花束 貴方の記憶

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あみ @ami_qitt25

1 コーヒーメーカーのスイッチを入れて 煙草に火を着ける 深く吸い込んで煙を吐き出せば 『身体に悪いんやから辞めろや』 貴方の声が聴こえて来る気がする そんな事無いのに… 煙草を消してカップにコーヒーを注いで 一口啜ればやっと現実と向き合う覚悟をする…毎朝の儀式 #花束

2016-09-01 14:36:06
あみ @ami_qitt25

2 それから慌ただしい1日を終え 戻る頃には又…死にたくなる 現実に向き合う勇気が無くて だからといって現実を捨てられなくて 貴方の居ないこの世界はあたしには 生きにくい世界らしい 毎日それを実感する 布団に入って…明日目覚め無ければ良いのにと思いながら目を瞑る #花束

2016-09-01 14:36:12
あみ @ami_qitt25

3 そして、目が覚めて同じ毎日を繰り返す 『早うせいよ、ほんまに朝弱いんやから』 朝、起きられないから引っ張り出してぼーっとしてるあたしの前にコーヒーを置いて 『ほら、これ飲んで人間になり』 そう言って笑ってくれた貴方 #花束

2016-09-01 14:36:17
あみ @ami_qitt25

4 『俺、もう行くで…お前遅刻すんなよ』 あの日貴方と一緒に出てれば1人で 現実に向き合う事も無かったのに… 貴方が居なくなってあたしは何も 変わってない 唯一変わったのは貴方より年をとったこと そうやって時間は過ぎてくのに あたしの中の時間はあの日から変わらない #花束

2016-09-01 14:36:23
あみ @ami_qitt25

5 「ねぇ?どう思う?一緒にやって行ける?」 『どうやろ…でも、行けるんちゃうか?』 向かい合ったテーブルのカップを見ながら 「ねぇ、浮気しても言わないでね」 『あ?せんよ、そんなん…信用無いな』 「信用はしてるよ…ただ、知らなければ傷つか無いじゃない」 #花束

2016-09-01 14:36:29
あみ @ami_qitt25

6 『アホ、俺はさ、これでもちゃんとお前と向き合うつもりやよ…悪い事も良い事も、全部含めて…やから、一緒に居るんやろ』 「ん、…ありがとう、」 そんな事を話した夢を見て目が覚めた 隣に貴方は居ない…毎日、確認してる #花束 pic.twitter.com/tthcD42Yca

2016-09-01 14:36:35
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あみ @ami_qitt25

7 貴方の声が聴きたくて…留守電に電話を掛ける アタシ宛のメッセージを再生して 『お前何処に居るねん、早う帰って来い、心配するやん…アホ、、』 貴方こそ何処に居るの? 早く帰って来て…もう、限界だよ… #花束

2016-09-01 14:36:38
あみ @ami_qitt25

8 その日も会社の帰り道 地下鉄のホームで…貴方の匂いがした そんな事ある訳無い そう思いながら周りを見渡す… 人混みの向こうに貴方によく似た後ろ姿が見えた… 解ってる、そんな筈無いって… でも、追い掛けてしまう…貴方かも知れないから #花束

2016-09-01 14:37:58
あみ @ami_qitt25

9 「待って…、、」 声に出して見る 「待って…置いてかないで…」 もう、後ろ姿は見えなくなってる 「あたしを一人にしないで…」 人混みの中、階段に気付かなくて 躓いて…立てなくて… 周りが不審げに見てるのは解ってる #花束

2016-09-01 14:39:00
あみ @ami_qitt25

10 それでも立てないあたしは… このまま居ない物になって行く それでも良い… 消えれるなら消えてしまいたい フワッと貴方の香りがして 『大丈夫…ですか?立てますか?』 誰かが声を掛けて来た 「大丈夫です」 #花束 pic.twitter.com/QPlbNzi9fM

2016-09-01 14:40:17
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あみ @ami_qitt25

11 それだけ絞り出して…立とうとしたら 目の前に手が…貴方とは少し違う でも、ゴツゴツとした男の人の手が 『掴まって下さい、足捻ってるでしょ?立てますか?』 その人の声は貴方の声に少し似てる気がしたのは貴方で合って欲しいと思う あたしが作った幻聴だね #花束

2016-09-01 14:40:59
あみ @ami_qitt25

12 『大丈夫ですか?痛みますよね』 地下鉄構内のカフェで冷たいおしぼりで 足首を冷やしながら 「すみません、ご迷惑お掛けしました」 『いや、 俺はええんやけど…泣くほど痛かったん?』 「え?…」 その人の指があたしの頬を拭って #花束

