第14話 エンドウ沖の残火 パート1

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白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

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2016-10-18 21:59:56
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

__ 戦いは過ぎ去れど、戦の火は燻り続け __

2016-10-18 22:00:16
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__ 第14話 エンドウ沖の残火 パート1__

2016-10-18 22:00:23
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14-1-1 南西海域奥地 エンドウ沖。この夏、この海域では人類・深海両艦隊がぶつかり合い、大規模な作戦が展開され『た』。 …過去形である。数ヵ月前人類の勝利によって優勢を取り戻したこの海は、今は穏やかなものだ。 「…穏やかでも、あっついですねぇ~…」 額の汗を拭う綾波。

2016-10-18 22:01:33
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14-1-2 本土の秋の空気は年中真夏のこの地には届く由もなし。 日の照り付けている間はぽたり、ぽたりと汗が海面に滴っていく。 「それでも、実は本土の夏よりは過ごしやすいのよ?スコールが通過した後は空気もさっぱりするし」 横で綾波に南西の気候を説明しているのは、明石だ。

2016-10-18 22:03:42
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14-1-3 今回の任務には珍しく明石が同行している。 というのも、今任務の行動の中心となるのが海の上ではないためだ。 風見に特務として調査任務が下ってきたのは先日の夜の事。 その詳細を読んで明らかになったのは、目標地点が既に戦いの過ぎ去ったエンドウ沖の『島内』であることだ。

2016-10-18 22:06:46
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14-1-4「その島には何があるのでしょうか!」 綾波がびっ、と手を上げて質問した。…当然の疑問である。 だが、見取り図の前で風見が彼女に返せたのはきまりの悪い表情ぐらいの物だった。 「分からん。故意にこちらに情報が与えられてない訳ではなく、どうやら依頼主らも知らんらしい…」

2016-10-18 22:08:43
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14-1-5 風見は目を皿にして電報に再度目を落とす。 「まぁ、わざわざ俺達を送り込もうとする位だ…危険な物、ないしは後ろめたい物なのは間違いない。暈して書いてあるが、上層部が怪しいと目を付けていた場所の一つが先の作戦で戦火に飲まれてしまい、情報が白紙になってしまったようだな」

2016-10-18 22:11:31
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14-1-6「要するにその島の現状を把握し、何があるのかを明確にするのが今回の任務、と」 全員が先のオリョールでの囮任務を頭に思い浮かべる。 消失等の報告は無いとはいえあの時と同様だ。またしても対象は『未知』。 風見も思う事は同じだったようである。 「…今回も油断出来んようだな」

2016-10-18 22:13:34
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14-1-7 ____ 島の内部の探索となると、主機等を着けたままでは些か支障が出る。 このため今回は明石が同行し、目的の島の沿岸まで着いたら4人が戻るまで武器以外は彼女が待機して管理する事になった。 陸戦という意味でも、この任務は通常艦隊に比べ『鳶』がお誂え向きとも言えた。

2016-10-18 22:15:33
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14-1-8 「…ちなみに、扶桑さんはまた今回も不参加なんですね」 綾波は出発前から感じていた疑問を口にしてみた。 明石以外は今回もオリョール海と同じメンバー。扶桑の姿は無い。 「あー、実は扶桑さんには最近私の仕事も手伝ってもらっちゃってて…」 申し訳なさそうに頬を掻く明石。

2016-10-18 22:16:45
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14-1-9「そうだったんですか」 「ま…どのみちあの艤装だと探索には向かなさそうね」 雲龍が扶桑の艤装を思い出して苦笑いをする。 出撃前に未だ誤って壁にぶつける事もある巨大な艤装。熱帯雨林にでも入ろうものなら、あっという間に引っ掛かって動けなくなるか木を薙ぎ倒すかのどちらかだ。

2016-10-18 22:17:44
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14-1-10 …それにしても。綾波は海を滑りながら扶桑の事に頭を巡らせる。 あの人も凄い人だ。 監獄島において在住者の健康管理を行い、問診結果をまとめたり、薬の類を管理しているのも彼女。 それに加えて工廠の明石の手伝いまで出来るとは…淑やかな普段の彼女からは想像出来なかった。

2016-10-18 22:19:16
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14-1-11 到着してみれば目標の島は自然が支配するごく小さな無人島で、一目に綺麗な場所だと感じた。 しかしながら、浜辺にちらほらと散乱する残骸や所々焼けた跡、不自然に倒れた木々は、確実にこの場所が先の戦火の中に巻き込まれていた事を物語っている。 「…はい、浜風ちゃんもこれを」

2016-10-18 22:20:48
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14-1-12「有難うございます」 明石は手際よく4人から航行のための装備を外し、探索用の道具、機器、衣服までを支給してくれた。 ここに着くまで気になっていた、明石の持っていた大荷物が何だったのか漸く合点がいった。これらに更にメンテナンス用の道具も加わっている訳だ。

2016-10-18 22:22:14
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14-1-13「手伝えないのは申し訳ないんだけど、整備はしておくから…気を付けて」 「有難うございます。それじゃ行くわよ、皆」 装備を整えた『鳶』は、五十鈴が先導する形で島の大部分を構成する熱帯雨林の中へと足を踏み入れていった。 …後ろ姿が木々に阻まれ、直ぐに見えなくなっていく。

2016-10-18 22:24:27
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14-1-14「…さてさて」 4人の姿が完全に見えなくなってからある程度時間の経った頃、浜辺に一人残って主機の点検をしていた明石は徐にメンテ道具を置いた。 「そろそろいいかな」 そして、自分の持っていた荷物から何やら取り出して並べると… 徐に自分のスカートに手を掛け、脱いだ。

2016-10-18 22:25:35
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

14-1-15 露わになったのは下着……ではなく水着だ。 続けて上も脱ぎ去ると、水着姿が完成した。 「今年の夏は忙しくて、工廠の中で汗水流してたら過ぎちゃったからね」 煌く海を前に周りを見回せば、そこは明石だけのプライベートビーチのような物だ。 「満喫させてもらいますか~」

2016-10-18 22:29:12
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

14-1-16 明石が先程浜辺に並べたのは、組み立て式のビーチチェアやローテーブル、パラソルである。 当然、綾波の気にしていた『大荷物』の中身を『大荷物』たらしめていたのは…大部分がコレであった。

2016-10-18 22:29:48
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

14-1-17 スタート地点で明石がそんな事をしているとは露知らず『鳶』の4人は草木の間を進んでいく。 道なき道となる…と想像していたのだが、実際にはそれ程歩き辛くは無かった。 「明らかに人が通りやすいようにしてあるのよね…」 オーガスタの葉を脇によけ、五十鈴は目の前を確認する。

2016-10-18 22:31:24
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

14-1-18 …進行方向には相変わらず人が通るのに申し分ない広さの「道」が確保されていた。 せり出した植物は今のように若干道を覆っていたりもするが、気になる程ではない。強いて言えば一度整えられた道が暫くの間手つかずになっていた…という程度だ。

2016-10-18 22:33:28
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

さて、道もそうだが気になるのはもう一点。 「…またですね」

2016-10-18 22:33:38