メトロポリタン・マンドリン・オーケストラ 9/19演奏会の聴きどころなど

2016/9/19(月・祝)に開催する、メトロポリタン・マンドリン・オーケストラ 第27回演奏会のプログラムについて、聴きどころなどツイートをまとめました。
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笹崎・(T)・譲 @udupho

9/19(月・祝)にメトロポリタン・マンドリン・オーケストラの演奏会を行います。僕は最近、大きな演奏会はこれしか出ませんので、1年に1回だけ企画・編曲の立場からしばらく多めにつぶやかせてください。よろしくお願いします。 d1.dion.ne.jp/~met/

2016-09-02 00:26:51
笹崎・(T)・譲 @udupho

はじめにScriabinの「夢」を演奏します。原曲は5分くらいの管弦楽曲。5曲の交響曲とピアノ協奏曲、「夢」のほかはほぼすべてがピアノ曲というScriabin。僕がこの「夢」を初めて聴いたのはたぶん25年くらい前だと思います。すごく立派で現実的な響きがするなあという第一印象。

2016-09-02 00:32:27
笹崎・(T)・譲 @udupho

「夢」というタイトルなのに、ずいぶんと音が厚く鳴り響き、ほんとうはもっと儚い響きが合うのではないかと思ったのでした。あ、あるじゃん、そういうのを得意とする合奏体がすごく身近に。マンドリン・オーケストラに編曲して演奏したのは2002年。実に14年ぶりの再演となります。

2016-09-02 00:37:51
笹崎・(T)・譲 @udupho

オーケストラは油彩、一方マンドリン・オーケストラは透過光と水彩の中間、というのが僕の持っているイメージ。厚さで勝負しにくいけれど、一方で半透明な魅力があると思っています。Scriabinの「夢」を半透明な色彩で組み立て直すことで、この曲の本質的な魅力が明らかになると信じています。

2016-09-02 00:46:53
笹崎・(T)・譲 @udupho

9/19、続いて、Prokofiev10の小品より6曲。原曲はピアノ曲。作品番号は12だけれど、さらに若い時に書いた作品も含みます。その楽しい楽想は、アンコールピース向けだったりもするけれど、その割に演奏は超困難で演奏されることは稀なのがもったいない!

2016-09-03 07:33:55
笹崎・(T)・譲 @udupho

ピアノで弾くには音が多すぎて、これを苦労せず楽しく弾きこなせる人は少ないでしょうね。「ただ、1つ1つの声部が難しいわけではなく、分担して弾けば楽しい作品になるのでは。しかも、Prokofievの音の出し方はマンドリン・オーケストラ向き。」ということのが選曲理由。

2016-09-03 07:34:27
笹崎・(T)・譲 @udupho

マンドリン・オーケストラの「各音が混ざりすぎない」特質によって、Prokofievの閃きに満ちた和声進行が効果的に響くだろうと想像して編曲しています。対位法の複雑さも、適度に分離するマンドリン・オーケストラの特性ですっきりと自然に。

2016-09-03 07:37:11
笹崎・(T)・譲 @udupho

第7曲「前奏曲[ハープ]」→第1曲「行進曲」→第2曲「ガヴォット」→第9曲「ユーモラスなスケルツォ」→第6曲「伝説曲」→第3曲「リゴードン」の順で演奏します。「ユーモラスなスケルツォ」は作曲家自身が4本のファゴットのために編曲して、割と有名です。

2016-09-03 07:38:06
笹崎・(T)・譲 @udupho

余談ですが、「行進曲」と「リゴードン」に、それぞれ某曲を引用。わかるかな。

2016-09-03 07:38:20
笹崎・(T)・譲 @udupho

9/19、3曲目は大前哲さんの作品で「7つの小景III」op.103。大前哲さんは関西の現代音楽作曲家。関東では、あまり演奏されないですね。面白い作品多いのに。一現代音楽ファンとしては関東以外の作曲家にも目を向けてほしいところ(もちろん海外にも)。

2016-09-10 22:03:18
笹崎・(T)・譲 @udupho

さて、これは2001年の作品で、初演は聴いていないけれど、ある人から譜面を見せていただいた。その時にほかの現代音楽家のマンドリン・アンサンブル作品を約10作見せてもらい、うちぜひ演奏したいと思った2曲のうちの1曲。ちなみにもう1曲は南聡さんの「彩色計画VI」(CD録音済み)。

