イタリアの小児甲状腺乳頭がん:250例、14年間の多施設共同研究
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上のブログ記事で取り上げられている欧米と日本の甲状腺乳頭癌の治療の違い(欧米では甲状腺全摘と術後の放射性ヨウ素内服療法がワンセットで第一選択とされるのに対し、日本では極力切除範囲を抑え、術後の放射性ヨウ素内服療法も行われない)の背景となっている社会環境・医療事情の違いについては、日本内分泌外科学会および日本甲状腺外科学会の「がん診療ガイドライン2010版」のコラム8「甲状腺乳頭癌に対する甲状腺切除範囲をめぐる論争と日本の現状について」
http://www.jsco-cpg.jp/guideline/20_2.html#column8
にも解説があります。
@drsteppenwolf 再発例も含めて全例が生存しているとは書いてありますが、再発例(頸部リンパ節17例、肺転移7例、甲状腺床6例中甲状腺再発2例と肺転移全例を放射性ヨウ素内服療法で治療し、残りは切除)が治療後も再発していないかどうかまではなぜか報告がありません。
2016-05-04 22:50:29@parasite2006 再発例でも放射性ヨウ素内服療法で効を奏するからこそ、全例生存しているかと...。(もしかしたら再発転移していても死なないのかもしれませんが)
2016-05-04 22:57:08@drsteppenwolf この論文が引用しているイタリア内分泌学会の術後放射性ヨウ素内服療法に関する勧告download.springer.com/static/pdf/653… では、リスクが低い、または中程度の患者にはI131の使用量を最低量30 mCiにすることを推奨していますが、これが裏目に?
2016-05-04 23:10:1830 mCi(ミリキュリー)は何Bq(ベクレル)に相当するかというと、
3.7×10^10 Bq/Ci x 0.03 Bq =11.1x 10^8 Bq = 1.11x10^9 Bq =1.11 GBq(ギガベクレル)
もっと再発の危険性が高い、あるいは完全に取り除けなかった微小な癌がまだ残っている疑いがあるか存在が確認された場合には100 mCi以上、すなわち3.7 GBq以上のI131が内服療法に使われることになります。
1,000=キロ(千)
1,000,000=メガ(百万)
1,000,000,000=ギガ(十億)
@drsteppenwolf 日本だと極力再発しないように考えそうです。ただでさえ1巡目で甲状腺癌と診断され(1巡目の検査を何年何月に受けたかで居住地が市町村単位でわかる)部分切除後再発したケースが週刊誌報道されて騒ぎになりました。twitter.com/parasite2006/s…
2016-05-05 00:03:14@kazooooya こちらbit.ly/1QBKeV7 は最新式手術で、しかも数ヶ月から2,3年の時間がたった後の写真。説明文では一般的な病院ではまだ8-10cm程度切っている模様。まあ意図的に古い術式の手術直後の写真をどこからか引っ張り出すぐらいは平気でしょう
2015-09-15 18:26:55(↑これはFRIDAYの2015年9月25日号に出た記事の話です↓)
あぁ~、この記事のことね。さて記者は誰かな? (てか、現在でもこんな出術跡が残るのかな?) 【福島】原発事故直後に甲状腺ガン 20歳女子の悲痛な日々 2度目の手術も、リンパや肺に転移。(FRIDAY 2015/09/25号) pic.twitter.com/GYTIqyLPLQ
2015-09-15 12:22:58あひ! 明石昇二郎さん、疑ってごめんなさい!^^; @drsteppenwolf: @parasite2006 @kazooooya たぶん、この画像にいつわりはないと考えます。
2015-09-15 21:02:25記事の筆者、明石昇二郎氏の経歴と芸風はこちら
http://www.rupoken.com/aboutus.html
(本流に戻ります)
@drsteppenwolf 追跡調査を長く続けるほど再発例がでてくるのは避けられませんね。イタリア論文j.mp/1WHoQ5n によれば、平均5.8年間の追跡期間中の再発例の6割が最初の1年間に集中。このことはもっと知られて然るべき @kazooooya
2016-05-05 09:26:44@drsteppenwolf 「裏目というより再発を怖れていない」米国の小児甲状腺結節・分化がんの治療ガイドラインjstage.jst.go.jp/article/jaesjs… では手術後も血中Tg濃度を定期測定し再発・転移を監視。手術後比較的短時間での再発があるのを前提にして備えているのですね
2016-05-05 14:18:24Tg=Throgloblin、チログロブリン(サイログロブリン)
甲状腺ホルモンの合成を行う甲状腺濾胞上皮細胞で合成され蓄積されるタンパク質。甲状腺に取り込まれたヨウ素はこのタンパク質の中のアミノ酸、チロシンと結合し(タンパク質に組み込まれていないチロシンとは結合しません)、ヨード化チロシンとなります。ヨード化したチロシンを含むチログロブリンはタンパク質分解を受けてヨード化したチロシンが切り出されます(チロシン1個あたりに結合するヨウ素原子の数は1個か2個)。ヨード化チロシンが2つ結合してヨウ素を3個または4個結合したT3=トリヨードチロニン、またはT4=チロキシンが血液中に放出されて甲状腺ホルモンとして機能することになります。従ってこのタンパク質は、いわば甲状腺ホルモンの材料ストックなのです。
正常な状態では血液中に出てくることはほとんどありません。血液中に出てくる場合
甲状腺の腫瘍がサイログロブリンを産生している
甲状腺を刺激する物質で甲状腺が刺激された
甲状腺の炎症で甲状腺組織が破壊された
のいずれかが考えられます。
http://www.kuma-h.or.jp/index.php?id=75
参考:米国ガイドラインの解説
欧米の現時点でのコンセンサス。(無料和文PDFあり) →山下俊一:ATA2015小児甲状腺結節・分化がんの治療ガイドラインについて jstage.jst.go.jp/article/jaesjs…
2016-05-04 16:13:49米国のガイドラインでは、「予後良好な小児甲状腺結節・分化がんの術前のリスク推定による治療選択ではなく,術中所見と術後リスクを考慮した術式(全摘中心)の議論」がなされている。 → jstage.jst.go.jp/article/jaesjs…
2016-05-04 16:16:18「ひとたび甲状腺乳頭癌と確定診断が下されると,小児の場合も成人同様に外科手術の適応となり,手術合併症の回避が不可欠という条件下での全摘を中心とした治療指針が立てられることになる。」 →以下のWeb jstage.jst.go.jp/article/jaesjs… より引用
2016-05-04 16:21:50これは米国甲状腺学会がはじめて作成した小児専用の甲状腺癌治療ガイドラインです。英語版原本はこちら。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4854274/pdf/thy.2014.0460.pdf
神戸の隈病院のような、手術をせずに経過観察するための基準はまだありませんが、細胞診については成人と同様に「1cm以下の結節では,例外(悪性所見が高い場合のみ)を除いて, 吸引針細胞診を行わない」のを原則としています。
余談1:米国の成人用ガイドラインに転換