2016-09-01 14:42:10
あみ @ami_qitt25

13 『涙の跡…あ、ごめんなさい、 知らない奴にこんな事されたら嫌ですね』 人前で泣くなんて…子供見たい 「違うんです…痛いからじゃ無くて…」 その人は黙ってあたしが喋る事を 聞いてくれた 自分には関係の無い話なのに #花束

2016-09-01 14:42:46
あみ @ami_qitt25

14 「ごめんなさい、つまらない話でしたね」 『いいえ、そんな事ありませんよ… 誰だって誰かに話を聞いて欲しい時がありますよ… 貴女の話を聞けたのが俺で良かった』 にっこりと笑うその人は そんな事を平気で口にして #花束 pic.twitter.com/yCayj1pW94

2016-09-01 14:43:45
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あみ @ami_qitt25

15 『ごめんね、 もっと聞いてあげたいんやけど… 時間が無いんよ、、又、会えるとええね』 そう言って伝票を持って行ってしまった 「ただいま…」 誰も返事をする訳でも無いのに 習慣で言ってしまう #花束

2016-09-01 14:44:35
あみ @ami_qitt25

16 『アホやな、又転けたんか… ああ、こりゃ腫れるぞ、ちゃんと湿布貼っとけよ』 「分かってるよ…」 居ない貴方との会話も普通になってしまって… 知らない人が見たらきっとおかしくなったと思われるんだろう でも… こうでもしなきゃほんとにおかしくなってたから #花束

2016-09-01 14:45:19
あみ @ami_qitt25

17 貴方の匂いが微かに残るシャツを抱き締めああ、あの人は同じ香水を使って居るんだ だから…同じ香りがしたんだ 当たり前の事を今更理解する 『そんな事…分かってるやん、 俺はもう…居ないんやから…』 #花束 pic.twitter.com/BF9st7f04W

2016-09-01 14:46:30
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あみ @ami_qitt25

18 「分かってるよ…分かってる… 信ちゃん、、そんな、言わないでよ… あたし、、、」 『アホやな…泣く事ちゃうやん、、 もう、ええから…もう…忘れてええから…』 どうしたら忘れられるの? 貴方の指の感触まで… #花束

2016-09-01 14:47:37
あみ @ami_qitt25

19 まだ覚えてるのに 貴方が触れた手や指を辿って 自分を慰めて行くのも…いつもの事 貴方の息遣いや言葉や指の動きは こんなに鮮明なのに… 満たされないあたしの中は又空っぽのまま… 同じ事の繰り返し #花束

2016-09-01 14:48:31
あみ @ami_qitt25

20 「あたしも…連れて行って…貴方の傍に…」 久しぶりに泣きながら寝てしまった きっとあの人が優しくしたから… 誰かに何かを期待してしまったから… #花束 pic.twitter.com/Bj2pU9jPHm

2016-09-01 14:49:51
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あみ @ami_qitt25

21 『ああ、良かった…又、逢えて』 改札を通る前腕を取られて 「あ、先日はご迷惑お掛けしました」 『あ、いいえ、…足大丈夫?』 「はい、大分腫れは引きました…」 『あ、ほんまやね…良かった あのまま行ってもうたから気になってたんよ…後、君の事も…』 #花束

2016-09-01 21:56:13
あみ @ami_qitt25

22 「え?…」 『余計な事なんは分かってるんよ… でも、何やろほっといたらあかんやろなって…』 その人は少しはにかんだ様に鼻の頭を掻いて 『嫌や無かったら…飯でも行かへん?』 いつからだろう 誰かと向かい合って食事をしなくなったのは #花束

2016-09-01 21:56:19
あみ @ami_qitt25

23 『食欲あらへん? 飯より酒の方が良かったかな?』 「いえ…」 その人はゆったりと笑う人で 貴方とは違うけれど 貴方と同じ様に包み込む優しさが 感じられた #花束 pic.twitter.com/OWvASAr5hQ

2016-09-01 21:56:26
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あみ @ami_qitt25

24 『何があったんやろって… あの後凄い気になってんねん 余計な事なんはほんま 分かってるんやけど…話してみいひん? 少しは楽になるかもしれへんから…』 「ありがとう御座います、 でも、話す様な事じゃ無いんで…」 #花束

2016-09-01 21:56:28
あみ @ami_qitt25

25 『そうか、じゃぁ、こうせいへん?… 1週間…月に1回合ってこうして 飯食わへん?』 「どうして…」 『ほっとかれんって言ったやん… 俺の自己満足…付き合ってくれへん?』 #花束 pic.twitter.com/KHYUfNse47

2016-09-01 21:56:33
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