不可逆的無神論

【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

【本日20時OPEN】 出演者：@R_i__mt4 グロテスク要素を多分に含む、ナンセンスな仕上がりとなって居ります。そのため、18歳未満の方のご入場を禁止致します。 上演開始まで15分を切りました。ご観覧のお客様はお席までお急ぎください。

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……アー、マイクテスト。聞こえてますかァ。

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…返事が返ってきたらそれこそホラーですよねェ、聞こえてるって事でイイや。

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嗚呼、今から咄すのは日常にあるような、そんな話ですから。決して身構える必要はありません。どうぞ、楽な気持ちでこの時間をお過し下さい。

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では、前置きも此処までにして。徐々始めましょうか。……そう言えば、何を騙るのか言い忘れておりました。大変失礼。

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（ _____『不可逆的無神論』 ）

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さて、何から話せばいいモノか。

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いつ頃からだったかは忘れたんですがね。こんな私にも古い友人、と言うのが一応居りまして。

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今宵はその友人の話でもしようかと。…名前は流石に出せませんから、友人Aとでも。

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その友人は「神様」や「仏」が嫌いでした。無論、キリスト等も。

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「嫌い」、と言うよりは「居ない」と言う考えだったんでしょう。他の宗教も、全く受け付けて居なかったようで。

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其々の宗教の建物、等も駄目でしたし。その宗派の人々も。せめて、人くらいは平気だったら良かったンですけどねぇ。

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そんな考えですから、友人達も極めてすべて少ない様でした。…まァ、その中でも特に仲良く出来たのは奇跡、と言っても過言では無いでしょう。

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そう、特に仲が良かった。ですから、友人Aは秘密を教えてくれたのだと思います。知り合い程度に話せる内容じゃあ、決して在りませんから。

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何時もは無愛想なんですよ、その友人。私が云うのもどうかと思いますが。

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……ゴホン。失礼、少々慌ててしまいまして。え？何があったかって？やだなァ、何もありませんよ。間違いなんかありません。ええ。

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………………何処まで話しましたッけ。

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嗚呼、友人の話でしたね。そう、その日は珍しく笑顔だったんですよ。…その日ってのはアレです、秘密を教えて貰った日。

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誰でも気になるでしょう？普段無愛想な人が笑顔、と云う理由が。ええ、ええ。勿論私は聞いてみました。

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「御前、今日何かあったの？」

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「今日？何もねぇよ？…あ、でも昨日イイ事したんだよねぇ〜」

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イイ事、とは。其奴は男でしたから、女でも抱いたのか。其れとも、大金でも拾ったか。矢張り、女を抱いたか。その辺りの返答が来る、と思っておりました。

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けれど、予想とは全く違い。悪びれた様子も無く、日常の事を話すような声色で言うのです。「人のようなモノを殺した」、と。

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人のようなモノ、ですから。人形でも壊したのだろう、決して、人を殺めた訳では無いに決まっている！そう願って────ええ、願う時間すら与えてくれませんでした。

【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

「いや、人なんだろうけど…神は居る！って五月蝿いからさぁ。人間は神なんて信じねえし。そう思って気付いたらさ、死んでたんだよね 」