第13話「輸送任務と黒い波」 パート1

脳内妄想艦これSS 独自設定に注意
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白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

13-1-22 風見が順々に見やると、綾波も、浜風も、そして雲龍も太々しい笑みを風見に返して見せた。 「あっ、ところでー」 ふと、綾波が思い出したように声を上げる。 「扶桑さんは今回の作戦には参加しないんですか?」 執務室に集まった面子は4名。そこに扶桑の姿は無かったのだ。

2016-10-04 23:40:46
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13-1-23「あいつは今回不参加だ。いざという時逃げるには扶桑の足はちょっと重いうえ、今回の趣旨に合わないからな…っと、そうだ、此方も作戦と別に伝えなきゃならないことを思い出したぞ」 綾波に続き、思い出したように風見も執務机の後ろから何やら包みを取り出してくる。

2016-10-04 23:42:29
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13-1-24「これは?」 風見が包みを渡した相手は雲龍だ。 「お前さんの滅茶苦茶な動きをサポートする苦肉の策だ」 雲龍が包みを開くと、彼女が普段使用している幡…によく似通った幡の『柄』が姿を現した。 「明石に用意してもらった。その真ん中辺りにある突起を動かしてみてくれるか」

2016-10-04 23:42:48
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13-1-25 言われるがままに雲龍がボタンのような出っ張りを動かすと… 『カチッ』 ロックが外れるような音と共に、柄の先端からふわり、と幡の布地が姿を見せて広がり、滑走路にあたる部分が展開した。 そのギミックに、その場にいた全員が「おおー」と驚いた反応を返した。

2016-10-04 23:45:10
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13-1-26「収納も出来るぞ。近接戦闘を行うには滑走路はちょっと邪魔だろう?必要に応じて使ってみてくれ」 「…良さそうね。感謝するわ」 新しい幡に問題が無いか触り触り確認する雲龍の姿に、綾波がふくれた顔で風見を見る。 「ええー、司令官、雲龍さんだけっていうのはずるいですよー」

2016-10-04 23:46:49
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

13-1-27「そう不満げな顔をしないでくれって、お前達のも今 割と必死に考えてるから…」 「資材も限りがあるんだから、無理を言っては駄目ですよ、綾波…」 …幾分か重い空気の晴れた執務室の一齣。 しかし、気持ちは変われど彼女らが立ち向かっていく事実も、現実も揺るぐことは無い。

2016-10-04 23:47:21
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13-1-28 …時を同じくして、佐伯の鎮守府より南西へと向かう艦隊が1つ有り。 「でっちー、でっち!今日もお仕事がんばろーね!」 花飾りを頭に着け、健康的に日焼けした艦娘が先導する艦娘にはしゃいだ様子で話しかける。 旗艦と思しき話しかけられた艦娘はげんなりとした様子だ。

2016-10-04 23:48:39
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

13-1-29「これだけ毎度毎度同じ仕事を繰り返してて、どうしてそんなに楽しい顔を維持できるのか知りたいもんでち…」 4隻編成の潜水艦隊。 南西を任務地とし、哨戒と資源の回収を主とする彼女らのデイリーワークは、各鎮守府共に全任務の中で随一のブラックさであると囁かれている。

2016-10-04 23:52:35
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

13-1-30「そんな事ないですよー!私もまだまだ敵艦を沈め足りない位ですっ!」 ツインテールの潜水艦も、朗らかな調子で笑っている。 「そんな事を言っていられるのも今のうちでち、新入り」 「ゴーヤ、気持ちは分かるけどー、もーちょっとで今週のノルマも終わるから、頑張るのね」

2016-10-04 23:56:35
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13-1-31 伊58、伊19、呂500、伊26。五十鈴、綾波、浜風、雲龍。 二つの艦隊は奇しくも全く同じ座標を目指し、まだ鋭い日差しの注ぐ海を行く。

2016-10-04 23:56:43
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__ 第13話「輸送任務と黒い波」パート1 終わり パート2に続く__

2016-10-04 23:57:31