書斎に2人を通し、ソファに座らせた。 ｢ハル=サン、私がこれから言うことは事実よ｣｢ハイ｣安楽椅子の上でサワラはハルに話す。24 #ナナニン