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nakatsu_s @nakatsu_s
第八回角川春樹小説賞受賞作『横濱つんてんらいら』(橘沙羅/著)で、人気イラストレーター・大宮トウさんにプロデビューしていただいたので、ライトノベル編集とイラストレーターの関係について書いてみたいと思います。本作も10月1日刊行なのでぜひよろしくお願いしますね! pic.twitter.com/WXsUjquvt7
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私自身の一つの経験則として、能力のあるライトノベル編集者の条件の一つに、「すごく面白い新人のラノベ担当になったとき、その作品に当てる切り札のようなイラストレーターを常に準備している」という条件があります。
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勿論、その編集さん個人がイラストレーターを知っている必要はなく(部下とか同僚とかいるしね)。編集部全体として、「自信作にはこのイラストレーターを充てようと思っているんだ」という腹案、まだ小説作を担当したことのない新鮮なイラストレーターを知っている編集部は力ある編集部です。
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イラストの力だけでラノベが売れるわけではなく、編集者としては文章編集力こそ第一に考えるべきですが、でもやっぱり能力あるラノベ編集者は、ここぞという作品に当てる新人イラストレーターを常に――そう常に2、3人は秘蔵しているものなのです。
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――ここで90年代から10年代のイラストの分かる編集部の変遷を書くと、色々と支障があるので止めときますが、ちょっと特殊だったのはやはりMF文庫Jですね。
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MF文庫Jは、ラノベ読者の高校生と書店員や営業を編集部に呼び、ネットから拾ってきて出力させたイラストを見せて、どれが好きなイラストかとアンケートを取って決めるというかなり特殊な方法を取っていました。これで編集者によってばらつきあるイラスト審美眼を平準化させていました。
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普通はイラストが大好きな編集者が決めるという手法をあそこまでシステマティカルに進め、成功させたのはちょっと本当にすごかったです。これもしょうがないのですが、イラストが判る編集者も、時代を経れば古くなってしまうので、常に新陳代謝させないといけないのです。
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一方、イラストを決定する編集者の中に、若手編集を意図的に入れておくというのも有効なイラストレーター選定の方法です。新人編集者から「なんとなく古い絵柄のような気がします」との指摘や新情報を、汲み取れる編集部は、良いイラストを充ててきます。東京創元社さんがそのタイプ。
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東京創元社の編集部は、とにかく若い女性編集者がイラストレーターを選定することが多いらしく、巧いけれど超マニアックなイラストレーターを連れて行っても「あ、この人、知ってます」と言われるんだよなー(しかも複数の女性編集者から)。イラストに詳しい、持ち込みが狙い目の編集部です。
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結局、良いイラストレーターが持ち込みをしてくるとか、Pixivでランキングが上位だとは限らないので、やはりコミケやコミティアをマメに見て回ったりするしかないのは変わらない感じです(これはイラスト審美眼を上げるためにも良い)。
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で、プロ志望のイラストレーターさんに持ち込みのアドバイス。これは私がエス編集部のイラスト審査会の時に伝える話で、これに応えてくれたイラストレーターさんは大抵、プロデビューして、しかも喰っていけているので参考にしてみてください。
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イラストレーター仕事というと、どうしてもライトノベルのカバーイラストを書いて、それが人気作になりアニメ化され――って思いがちですが、現在、小説にイラストカバーを付けることが一般的になってくると、それが唯一の方法ではなくなってきています。ではどこの編集部に持ち込めばいいか(続く)。
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それは「小説雑誌を出している編集部」です。小説新潮とか小説すばる、ミステリーズとか。できれば青春小説の連載のある編集部です。勿論、小説が単行本化されたときのカバーイラストは、仕事の華ですけど、月刊でモノクロイラストを描くというのは、いつも供給が足りず狙い目なのです。
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入れ替わりも早いですしね。そのためにエスに持ち込むイラストレーターさんに話しているアドバイスとは「幻想的なイラストだけではなく、現代を舞台にしたイラストも描いてポートフォリオに入れる」「好きなキャラクターだけではなく、オジサン、オバサン、警察官なども描いてみる」(続)
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「好きなもの、得意なもの以外に、時代小説もミステリーもライトノベルも、全部描けるようにしておく」――そして何より重要なのが「好きな小説家の名前を、5人ぐらい言えるように小説が好きになっておく」ってことでしょうか。小説が嫌いなイラストレーターに小説イラストは普通、頼まないですからね
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小説編集者は、勿論小説が好きで仕事してますから、担当と話題を合わせるには、小説の話をするのが一番っていう営業的な側面もあります。「小説読んでイメージイラストを描いて」という依頼もあるんだから、小説を読むのが面倒な人は、小説イラストは目指さない方が良いかも。
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私は個人的に、新人イラストレーターを発掘することが大好きなので、審査会に参加させてもらったり、同人誌即売会巡りをしてます。その結果、「センチメンタルグラフティ」の甲斐智久さん、映画化された『神様のパズル』のD.Kさんとか出してきた訳ですが、大宮トウさんも続いて欲しいなー。
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あと時代小説は、実はフレッシュは新人イラストレーターがいないので、狙い目です。最近――といってもちょっと前ですが、発売3日で重版した早見俊さんのこちらの凝った構図のイラストは、アニメーターさんに描いてもらってものです。いいでしょ。 pic.twitter.com/s7J3xcMijI
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着物描くのが好きなイラストレーターさんや、オタクと一般層を両狙いできるタイプのイラストレーターさんは、遠慮せずに持ち込みしてくださいねー。何人ものイラストレーターの旦那さんから「これで嫁さんが買った着物が、経費ってことで心理的に負担が減る」と言われたのは秘密だw
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「出版業界は不況だから優秀な学生が集まらなくなって」という契機の悪いニュースがTweetされてきたけど、そんなのとは無関係に、出版業界は超面白い人材が山ほどいて、面白い話、ワクワクする話、嫌になるほど怖い話が山ほど聞けるので、作家・イラスト志望者はぜひぜひ応募してきてねー!

コメント

taka @Vietnum 2016年9月28日
出版業界に超面白い人がいっぱいいるらしいけど、超面白い作品が少ないのはなんでなの?
小書会 9/22砲雷へ-15 @kosyokai 2016年9月28日
営業先を一つ増やそうと思いました。
アイヌ語で浮き草という意味だそうです。 @tokaov 2016年9月28日
「よみがえる空」のジャッキー先生の件を思い出しました。 挿絵とか表紙ってその話の世界観や重要な部分をいかに切り取って表現するかなのかなぁとか。キメ写真よりも日常のカメラワークというかそういう被写体を視る目とその表現技術なんだなって。
ねなし@iPad欲しい @a_ne74 2016年9月28日
やっぱ東京の同人誌イベントに出なきゃダメだなー。(でもお金ない)  まずは、東京の出版社にアプローチするところから頑張ってみる。
師走悠裡 @shiwasu_yuri 2016年9月28日
アニメ化してるし今更原作読む気しないなとか内心ラノベとか誰でも書けるやろって舐めてる絵描きに小説イラストは無理ってことか。ある意味当たり前か
うまみもんざ @umamimonza 2016年9月28日
ぼくがラノベデビューしたら挿絵はウスラ沢野でおねがいします
@meltyblue 2016年9月30日
わかる>東京創元社
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