【温故知新】第二話

ゲロ甘すいーとぜんざい(大盛り)
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葛葵中将 @katsuragi_rivea

艦娘達の証言から作り出されるライブラリに残る…艦の記憶から辿る戦訓。 先人達が残した多くの知識は未だその全てが記録されているわけではない、我々の至り知らぬものも存在するだろう。そう葛葵が語るのを平は無言で聞いていた。

2016-09-03 22:33:20
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「引き出しから必要な知識を取り出し、実現しようと努力することでようやく形に出来る。確かに前線で指揮を取れば戦いに勝利することも出来るかもしれない。だがそれは一つの点に過ぎない そこで得た物を誰かに伝えることが出来るならばもっと多くの勝利を作り出せる。もっと多くの命を救える」

2016-09-03 22:34:08
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「全ての歯車が噛み合わなければ、時計の針は先に進まないだろう。この記録室も、その歯車の一つ。君も、私も、そして戦場で命を賭ける者達もね」 葛葵は少し話しすぎた。などと小声と共にそこで話を切ると既にフィルタの付け根まで灰になっていた煙草を灰皿へと押し付けた。

2016-09-03 22:35:06
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「ま、あくまで私の主観を述べたに過ぎない。平君には平君で感じること、思うことは必ずある。それを大事にするとよいよ」 前線で戦い、その戦果を上げ、常勝とまで呼ばれる艦隊の指揮を執る男のおそらく本音に近い言葉、話を受け平は彼に対する見方を改めざるを得なかった。…が

2016-09-03 22:36:40
葛葵中将 @katsuragi_rivea

次に発した言葉は 「女将!おかわりちょうだい?あと…スイーツも頼む」 先程までの空気など無かったかのように葛葵はいつもの調子へと戻っていた。 年齢とギャップを感じさせる…まるで子供のように甘味を注文する彼に平はため息をついた

2016-09-03 22:37:58
葛葵中将 @katsuragi_rivea

このやり取りにすっかり自分も馴染んでしまったものだと思う平だったが、 これこそが道化師、あるいは妖怪人間などと揶揄される彼のペースにまんまと自分も乗せられてしまっていることに気づいたのであった。

2016-09-03 22:38:54
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「平君ももちろん食べるだろう?ゲロ甘すいーとぜんざい(大盛り)」 (やれやれ…けど、悪い気はしないもんだな) ある意味の心地よささえ感じとると、心の奥底で葛葵に感謝したのだった。 「えぇ、二杯ください」 「マジかよ…」

2016-09-03 22:40:10
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