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motidukinoyoru
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ハイパーインフレーションの理論を、もっと文学的に(非数学的に)記述してみる。 (ハイパーインフレーションの理論については、岩本先生とhimaginary氏の議論d.hatena.ne.jp/himaginary/201…を参照した)
2016-10-01 06:32:12![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
前提として、政府の収入はベースマネー発行に依存することになっている。 また、信用貨幣制度を前提としていない。つまり、とりあえずはベースマネーを唯一の貨幣とする。(このことについては別途考えたい)
2016-10-01 06:32:39![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
政府が新規借入(≡BM発行)によって追加の実物購入を行おうとすると物価上昇(BMの購買力の低下)が起こる(民間保有BMにもこの効果は働き、インフレ税と言われる) 仮定として、計算上の便宜から、実質成長を0とし、名目成長=インフレ率であるとする。(実質成長がある場合は別途補正する)
2016-10-01 06:35:13![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ここで、一般にインフレが激しい場合は、BMを(NGDPに比して)相対的に手放しがちであると仮定する。つまり、BM/NGDPが低下すると考える。 あるインフレ率と、そのインフレ率におけるBM/NGDPが定まるとき、それに整合的なΔBMはただ一つの値に定まることになる。
2016-10-01 06:37:03![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
もしΔBMがより大きくなる場合、それによる直接的なインフレに加えて、そのインフレがもたらすBM/NGDPの低下がさらに物価水準上昇を後押しするポジティブ・フィードバックがある。 この場合、ΔBMが2%から4%に増えたとき、物価は"一時的に"より大きく増加する。(非持続的増幅)
2016-10-01 06:37:47![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
なお、岩本先生のグラフblogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar…では「BMがあるポイントを逸脱すると、すぐさまハイパーインフレに向かう」ように見えてしまう。 その理由は、岩本先生がBMではなく、BM/NGDPに焦点を合わせて理論を説明しているからだ。
2016-10-01 06:38:12![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
BM/NGDPで考える場合、ハイパーインフレは、BM/NGDPの断続的な”低下”で表現されることになる。 あるBM量によって実現されるNGDPがどんどん大きくなるという形でハイパーインフレが生じるわけだ。
2016-10-01 06:38:29![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
BM/NGDPの低下がインフレを齎すと、そのインフレがさらにBM/NGDPの低下を齎すというスパイラルがハイパーインフレの元になるわけだが、この螺旋が成り立つには、もともとのBM/NGDPの低下が持続的なものである必要がある。
2016-10-01 06:38:53![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
しかし、ΔBMのシフトが一度である場合は、ΔBMの上昇それ自体は持続的なものとなっても、BM/NGDPの低下は持続的なものにはならない。 というのは、ΔBMの上昇⇒インフレ率の上昇⇒BM/NGDPの"一時的な"シフト⇒物価水準の"一時的な"増幅(非持続的)という経緯だから。
2016-10-01 06:39:16![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ΔBMの上昇が限定的かつ一時的である場合は、インフレ率もまたある値で安定するのである。 問題は、ΔBMの上昇が断続的(BMの二回微分が正)である場合である。 そうなるケースの一つは、政府の借入(BM発行)が、額面ベースではなく実質ベースで決定される場合である。
2016-10-01 06:39:38![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
既述の通り、ΔBMがシフトすると、それによる直接的なインフレ以上に、BM/NGDP低下による物価水準シフトの増幅がある。 もし当初政府が獲得しようとした財の実質価値(実物的な財の量)を断固確保する場合は、その物価水準シフトを(BMのさらなる追加で)「後追い」しなければならない。
2016-10-01 06:40:33![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
この場合、ΔBMの断続的な増加が生じ、BM/NGDPの断続的な低下につながり、ハイパーインフレーションになる。 これに対する簡単な対策は、インフレ目標を(中央銀行ではなく)政府財政に課すことである。これはハイパーインフレだけでなく、不況・長期停滞においても有効になる。
2016-10-01 06:40:47![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