2016-09-10 22:09:37
笹崎・(T)・譲 @udupho

作品は作曲家によると「曰く付きの作品」。 マンドリン・アンサンブルのための原作(1992)は初演されず。 ↓ 弦楽のために改作「7つの小景II」(1993) ↓ 別のマンドリン・アンサンブルから委嘱「7つの小景III」(2001) ↓ いい曲のなのに忘れられて放置。 ↓ 今ココ

2016-09-10 22:16:12
笹崎・(T)・譲 @udupho

編成はマンドリン6、マンドラ・テノール4、マンドロンチェロ2。計12人。室内楽的発想で、演奏はけっこうな難しさ。7つの場面はそれぞれ静かに消え入り(7つ目の場面を除く)、切れ目なく演奏される。特徴ある音程や動きからなる数種類の音形細胞が綿密に展開し、独自の時空が生成される。

2016-09-10 22:27:38
笹崎・(T)・譲 @udupho

大前哲さんの代表盤CD、「イン・ザ・メモリーズ~大前哲室内楽曲集」は、手に入りにくいのですかね。かなり面白いアルバムなのですが。当日会場大特価で販売予定ですよ。

2016-09-10 22:40:44
笹崎・(T)・譲 @udupho

9/19演奏会、最後はSibelius交響曲第3番。交響曲は4~7番を取り上げてきましたが(4番は第3楽章のみ)、いよいよ第3番。第1・2番は取り上げるつもりがないので、これで完結、ですかね。

2016-09-13 22:52:34
笹崎・(T)・譲 @udupho

Sibeliusは誤解されている作曲家と思っています。僕は、相当独自で斬新な作曲家だと思うのですが。最近、ようやくSibeliusの新らしさに目を向けようというムードは出てきたような。そこでは、「ほかの作曲家にはない縦の響きの新しさ」のようなことが言われているようだけれど……

2016-09-13 22:52:46
笹崎・(T)・譲 @udupho

そこじゃない、と僕は考えます。Sibeliusの音楽は縦ではなく横に見たときにその斬新さがあるのではないかと。遠近感の違う層の出現。各層は独立して動き、ある層は遠ざかり、違う層は近づく。時には層の遠近が次第に交替したりもする。これこそまさしく現代の音楽の原点ではないかと。

2016-09-13 22:53:02
笹崎・(T)・譲 @udupho

そして、楽曲展開の独自性。ヨーロッパの音楽は素材がまずあり、それを展開するのが基本。しかしSibeliusの場合、植物の種子のような断片が、次第に動機にまで発展し、花開く。ときどきほかの動機と合体したりもする。植物の成長や遺伝の実験を見るかのようだと思ったりします。

2016-09-13 22:53:22
笹崎・(T)・譲 @udupho

このような作風はSibeliusの中後期作品に顕著なわけですが、民族主義的なものよりも、もっと根源的なものに根ざそうとした結果が、このような独自の方法論を産んだような気がします。そして交響曲第3番は、「私は独自の作風を追求していくのだ」という決意表明作品であるように感じるのです。

2016-09-13 22:53:41
笹崎・(T)・譲 @udupho

交響曲第3番を読み解く一つの鍵は、Fis音にあるように思います。3種類の使われ方があるようです。①音高としてのFis ②旋法としてのFis(C-D-E-Fis-G-A-H リディア旋法) ③増4度としてのFis(ハ長調基音CとFisの関係)。

2016-09-13 22:53:55
笹崎・(T)・譲 @udupho

とくに②③は重要で、ここに注目すると全体の仕掛けがだいぶ見えてきます。イオニア旋法の下行とリディア旋法(②)の上行が同時に出現するところは、各楽章で重要な役割を果たします。初出場面は、ト長調でC音とCis音(ハ長調に移調するとF音とFis音)。がダイレクトに衝突します

2016-09-13 22:54:29
笹崎・(T)・譲 @udupho

編曲にあたっては、Sibeliusの新しさや仕掛けの効果ができるだけ自然に表現しやすいよう心がけました。テンポも、分析結果を踏まえて、ほかの演奏とは違う設定かな。マンドリン・オーケストラと絶妙な相性を見せ、新しい角度から光を当たったSibelius作品を、ぜひお楽しみください。

2016-09-13 22:55:32