中国初の海外衛星商業打上げ、アジアサット1にかんする四方山話。

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中国はこうして海外向け衛星打ち上げサービスを提供してきましたよ、ってんで、アジアサット1打ち上げの四方山話。 从那刻起,中国航天走向世界 mp.weixin.qq.com/s?__biz=MjM5Nj… pic.twitter.com/hNPXm5h9DC

2016-09-20 18:11:26
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元航天工業部駐米国首席代表の黄作義が語る、アジアサット1と中国の宇宙開発との縁。

2016-09-20 22:39:46
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1985年10月、航天工業部は中国政府の代表として、長征ロケットの商業打ち上げサービス開始を発表した。とはいうものの、当時の国際商業打ち上げサービス市場は米欧2強に独占され、それ以前にそもそも国際市場でのセールス経験も打ち上げ実績もない中国。

2016-09-20 22:40:19
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スタートから困難な道のりだったが、彼らの視野に入ってきた一つの衛星があった。ヒューズ社製のHS376。ウェスタンユニオン社が同衛星バスをベースとしたウェスター6はスペースシャトルで宇宙に運ばれ軌道投入されたが故障し、シャトルで回収されたある意味稀有な衛星だった。

2016-09-20 22:41:22
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この頃すでに経営不振に陥っていたウェスタンユニオン社は、修復したウェスタ―6を再度打上げるにあたり、まだ実績のない中国ならばかなりディスカウントしてくれるのではと睨んでいた。1986年、同社副総裁率いる専門家の一団が中国を訪問し、視察を行った。

2016-09-20 22:41:46
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中国側にとっては、これがHS376と技術的に触れ合った最初の機会、また中国の宇宙開発とこの衛星との不思議な縁の始まりとなったと、当時の中国長城工業総公司宇航部担当経理の張浩青は語る。

2016-09-20 22:42:18
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長征ロケットが海外の衛星を打ち上げるにはクリアすべき技術上の問題がいくつもあった。が、残念なことに、債務不履行に陥っていたウェスタンユニオン社には残された時間がなく、ついにウェスタ―6が再び宇宙へ上がるのを見る機会はなかった。

2016-09-20 22:43:17
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ウェスタ―6は当時香港で設立された亜洲衛星通信公司に買い取られ、「アジアサット1」と改名された。1989年、同社と長城工業総公司はこの衛星の打ち上げ契約を交わした。このとき、競争相手の仏アリアン社が最後まで食い下がったが、亜洲衛星通信の株主が中国資本だったことが決め手となった。 pic.twitter.com/pWpb4lf6kq

2016-09-20 22:44:19
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契約を交わしたものの、打上げまでに残された期間は16か月。三段ロケットの長征三号で海外の衛星を載せて打上げるために必要な調整個所は数えきれないほどある。中米双方の技術者は言語と双方の技術特性の違いに悩まされながら検討を調整を進めた。

2016-09-20 22:45:10
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とにもかくにもロケット側の調整が山積み、とされてきたが、実はこの時、衛星側にも一か所変更を進めていた。この件はほとんどの人が知らないが、とても重要な出来事だった、と記事は綴る。

2016-09-20 22:45:42
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宇宙に到達後、衛星は自身のアポジモーターで静止軌道に遷移するが、アジアサット1の推進剤はケープカナベラルから打上げた場合の設定、起動傾斜角28.5度を元に分量が計算されていた。長征三号は西昌衛星発射センターから打上げられる。当然起動傾斜角には差異が出る。写真は西昌に搬送される衛星 pic.twitter.com/i7s9HWOGno

2016-09-20 22:47:38
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このままでは静止軌道に乗らない。軌道に乗らなければ計画は失敗。双方の技術者が集まり対策を話し合った。その際に出たアイデアは、推進薬装填量505㎏のStar-30Bエンジンを装填量591㎏のStar-30Cに換装するというもの。技術面では換装作業に問題はないことが確認できた。 pic.twitter.com/d0lM21zvQU

