忍殺テキストカラテ『アポカリプティカル・デス・ロード』#1

当アカウントにてツイート形式掲載したニンジャスレイヤー二次創作作品の#1まとめです。
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TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

「このところ風の言に流れ伝わりし悪しき行者どもの殺戮行軍よ。彼奴らはその教義のままに暴力と炎を振りまき、退廃と原生回帰を謳いながらも未だ文明の遺物にしがみつく半端者共の群れよ」ウォーペイントは侮蔑もあらわに吐き捨てる。「要は、弱者を踏みにじる他のニンジャと変わらぬということか」

2016-09-04 15:55:37
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

「なればこそ、ニンジャ殺すべし……!」サツバツナイトは憎悪に燃える目を窓の外の荒野に向ける。「そーいう奴らってェー、財宝とか持ってそうですよね」助手席のデスバンテイジが嬉しそうに漏らす。「元々目的地は別にあったんですが、俺達もお供しますよ」ソイルファングがハンドルを握り込む。

2016-09-04 15:58:35
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

「心強い」サツバツナイトは素直にこの申し入れを受諾した。「ウィーピピー!お宝大作戦!センパイがいれば武田信玄にミニガン、楽勝ですよーッ!」「静かにしろカナエ。ウワッおい脱ぐなこんな所で!寄りかかるな!実際運転しにくい!」「騒々しいぞ、文明人!」ウォーペイントが苦言を呈した。

2016-09-04 16:03:00
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

サツバツナイトはこの車両を駆って来たこの若いニンジャの男女を見た。……夫婦で、ニンジャ。思うところあり、しばらくフジキドは二人の様子を眺めてから、星空に目を移した。砕けて欠けた月のすぐ下で、流星が煌めく。彼ら二人の元々の目的地というのが気になったが、ひとまずそれは捨て置いた。

2016-09-04 16:08:08
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

「グワーッ!痛い!そこは実際痛むのだ、アポカリプティックメカニック=サングワーッ!」「うるせェーな、こんだけやられて爆発四散してねえんだからちったァ我慢したらどうだよ」走行中の車上で血だらけのサンダースティックが苦悶に叫び、隣で彼の傷口をほじくり回す女ニンジャが辟易する。

2016-09-04 16:13:54
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

持ったピンセットで傷を掻き回すように何かを探る女ニンジャは恍惚とした表情を浮かべる(((アー、イイ……グチュグチュした肉の感触……いけねえ、仕事だな。仕事。ヒヒ)))クルマには時代に見合った道具類は何も積まれていない。彼女の仕事道具も、これを除けば工具一式くらいのものだ。

2016-09-04 16:17:21
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

サンダースティックは弱々しく抗議した。「それはそうなのだがなァァ、イクサにおいてだけはおれはあの方と月のご加護の下で痛みと恐怖を忘れ真なる聖戦士たりえグワーッ!?」「バァーカ、そりゃニンジャアドレナリンのおかげだよ。まぁアンタのその信心深さからドバドバ出てんだろうけどサ」

2016-09-04 16:21:41
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

この終末ニンジャ達の乗るクルマの車体には『ヘルマガツ』とカタカナ彫金されている。ヘルマガツの車内にはUNIXをはじめ電子制御された文明の利器は彼らの教義上の理由から徹底的に排除されている。これを動かすエンジンも旧世紀の遺物であり、大排気量・高燃費で凄まじい騒音を轟かせ駆動する。

2016-09-04 16:25:26
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

車体に差された何本もの棒状暴力じみた形状の刺突爆雷がヘルマガツのハンドリングや揺れに合わせてススキめいてしなり、エンジンから排気するエキゾーストパイプは数本に枝分かれした口から微かにアフターファイアを吐く。このクルマの何もかもがネオサイタマを走るそれらと明らかに異なっていた。

2016-09-04 16:28:56
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

そのうち彼女はサンダースティックの傷口に光沢を放つ小さなものを見つけた。「お、あったあった」ズブリ。「グワーッ!」ナ、ナムアミダブツ!彼女は極めて淡々とした様子で痛々しい生傷に錆びたピンセットを躊躇なく捻じ込んだ。そうして傷口の中でしばらく動かし、取り出した。「グワーッ!」

2016-09-04 16:32:21
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

「グワーッ…」血に染まって真っ赤になったピンセットの先端が挟んでいたのは、あの棒状暴力じみた形状の刺突爆雷、その先端の火薬缶の破片である。「アンタまたアレ持ってバカ丸出しの自爆しただろ」アポカリプティックメカニックは両手に棒を持つようなジェスチャーをして呆れ返った。

2016-09-04 16:36:09
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

サンダースティックはすぐさま傷口を手で抑えたが、すぐにアポカリプティックメカニックにどかされ薄くスライスされたタイヤゴムを巻きつけられた。黒いゴムはサンダースティックの血とくっつき合い、溶接めいて傷口の上に蒸着した。「グワーッ……」「アイ、これで全部だよ」彼女は言った。

2016-09-04 16:40:10
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「アタシはアンタらの『整備士』でもあンだからさ、あんま意味ねえことやってアタシの仕事増やすんじゃねえよ」アポカリプティックメカニックはピンセットを仕舞い、オーバーオール整備士ニンジャ装束を弄って正す。その下の白シャツに包まれた豊満な胸が柔らかく形を変えた。

2016-09-04 16:43:45
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「……あン?」不意に彼女は血塗れのサンダースティックが進行方向後方を眺めたまま返事を返さないことに気付いた。「オイオイどうしたよサンダー、こっぴどくヤられて元気がねェならアタシのスカルでもファックするか?ウェ」馬鹿にしたような薄笑いを浮かべて彼女は口を開け舌を出してみせる。

2016-09-04 16:46:33
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

アポカリプティックメカニックの口に生える歯はギザギザに鋭く尖っており、それが彼女の少女めいた体躯や狂暴な眼光と相まってバイオピラニアめいた印象を与える。それを横目に見る他の仲間達の反応は薄い。彼らの掲げる教義や思想を基準にしてもこの女ニンジャは異質な存在であることが伺える。

2016-09-04 16:49:16
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

「夫婦漫才は終わったか」彼女に代わり運転していた終末サムライ甲冑装束のニンジャ、ナラヅモノが冗談混じりに問うた。「ア?ブッ殺すぞテメェ」「「プッ!」」他の二人が噴き出した。「テメェらまで!」アポカリプティックメカニックが声を荒げて怒る。彼女は車上で工具を振り回しはじめた。

2016-09-04 16:51:48
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

背後で騒ぐ仲間を意に介すこともなく、サンダースティックはずっと自分達のクルマの後ろに広がる荒野を眺めていた。自分を殺しかけたニンジャに出逢ったのは初めての体験だった。白塗りの顔を未知の期待と喜悦に歪め、あの漆黒の殺伐騎士が自分達を追って来たる時を彼は心底心待ちにしていた。

2016-09-04 16:58:25
TALES made by Hancho @BUNKER_NINJA

【アポカリプティカル・デス・ロード】#1……終わり。

2016-09-04 16:59:13
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