ついのべの日二月、時間軸バラバラついのべちゃんとならべた版

二月のついのべで煮干しをテーマに書いてみた連作というか連載ついのべ。バラバラに投稿したが正確に並べるとこうなるというか……何か妙な華氏になったなこれ。
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秋月蓮華 @akirenge

付け足し:自分で書いて見て想うが色々酷い気がする話。――お祭りだから。と言うことで #twnvday

2011-02-14 04:13:45
秋月蓮華 @akirenge

1.どうしてこんなことになってしまったのかなんて誰も解らない。言えることは様々な願いが重なることでこの状況が生まれたと言うことだ。二月十四日という如月の真ん中に近い日、平穏に終わるはずの日は一変してある種の大惨事となった。魚を干した食べ物――煮干しによって。 #twnvday

2011-02-14 04:14:28
秋月蓮華 @akirenge

2.「ねえ、日本のバレンタインってさ。煮干しが空から降ってくるものなの?」 「違う」マフラーを巻いた少年は隣の髪を縛った少年に聞いた。学校に登校した二人であったが二人が見たのは空から降ってくる煮干しだった。学校のみに降っている。「……生臭」「生魚よりましじゃ」 #twnvday

2011-02-14 04:17:01
秋月蓮華 @akirenge

3.学校の上には分厚い灰色の雲があり、そこから煮干しが大量に降る。マフラーを抑えながら少年は校門から出た。空が切り取られたかのように青く、煮干しは降っていない。「二人とも」「あ、おはよー」眼鏡をかけた少年が傘を差しながら走ってきた。「気楽ですね……君は」 #twnvday

2011-02-14 21:42:05
秋月蓮華 @akirenge

4.「コイツはいつもマイペースじゃ」隣の少年がフォローした。眼鏡をかけた少年は眼鏡を押し上げる。「これは異常事態です」「見れば解る」「学校の中はどうじゃ」「それが……」沈痛な顔をした眼鏡をかけた少年に二人は顔を見合わせる。「中も、危ないの?」「中も煮干しか?」 #twnvday

2011-02-14 04:14:46
秋月蓮華 @akirenge

5.「お二人とも今日は何の日かご存じですよね」「「バレンタイン」」二人は声を揃える。マフラーの少年はイタリアからの帰国子女で日本のバレンタインは初めてだ。髪を縛った少年はチョコは貰えるとは言え、バレンタインは苦手だった。「そうです。そして、煮干しの日」 #twnvday

2011-02-14 21:40:48
秋月蓮華 @akirenge

6.「何故煮干し?」「語呂合わせですよ」「あー」マフラーを巻いた少年は手をぽん、とあわせた。「イタリアじゃ聖人の日ばかりだからこう言うの珍しい」「大人の日ですね」眼鏡の少年に髪を縛った少年はボディーブローを食らわせ、傘を奪い、マフラーの少年に差した。 #twnvday

2011-02-14 04:15:49
秋月蓮華 @akirenge

7.「それが、の続きをいわんかい」「今日はバレンタインです。そして煮干しが降ってきた。そうするとどうなるか」「チョコの代わりに煮干しをあげる?」マフラーの少年が言うと眼鏡の少年は否定。「チョコを貰えなかった者が、腹いせに相手に煮干しを投げるようになりました」 #twnvday

2011-02-14 21:41:49
秋月蓮華 @akirenge

8.「煮干しを豆代わりに投げるとしたら節分は過ぎとる」「弾丸と言う名の煮干しは大量にありますからね。中は大惨事です」マフラーを巻いた少年は耳を澄ませる。「煮干しを食らえー」「チョコのせいで見向きもされないんだ悲鳴と共に聞こえる声。「楽しそう」「違うでしょう」 #twnvday

2011-02-14 04:17:49
秋月蓮華 @akirenge

9.「リア充爆発しろで人間が実際に爆発するよりマシ?」「君の例えは物騒です」「サボるか? このままじゃ授業も出来んじゃろう」「映画、見に行きたい」こんな不可思議な状況なのに二人はマイペースであり眼鏡をかけた少年は溜息をつきたくなってきた。煮干しは降り続く。 #twnvday

2011-02-14 04:16:31
秋月蓮華 @akirenge

10.「貴様等!」「風紀委員長」マフラーを巻いた少年は煮干しの降る中、同学年の風紀委員長を見つけた。傘を差しこちらに走ってくる。「生徒会室に来い。対策を練る」「煮干しの使い道は出汁を取るぐらいじゃ」「この騒動を止める方法を考えるのだ!」風紀委員長が叫んだ。 #twnvday

2011-02-14 21:41:10
秋月蓮華 @akirenge

11.四人で生徒会室に入る。生徒会室の前には『空から降る煮干し対策本部』と毛筆で書かれていた。「あれ? 生徒会、誰もいなくない?」「確かに。庶務のお前ぐらいじゃ」 生徒会のメンバーは居なかった。マフラーの少年は庶務だが、庶務である彼しかいない。 #twnvday

2011-02-15 02:44:36
秋月蓮華 @akirenge

12.「生徒会と風紀委員会合同で対策に当たることになった」「教師はどうした?」「……探しましたが誰も居ません」眼鏡の少年が伝える。風紀委員長は拳を握った。ここに来るまでの間投げられ続ける煮干しを傘でガードしたりして大変だったのだ。「生徒で何とかするしかない」 #twnvday

