第14話 エンドウ沖の残火 パート1

脳内妄想艦これSS 独自設定注意
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白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

14-1-19 浜風が見る先には、葉の大きな植物の緑に包まれた空間には似つかわしくない、黒ずんだ鉄塊のようなものが転がっている。 否、それは只の鉄屑ではない。鉄屑のようになってしまったものだ。 「それ、ヌ級っぽいわよね…」 蔦の絡まった球形の艤装は、確かにヌ級の物に見える。

2016-10-18 22:34:10
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14-1-20 艤装の表層には大量の弾痕。至近弾で蜂の巣にされたような傷跡だ。 「その…生きてない…よね?」 綾波はひょいと艤装の下を覗き込んで、小さく「うぇっ」と声を漏らした。 …肉塊は既に無数に蠢くスカベンジャー達によって原型を留めず、自然へと還元されていた。

2016-10-18 22:35:23
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14-1-21「これで3体目ですね…当時の戦いに直接関係無いここに上陸して来る必要があった、と?」 「それも勿論の事、この弾も気になるわね」 雲龍が手袋の先でつぅと貫通した弾の跡をなぞる。 「知っての通り、人の武器では深海棲艦を死に至らしめる事は出来ない。となると、これは?」

2016-10-18 22:36:38
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14-1-22「…マレー沖海戦の裏で、ここを目標にしてた深海棲艦も居たってことかしらね。そして、ここで返り討ちにあったとか…提督はどう思われます?」 『そうだな…そ…なら、艦娘の一人二人こn…所に居たという事になるが、その形跡は…』 五十鈴が通信を試みるが、大分ノイズが混ざる。

2016-10-18 22:37:41
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14-1-23「提督?…かなり雑音が混ざってますね」 ノイズは、奥に進む度に強くなっていた。 『うむ…十分な強度が確保でk…いようだな。そこより奥へ進んだら、通信は望め…かもしれん。結局今回も大事なところでナ…ゲートは出来ない訳だ』 ノイズ混じりに風見の落胆の溜息が聞こえてくる。

2016-10-18 22:38:36
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『明石も案外頼りにならんな』 --------------------------------------- 「っくしっ!」

2016-10-18 22:39:24
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14-1-24 今頃当人は浜辺でくしゃみでもしているのではなかろうか。 『通信不可…域ではどうしようもない。なるべ…情報は多めに記録して持ち帰ってくれ。それと、毎度言ってるが弾の効かな…敵が居たら、さっさと撤退だ。良いな?』 「了解。それじゃ、良い知らせを待ってて下さい」

2016-10-18 22:39:39
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14-1-25 __「全く…」 「大丈夫、皆さんならきっと無事に戻って来ますよ」 沈黙する通信機の前で疲れた顔を見せる風見に、鳳翔が手製のほうじ茶を注ぐ。 「…そっちに関しては心配してないんだけどな」 風見の湯飲みに、茶柱。 「これ、どう考えてもまろび出て来るのは悪い知らせだろ」

2016-10-18 22:41:32
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14-1-26 …茶柱の比較的立ち易いほうじ茶の茶柱が、風見の手元で片端から沈んでいった。

2016-10-18 22:42:32
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14-1-27 それから4人は、兎に角『人工』と思しき空間に沿って木々の間を進んだ。 途中にはやはり幾らかの深海棲艦の骸、弾痕。 そして、進むにつれて薙ぎ倒された草木も散見されるようになった。 「本当に扶桑さんみたいな戦艦が艤装を着けてここを通ったんじゃないでしょうね?」

2016-10-18 22:43:39
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14-1-28 洒落にならないけど。と、雲龍が付け加えて呟く。 「流石にそれはないでしょ…っと…」 先頭の五十鈴が視界を塞ぐ葉を脇によけると、開けた空間が現れる。 「ここがゴールかしら」 周囲を見回してみるに、どうやら意図して作られていた道はここが終点となっているようだ。

2016-10-18 22:46:17
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14-1-29「…何もありませんね。『不自然な程』に」 浜風がぐるりと空間の外周を確認する。特に異常は無い。 その一角だけが完全に空き地のようになっており、草木も生えておらず地面も剥き出しなのだ。 「こういう時の相場は決まってるのよ」 雲龍は畳んでいた『幡』を取り出し、伸ばす。

2016-10-18 22:48:14
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

14-1-30 トンッ…トンッ…コッ…ガンッ!! 空き地の地面を柄で突いていくと、この場所の地面が出し得ない音が鳴った。 「ビンゴ…外から見た程度じゃ見つからない筈ね。下よ」

2016-10-18 22:50:45
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

__ 第14話 エンドウ沖の残火 パート1終わり パート2に続く__

2016-10-18 22:51:04