「いま、沖縄を詠うということ」

沖縄、那覇で開催された短歌の勉強会についての、亀山真実さんによるレポートおよびツイキャス報告をまとめました。
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Takara Mamii @nukimidaru

勉強会に関する簡単なレポート +ツイキャス報告 題「いま、沖縄を詠うということ」 日時2016年8月8日(月) 午後5:00~7:30 お待たせしました。随分前にキャスをやった勉強会に関するレポートです。

2016-09-05 18:51:03
Takara Mamii @nukimidaru

※初めに、このレポートは私の記憶と主観をもとに記述しているため、先生方の実際の発言とは若干のずれが生じている可能性があります。また、短歌とは関係が薄いと思われる政治的な主張などは省略しました。

2016-09-05 18:51:36
Takara Mamii @nukimidaru

吉川宏志のお話 「沖縄県の現状に関して内地の人は想像力を欠いているように感じる。歌人にとって短歌は共通言語であるから、例えば海の破壊など、沖縄の現状を離れた地域の人に伝えるため使えるのではないか。」

2016-09-05 18:52:32
Takara Mamii @nukimidaru

沖縄詠について紹介された歌 ・沖縄戦なかりせばたなきはるわが生れざらましを死なざらましを ・潔白を信じたりとも伯父もまた沖縄を傷めし大和のひとり ・糸満の平和の礎に見出せるその名悔しも靖國にまた /水原紫苑

2016-09-05 18:53:14
Takara Mamii @nukimidaru

※水原氏の母方の伯父は沖縄戦で戦死している。そのため身寄りを無くした母が、近衛兵であった父と結婚したらしい。

2016-09-05 18:54:37
Takara Mamii @nukimidaru

また、短歌が生きる希望になることについて鳥居さんを紹介された後、次の歌に言及された。 ・燃やされた戦地の人を知る刹那フライドチキンは肉の味する /鳥居 pic.twitter.com/RJP8XGCy2O

2016-09-05 18:55:27
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Takara Mamii @nukimidaru

続いて比嘉美智子氏のお話 短歌を通して沖縄戦を振り返るものであった。内容は下の資料(主に一枚目)と重複するので、そちらを読んでただきたい。 pic.twitter.com/vHxVUYrFcC

2016-09-05 18:57:14
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Takara Mamii @nukimidaru

続いて名嘉真恵美子氏から沖縄の時事詠に関するお話 ・梅雨滂沱山脈の緑深き地に現代の贄は二十で死せり /仲間節子 ・平穏なる日々にパッカリ戦場の狂気吹き出すおきなわの闇 /古堅喜代子 ※上の2首は2016年6月のうるま市女性殺害事件を受けて詠まれた歌。

2016-09-05 18:58:39
Takara Mamii @nukimidaru

「この歌は言い換えが概括的で少しわかりにくいかもしれない」 ・うりずんの雨はどどっとやって来て「辺野古カヌー隊」今朝逮捕とふ /玉城洋子 ・「民意」とふ杭を打ち込み闘ひは辺野古に続く勝ちて帰らな /喜屋武盛市 「この歌は直接的でわかりやすく、きっぱりと言い表している点が良い」

2016-09-05 18:59:27
Takara Mamii @nukimidaru

・わが町に基地のどかりと居座りて遠回りする通院の道 ・うりずんの風に乗りながら白き蝶基地のフェンスを軽やかに越ゆ /瑞慶村悦子 「『短歌研究』の高野公彦氏は『基地問題に直接影響を受ける日々の生活を、肩に力を入れることなく、率直にリアルに詠んでいる。』と評しているが、→

2016-09-05 19:00:51
Takara Mamii @nukimidaru

あまり強い表現でない点で物足りなさを感じており、内地の人である選者との温度差を実感している。」 pic.twitter.com/AGyYkjLnw3

2016-09-05 19:01:57
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Takara Mamii @nukimidaru

続いて久保まり子氏のお話   ・突然におとめごの命奪はるる基地あるゆえの闇深き島 /松瀬トヨ子 「この歌も五月の事件を詠んだものである。先ほど名嘉真氏が挙げられていた『梅雨滂沱』と『平穏なる…』は歌から事件を想起しがたいが、これは直接的であり心苦しい。→

2016-09-05 19:03:29
Takara Mamii @nukimidaru

→ところで、この事件の容疑者の名はシンザトであった。シンザト(新里)は沖縄では一般的な姓であり、故に沖縄にゆかりのある人物である可能性が高い。事実、この人物は県人女性と結婚し、その姓を名乗っているそうだ。(琉球新報5/21 ryukyushimpo.jp/news/entry-283…