2011-02-15 21:21:02
秋月蓮華 @akirenge

13.風紀委員長の話では外にこのことを知らせようとしても知らせた者が煮干しのことを忘れてしまったり、ネットや電話など外に通じるモノも全て煮干し関連では不通になってしまうらしかった。「こういうの漫画であったよーな」「あったの」マフラーを巻いた少年は煮干しを食べる。 #twnvday

2011-02-14 21:41:27
秋月蓮華 @akirenge

14.「貴様等はもっと危機感をもて――!!」風紀委員長が怒鳴った。「危機感もてとか言われても」「ボクと契約して魔法少女になってよとかだったら別じゃが」「もしかしたらこの状況、魔法少女の仕業かも」「巫山戯るな――!」マイペースな二人に風紀委員長はまた怒鳴る。 #twnvday

2011-02-15 02:43:59
秋月蓮華 @akirenge

15.マフラーを巻いた少年も髪を縛った少年もマイペースすぎた。だが、「バレンタインのチョコを貰った奴はいねーか!?」マスクで顔を隠した生徒が侵入してくる。「……ん。煮干しが悪いんだろうし」「仕方がない。何とかするかの」マフラーを巻いた少年は生徒に拳を叩き込む。 #twnvday

2011-02-15 21:19:42
秋月蓮華 @akirenge

16.鳩尾にクリーンヒットした拳は生徒の意識を奪った。「正当防衛」「過剰防衛ではないか」風紀委員長の言葉をマフラーを巻いた少年は無視。「屋上行くぞ。上から煮干しはふっとる」「四階分のぼるんだ」「私達は争いを収めるよう努力します」眼鏡をかけた少年は言う。 #twnvday

2011-02-15 22:00:50
秋月蓮華 @akirenge

17.「お前も登ろうや」「争い事は嫌いなので」髪を縛った少年は眼鏡をかけた少年にチョップを加える。「では、行ってくる」マフラーを巻いた少年と髪を縛った少年は生徒会室を出る。階段を探して屋上を目出して駆け上がるだけではあるが「何処も戦場だね」「煮干しばかりじゃ」 #twnvday

2011-02-15 02:44:20
秋月蓮華 @akirenge

18.戦争というのは途中で目的が解らなくなることがあると聞いたことはあるが学校内はまさにそれだ。煮干しを武器に生徒達が争っている。投げられる煮干し。かわされる煮干し。墜ちる煮干し。拾われる煮干し。「強行突破しかないね」「しかないの」二人はネクタイを締め直す。 #twnvday

2011-02-15 02:45:21
秋月蓮華 @akirenge

19.一階の階段の人混みを掻き分けて二人は二階へと昇る。「お前等。煮干し戦争に参加か?」二人の友人である赤毛の少年と出会った。「戦争の原因を見に屋上に行くんだ」「上に登れば登るほど戦場だぜ」「それでも行かねばならん。風紀委員長に頼まれたからの」二階も戦場だ。 #twnvday

2011-02-15 21:19:56
秋月蓮華 @akirenge

20.「ところで」マフラーを巻いた少年は視線で促す。女生徒通しが煮干しを投げ合っていた。「女子通しで争い?」「男の奪い合いかの?」「バレンタインってのは女の面倒なイベントでもあるらしくてさ。友チョコはぶられたことで怒りが出たらしい」「女怖いね」「怖いの」 #twnvday

2011-02-15 02:45:37
秋月蓮華 @akirenge

21.男と付き合いと女の付き合いの違いなど、マフラーを巻いた少年は考えたことはないが、女は女でややこしいらしい。「バレンタインのチョコ、受け取……」「渡させるか!」女生徒が二人にチョコレートを渡そうとしたが煮干しによって阻止される。「……上行こう」「行くか」 #twnvday

2011-02-15 21:21:26
秋月蓮華 @akirenge

22.「お前等のチョコはオレが受け取っておこうか?」「俺のは食ってもええ」「この階は任せとけ。風紀委員会の手伝いするぜ」赤髪の少年と別れ、二人は三階へと向かおうとしたが近い階段は人でごった返していた。場所を移動し場所の階段を登る。「ここはすいとる」「この匂いは」 #twnvday

2011-02-15 22:01:30
秋月蓮華 @akirenge

23.階段が水で濡れていた。漂う匂いはマフラーを巻いた少年が日本に来た時に初めてかいだ香りに似ていた。上にはバケツを持った男子生徒が居る。「水!?」「違う。恐らくコレは煮干しの出し汁じゃ」無差別に攻撃をしているらしい男子生徒は上から出し汁をぶちまけようとした。 #twnvday

2011-02-15 21:20:24
秋月蓮華 @akirenge

24.「これ、あり!?」「恋と戦争においてはどんな手段でも赦されるとか何処かの人が言っとった」「誰だよ言った奴」文句を言うマフラーを巻いた少年と髪を縛った少年だがバケツの中の煮干し出汁を零そうとしていた生徒が拘束された。「速く上がってこい!」二人の友人の声だ。 #twnvday

2011-02-16 01:33:12