なお、ハイパーインフレーションの理論は、同時にハイパーデフレを示唆することについても解説する。 ΔBMの低下がインフレ率の低下を齎すと、それがBM/NGDPを引き上げることを通じて、NGDPの低下(すなわち物価水準の低下)は一時的に増幅する。
2016-10-01 06:41:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
もしBM/NGDPの持続的上昇がある場合、それはデフレ⇒BM/NGDPの上昇のスパイラルを齎す。 しかし、このためには、ΔBMの断続的低下(BMの二回微分が負)が生じる必要がある。これには、ΔBMの断続的低下それ自体が目的化するといった、倒錯的な事態を想定しなければならない。
2016-10-01 06:43:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ここまでは、ベースマネーが唯一の通貨であるという前提で話を進めてきたから、ここからは信用貨幣の場合を考えていこう。 この場合、インフレ率に直接経路を持つのは、信用貨幣である。(BM及びBMを含む政府負債は、インフレ率に対して直接の経路を持たない)
2016-10-01 06:43:51![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
信用通貨の発行を担うのは、銀行と借入者(の相互作用)であり、その借入者は当然民間でも政府でもあり得る。 ここでは、仮に政府借入の増加率上昇によって、政府負債(国債+BM)が増加率上昇していても、それがインフレを直接齎すとは限らない。
2016-10-01 06:44:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
例えば、民間の借入減少(それによるNGDP低下)に対し政府が財政赤字で補填するような構造(財政の景気安定化機構)がある場合、政府借入の増加とインフレは直結しない。 この構造は、通貨発行が政府専権的ではなく、民間にも担われていることから得られる。
2016-10-01 06:44:20![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
もちろん、この場合でも財政赤字拡大によるハイパーインフレの経路があるが、それは政府信用が直接マネーサプライを増やすからである。 BMは、増加するマネーサプライの決済を支えるため、受動的追加を要請されるに過ぎない。
2016-10-01 06:44:32![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ここで、中央銀行がBMの供給に抵抗した場合、政府財政が実務的に破綻するという解説がされることがあるが、BMを絞ることで財務破綻を起こす主体としてももっと可能性が高い存在は、実は銀行である。
2016-10-01 06:44:51![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
というのは、銀行は、MS供給=銀行預金供給が増え、それによる対外決済が増えるのに、対外決済に必要な銀行間決済通貨=BMが不足するわけで、政府よりも先に不履行状態に陥り得る。 中央銀行の存在意義的にそうした事態は当然許容できないので、HIを追認するしかなくなるといった具合である。
2016-10-01 06:45:51![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
また、(信用)通貨創造&支出が実物生産を刺激するようなケインズ的構造がある場合は、信用通貨創造(政府借入も民間借入も含む)がどれだけのインフレを齎すか、割り引いて考える必要がある。 持続的なインフレ率上昇が、長期的な成長シフトを齎す場合は尚更である。
2016-10-01 06:47:51![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ハイパーインフレーションの理論を総括してみて思ったのは、「政府が資金調達を貨幣発行に頼るようになり,その後も財政赤字を維持し続けると,ハイパーインフレが生じる可能性が高い。」などという岩本先生のまとめはちょっと雑多すぎるということ twitter.com/motidukinoyoru…
2016-10-01 11:14:02![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ハイパーインフレーションの理論から言えるのは、ΔBM(BM増加量)のシフトが、BM/NGDPの低下(通貨流通速度の上昇)を通じて、より大きい物価シフトを一時的にもたらすということ。 そして政府は、それによる実質購入の相対的減少を受け入れなければならない。
2016-10-02 04:48:25![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
もし通貨流通速度の上方ソフトによる実質購入の相対的減少を容認せず、さらなる財政赤字で実物財確保に走った場合は、さらなる通貨流通速度上昇を通じたインフレスパイラルに突入することになる。 ただ、単に財政赤字(BM増加量)の規模を変更するというだけなら、相応のインフレ率に落ち着くだけ。
2016-10-02 04:51:05![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
今改めて考え直してみたのだが、社会保障支出の物価スライドはハイパーインフレ圧力として働くかもしれない。 社会保障支出増加による財政赤字→持続的インフレ→BM/NGDPの低下→物価の一時的な増幅→物価マクロスライドがそれを後追いする→ハイパーインフレへ これには調整機構が必要。
2016-10-06 05:58:38