掌小説語り～自作つぃのべる集～32

リュカ @ryuka511

死神から君を救う為に戦ったけど、取り出された魂を君の身体に戻すには時間が経ち過ぎていた。僕と君の身体を繋いで直接魂を戻すしか無い。君の魂を口に含み深く口付ける。弱っている君の魂に僕の生命力を分けて君の中に戻す。君は間もなく目覚めるだろう。さよなら、どうか幸せに。 #twnovel

リュカ @ryuka511

大切な記憶だけ琥珀に封じて、他は原初の海に還す事にした。荒廃し切った世界が海に還った後も、琥珀に封じた美しい記憶は、鮮明なまま海を漂い続けるだろう。幾星霜の時を経て世界に再び文明が生まれたら、この記憶をもとに、君だけは甦らせる事が出来るようにと願う。 #twnovel

リュカ @ryuka511

魔王城に程近いこの村は、いち早く魔王軍に挑み、多くの犠牲を出した末恭順の道を選んだ。魔王が倒されてもこの村は救われない。雨が降り続く村で、少女はそれでもいいと思った。村を支配した将軍は自由になれと言ったけど、このまま貴方と滅びを待つ静かな関係を続けたいと願った。 #twnovel

リュカ @ryuka511

ぼろぼろの空が埃を落とす。この世界はもう限界だ。落ちる埃を人々は虚ろに見上げる。「間も無くだね。」「そうだね。」人々の呟きに感慨は無い。崩壊寸前の世界は人間の無力さを突き付けた。祈りも怒りも嘆きも世界の崩壊を止められない。諦観のみを抱き人々はひび割れた空を見る。 #twnovel