2016-09-20 22:48:48
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また、この換装で衛星の重量は増えるが、それでも長征三号での打ち上げ能力で十分にカバーできる。ただ、このアイデアについて中国側は「ヒューズ社はこの要求まず飲まないだろうな」と思っていた。が、意外なことに米国側プロジェクト経理がその場で同意、実行されることに。

2016-09-20 22:49:21
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しかし、アジアサット1のアポジモーター換装のくだりは、そりゃ技術的には可能だったんだろうけど、実際の作業はどうだったんだろうな…ちょっと気になる。 …さて、昨晩の続きをぼちぼちはじめようかね…

2016-09-21 21:59:13
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さて、技術面以外でも、解決すべき問題はまだまだあった。そもそも右も左も分からない状態で始めた国際商業打ち上げサービス。衛星を載せた貨物機の到着手続、税関手続、検査検疫、機密保持などなど、把握すべきことは尽きなかった。 pic.twitter.com/DMN47vFBUh

2016-09-21 22:25:48
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「当時はケータイもなく、ずっとオフィスの電話機に張り付いて連絡がつくようにしていた。ほぼ毎日、様々な問題が起きていた」今でもあの緊張の日々を覚えていると、長城工業総公司の張浩青は語る。

2016-09-21 22:26:34
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保険契約といったリスク管理についても手探りの中国。海外で人工衛星の保険を請け負う能力のある会社は欧米に十数社ほどあった。ただ、衛星保険はどうしても巨額になる事から、複数の会社が分担して請け負うのが一般的だった。ところがアジアサット1は中国製ロケットで打上げるという。

2016-09-21 22:27:21
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これから市場参入しようという中国製ロケットの信頼性など、どの保険会社も知る由もない。このままではどこも保険請負手がいない。まずは中国のロケット製造技術を知ってもらうところからのスタートだった。航天工業部駐米代表の黄作義が説明周りを担当することになった。

2016-09-21 22:27:54
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黄作義はもともとロケット技術者でもあったので、説明の場ではその知識と経験が充分に活かされた。英米独仏加と各国の保険会社を説明に回った。苦労の末、最終的にはどうにか衛星保険の契約にこぎつけた。

2016-09-21 22:28:25
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リスク管理については中国側でも調整すべき問題があった。長征ロケット打ち上げの際にトラブル発生した際の第三者損害賠償責任について、中国政府が引き受けてくれるかどうか。この政府補償の有無について思い至ったのが打ち上げの一週間前だった。

2016-09-21 22:30:38
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航天工業部改め航空航天工業部は早急に書類を作成、国防科工委員会の印が押された書類が外交部に回されたがその日はすでに土曜日の午後だった。外交部は業務を終了したばかりだった。国防科工委員会の職員は直接外交部長宅に押し掛けた。

2016-09-21 22:31:14
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週明けの月曜には外交部から英国大使館に照会が出され、手続きが完了した。打上げ5日前の事だった。その時のことを思い出すと今でも緊張する、と長城工業公司の張浩青は語る。

2016-09-21 22:31:33
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そもそもなぜ英国の同意が必要なのか?衛星の打ち上げには影響がないかもしれない。ただし、衛星の運用母体は香港の会社で、香港政府(英国政府)が営業許可証を発行していた。関係に問題が生じれば、許可証を取り上げられる可能性もある。「英国の同意」という過程は不可分のものだった。

2016-09-21 22:32:05
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とにかく何もかもが初めて尽くしだった。それでも艱難辛苦を乗り越えて、1990年4月7日、打ち上げ当日を迎えた。打ち上げ数時間前になっても西昌には雲が広がり、雷雨も降り出す天候で、打ち上げスケジュールは遅延もやむなし、という状況だった。

2016-09-21 22:39:30
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西昌にはすでに20数ヶ国から300名の賓客を招待していた。アジアサット1の打ち上げは世界中から注目を集めていた。予報によればしばらくして雷雨は止むということだった。管制員らは手に汗握り天候の回復を待った。午後9時30分、射点上空の空が晴れた。打ち上げ条件は整った。

2016-09-21 22:39:56