「日本人ノイウ『キャラクター』ハ character ト違ウ」論

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uroak_miku @Uroak_Miku

1)あるアメリカ人文化人類学者が「日本人のいうキャラクターは英語でいう character とは違う。kyrarakuta としか呼びようのないものだ」と論じていて、それをどう理解したらいいのかずっとずっと考えてきました。

2016-10-08 23:52:49

kyrarakuta ---> kyarakuta

uroak_miku @Uroak_Miku

2)前にも何度か紹介したように、実在の有名人をキャラ化するのが理解できないのだとか。小泉純一郎をキャラクター商品にした「シシロー」が実例として論の中で挙げられていました。 pic.twitter.com/jByxHUsCGQ

2016-10-08 23:54:59
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3)小泉という実在の人物から自律してしまったら、それはもう小泉キャラとは呼べないではないか、と。 pic.twitter.com/l9fgehovRz

2016-10-08 23:57:20
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4)そんなこといってたらいしいひさいちのまんがはどうなるのか。誰でもそう思う。たとえばここに描かれる二人は実在の野球選手OBをモデルにしている。というかいしいがかつて実在の野球人をモデルに野球まんがを描いていたことを踏まえての内輪的ギャグ。 pic.twitter.com/AjRHk9ajtd

2016-10-09 00:01:04
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5)これですね。いしいの若き日のブレイク作。この太った野球選手「タブチ」は実在の野球選手をモデルにしていました。 pic.twitter.com/blJ4H8XjRF

2016-10-09 00:05:04
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6)キャラクターという概念がメイドインUSAであることは過去に何度も論じたとおりです。 スーパーマンは誰のもの? - Togetterまとめ togetter.com/li/1033239 @togetter_jpさんから

2016-10-09 00:06:50
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7)ピューリッツア賞という有名な賞があります。報道のノーベル賞とも呼ばれている、今では世界的に権威のある賞です。あれはピューリッツアという通信社の創業者にちなんだ名前です。

2016-10-09 00:10:22
uroak_miku @Uroak_Miku

8)かつてアメリカではピューリッツアとハーストという二大通信社が争っていました。移民が押し寄せるなか、部数を増やしていった。とりわけ日曜版は目玉商品で、英語の苦手な移民でも楽しめるよう四色カラーの派手な紙面が工夫された。そのなかでまんがに重点が置かれました。

2016-10-09 00:12:20
uroak_miku @Uroak_Miku

9)人気まんがの移籍問題があって、その際に争われたのは作品タイトルの帰属でした。これも前に論じたとおりです。『ののちゃん』というタイトルは朝日新聞のものだから、いしいが読売に移籍して続きを描くにあたってもこのタイトルは使うな、と。

2016-10-09 00:13:52
uroak_miku @Uroak_Miku

10)ところが当時あるまんが家が思いついた。大切なのはタイトルではなく主役ではないのか?主役を特許申請すればもう自分以外の誰も使えなくなる。よしやってみようと著作権局に申請した。当時のアメリカは著作権が登録制だったので特許と同じ扱いだった。 pic.twitter.com/er5gJq2Uh5

2016-10-09 00:16:08
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uroak_miku @Uroak_Miku

11)さすがにこれは受理されなかった。著作権法が守るのは「作品」であって「主人公」ではないと判断された。

2016-10-09 00:16:59
uroak_miku @Uroak_Miku

12)しかしこれが「キャラクター」の考え方樹立の画期となった。架空の人物を実在の人気スターとみなして「うちの芸能事務所所属だから」と権利を主張するのと同じ考え方です。

2016-10-09 00:19:12
uroak_miku @Uroak_Miku

13)最初はまんが家さんの個人的プライドの問題だったのですが、人気キャラを商品にして小遣い稼ぎ(あくまで副収入どまりでしたが)するのなら、やはり根幹特許にあたるものを押さえておいたほうがいろいろ有利なわけです。そのことが後々次第に「発見」されていくことになります。

2016-10-09 00:22:13
uroak_miku @Uroak_Miku

14)「お金が動くようになったから」ではなく「後でなにかこじれると面倒だから」という動機で始まったとみます。それを後世の目で見ると「お金が動くようになったから」のように思えてしまう。そうではないのです。その解釈はもっと後の時代から眺めての後付けです。ここ念を押しておきます。

2016-10-09 00:24:34
uroak_miku @Uroak_Miku

15)20世紀初頭のアメリカで起きたキャラクター裁判の記録を読んでいくと、キャラクターの保護の法的根拠として不正競争防止法(にあたる全米各州の判例)が持ち出されていたことに驚かされます。今だったら著作権法で争うところなのに、当時はそういう発想はなかったのです。

2016-10-09 00:26:56
uroak_miku @Uroak_Miku

16)「キャラクター」を、今でいう知財として権利を主張するための法的根拠が当時はまだ法論理としてはっきりしていなかった。

2016-10-09 00:27:49
uroak_miku @Uroak_Miku

17)「セクシャルハラスメント」を法律違反とするには、その根拠となる法律の理論が必要でした。刑法や民法やほかいくつかの法律の条項を組み合わせることでやっと最高裁を説得できたのですどの国でも。

2016-10-09 00:29:24
uroak_miku @Uroak_Miku

18)「キャラクター=知財」の主張も、複数の法律の条項を組み合わせることでやっと理屈として成り立ちます。あとは裁判で争ってみて通るかどうか。ディズニー社は世界各国でそうやって戦ってきた。そして判例を積み上げていった。

2016-10-09 00:32:35
uroak_miku @Uroak_Miku

19)現代の法は、どの国のものも基本的にヨーロッパのものを踏襲しています。法の基本である「人権」がそもそもフランス革命の産物ですしね。

2016-10-09 00:33:41
uroak_miku @Uroak_Miku

20)そこにディズニー社は「キャラクター=知財」の考え方をねじこんだ。世界各国で。メイドインUSAの法理論を、ヨーロッパの法理論のなかで堂々と主張し、各国の市場で少しずつ「啓蒙」を果たしていった。

2016-10-09 00:35:15
uroak_miku @Uroak_Miku

21)ここで面白いことが起きます。キャラクターとはおよそ呼べないものも知財として保護すべきではないか、という法理論です。

2016-10-09 00:36:14
uroak_miku @Uroak_Miku

22)そういう考え方はもっと前からあることはあります。商標がそうですね。「グッチ」という固有名詞も知財だと考えるわけです。この名前ひとつで売れ行きが変わるのだから集客力という点で立派に知財ではないだろうか、と。

2016-10-09 00:38:22
uroak_miku @Uroak_Miku

23)国に申請して「商標権」を認めてもらうやり方は19世紀の後半に欧米で始まったものです。

2016-10-09 00:40:25
uroak_miku @Uroak_Miku

24)そのころに商標法という法律が欧米のいくつかの国で成立したのです。

2016-10-09 00:41:37