2016-09-05 19:06:31
Takara Mamii @nukimidaru

→また、基地労働者は沖縄県民にとって珍しい職業ではない。つまり、この事件は“米兵”ではなく沖縄県民が沖縄県民を殺した事件かもしれないのだ。それゆえとても苦しく、いまだにこの事件を詠むことができないもどかしさがある。ただ、下の句の『基地あるゆえ』という表現には深く共感する。」

2016-09-05 19:08:05
Takara Mamii @nukimidaru

・ああ海よ辺野古の海(ヘノキッシュブルー)に沈みたるたとえば神かそれともジュゴン /新城貞夫   「沖縄を詠むにあたっては、この歌のように、血が流れる表現よりも苦しみを昇華するような表現を目指すべきではないだろうか」 pic.twitter.com/AQVzG7aBfu

2016-09-05 19:08:56
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Takara Mamii @nukimidaru

続いて平山良明氏からのお話 ※短歌に関連付けることが難しい内容は省略しました。 「果たして短歌・歌人に何かを変える力があるのかという問いに対する答えとして『見ちゃるまさり、見らんすがふる(見るものが勝り、見ないものは負ける)』という一節が挙げられる。情報共有が大切である。」

2016-09-05 19:09:45
Takara Mamii @nukimidaru

以上を受けて、吉川氏にもう一度コメントを求めた。 ・聞かないと決めたる耳には届かない音と散りゆくオキナワの声 ・くり返す再発防止と遺憾の言葉ことばは音でこころにあらず /大城和子 この二首を引用しつつ、「『見ちゃるまさり…』に関連して、問題は見ない人にどう伝えるかである。→

2016-09-05 19:10:50
Takara Mamii @nukimidaru

→強い言葉で説明しないと伝わりにくいが、反対に直接的すぎると読者が離れてしまう。このバランスが大切である。」 pic.twitter.com/Gi0GrJTmvT

2016-09-05 19:11:57
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Takara Mamii @nukimidaru

続いて、司会の屋良健一郎氏主導の討論会に移る。   ・ウォーキングせし娘をば暴行し殺害したる米兵憎し ・いくたびも犠牲者悼む大会をすれど次々暴行止まず ・人の波果てなく続き悲しみが怒りに変はる抗議大会 /比嘉美智子 屋良氏 「先ほどまでの流れを考慮すると、→

2016-09-05 19:12:51
Takara Mamii @nukimidaru

前二首は良い歌と言い難いかもしれない。対して、三首目は少しばかり詩的であると言えるのではないか。」 次に、30年近く沖縄を詠まれているということで、屋良氏が玉城洋子氏に意見を求めた。 pic.twitter.com/GWYYHL0WOI

2016-09-05 19:13:53
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Takara Mamii @nukimidaru

玉城氏 「内地の雑誌などに投稿すると、これは短歌ではないとか、また同じようなものをと突き返されたが、表現の面では近年少なからず改善されているように感じる。事件についてはどう詠めばよいのかわからない部分があり、自分の思いを十分前面に出しきれていない。→

2016-09-05 19:14:31
Takara Mamii @nukimidaru

→身体の其処から突き上げるような詠い方が必要である。例えば座り込みなど、何かを実際に経験することがその一助になるだろう。」

2016-09-05 19:15:11
Takara Mamii @nukimidaru

続いて、屋良氏が若者の沖縄詠ということで佐藤モニカ氏の「キャンベルスープ」より何首か引用された。発言内容はレジュメの通りなので、そちらを参照していただきたい。 pic.twitter.com/Gas3gkv9uY

2016-09-05 19:16:18
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Takara Mamii @nukimidaru

・戦闘機マニアの友がくれたもの音聞こえたら空探す癖 ・チョコレイトくれるアメリカ助けてはくれない日本我うちなんちゅ ・沖縄が本土の人に愛されてゆくほど我は複雑になり /當銘さゆり pic.twitter.com/69ZgzHnYfz

2016-09-05 19:18:04
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Takara Mamii @nukimidaru

屋良氏 「内地の友人と親交が深まるにつれて抱く複雑な思いがにじみ出ている。しかしまだ若い世代が沖縄詠をすることは少ないのではないか。」 ・「命どぅ宝」今はゴミだという人の不法投棄が後を絶たない /亀山真実

2016-09-05 19:18:48