#ダークエルフ王国見聞録 その6

著者 へどばんさん pixiv版(https://www.pixiv.net/series.php?id=823771) その1のつづき 行商の兄弟の案内でダークエルフの里へ ダークエルフの女戦士とであう 続きを読む
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へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

眠りに就いてどれくらい経ったのであろうか。寝床に何処からともなく甘い香気が濃く漂い、意識が覚醒してくる。香りの元を確かめようとするが、体の自由があまり効かない。さてこれは不思議なことと思って身じろぎをしていると、パッと温かい灯りが目前に広がる。 #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:46:21
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

灯りを見やれば、蝋燭を立てた手燭を持つダークエルフの母娘二人が私の寝床の側に座っている。夜闇の中、暖色の光に照らされた褐色の肌は独特の艶を増し、その瞳は爛々と輝いて彼女達が夜の眷属であることを示している。そして、彼女らは透き通る薄布のみを身に付けていた #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:47:52
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

「あら、お目覚めですね。ふふふ・・・」 家長である母が無邪気なそれでいて淫蕩な笑みを浮かべる。何をしているのかと言えば、夜伽であると彼女は応える 「宿泊される客人への礼として夜伽は当然のこと・・・私でも娘でも、何でしたら二人ともでも構いませんわ」 #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:50:10
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

彼女の滑らかな指先が私の頬をゆったりと撫でる。先程からの甘い芳香が更にその濃度を高めた様に感じられた。 「さて、どのようなことをご所望ですか?何なりとお答え下さいな・・・」 香気が脳髄にまで至ったのか、私は自由に話すこともできなくなった。 #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:50:45
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

「どうしたのですか?貴方が望むこと、この里で“本当に”したいことを仰られては?」 クスクスと笑いながら、薄布のみが隔てる豊満な胸を押し付け、彼女は再び問いかける。床に入る前に飲んだ物と部屋を満たすこの香気、おそらく私の本心を語らせるためのものであろう #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:51:49
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

濃密な色香とそれが生む興奮に眩暈がするような心持になりながら、私の口が意識せずに語り出す。おさなごの時、寝物語に聞いた神話の軍勢と戦う美しいダークエルフの女戦士達に心惹かれたこと、様々な異文化を見聞きする心地よい驚きのこと、それらが叶った今の喜びのこと #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:52:35
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

そして、ダークエルフという美しく誇り高い種族に恋い焦れながら、それを我が物にしたり、好きに改変することではなく、それを記録し後世に伝える使命感のことを。私はそれを語りながら泣いていたのかもしれない。全てを語り終わり、荒い呼吸だけが咽喉を出入りする #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:52:59
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

ダークエルフの母娘は顔を見合わせ、その笑みから淫蕩さを消していく。香炉からの煙は次第に薄くなり、甘い匂いも少しずつ失せてゆく。彼女らは水差しから茶碗に先程とは異なる香りの液体を入れて飲み干す。私の唇には女戦士の唇が触れ、その液体が咽喉に流し込まれる。 #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:54:27
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

私はそのまま眠りに落ちてしまったようである。気が付いた時には窓から朝日が差し込み、外では家雀たちが朝のさえずりを交している。台所の方を見ると、女戦士の母が次女と共に朝食の支度をしている。 「あら、おはようございます、学士様」 にっこりと彼女が微笑む #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:55:17
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

彼女は前掛けを外し、こちらに近づいて囁くように昨夜のことを説明しだす 「お察しかと思いますが、少し薬香で貴方を試させて頂きました。里長の命にて、間諜や奴隷商の類でしたら、そのまま首を刎ねることになっておりましたので、貴方がそうでなくて安心いたしました」 #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:55:58
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

「娘は外で朝稽古をしております。朝食の迎えに行って上げてください。全く恥ずかしがり屋な娘でして・・・。あ、夜伽がもてなしというのは本当ですので、ご所望でしたら仰って下さいね」 ふふっと悪戯っぽく笑うその姿に脱力しつつも、言われた通りに女戦士を迎えに行く。 #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:56:34
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

ダークエルフの女戦士は郭の端で、鋼の長刀を振っていた。褐色の腕がしなやかに振られ、それに合わせて揺れる長い銀髪と汗の滴が朝日に照らされている。その美しさに心奪われ、しばらく眺めていると、女戦士の方から語り出す 「そ、その、さ、昨晩はすまなかったな・・」 #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:57:38
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

彼女が説明するに、成人男性が少ない里では吟遊詩人や行商人などのダークエルフの男性が里に来訪した際には、女家長が言う通りに泊まり先の女性が夜伽をして迎える風習があるそうである。それに応えるのもダークエルフの男性の礼儀であるとも言う。 #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:58:17
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

「お前たち人間は我らを野蛮だ淫蕩だと蔑むようだが、我々も相手が誰でも良いという訳ではない。吟遊詩人や武芸者ならばその才を、行商人であればそれとの信頼を認めた上で、種を頂く行為なのだ」 剣先を見据えながら彼女は続ける #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:59:00
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

「・・・お前が邪な目的でこの里に来たわけでないことはよく分かった。あ、あとだな、私には学問とやらはよく分からぬが、お前の熱意だけは伝わった。そ、そのだな、夜伽の相手としての資格も・・・ええい、やめだ!」 彼女は剣を振う腕を下ろす #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 16:59:30
へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

「母上が呼んでいるのであろう。朝食としようか」 やっと彼女がこちらを向き、すっきりとした笑みをこちらに向ける。それと同時に彼女の方から汗に濡れた掌を差し出す 「昨日の非礼は詫びる。今日からよろしく頼むぞ、学士殿」 私は喜んでその手をしっかりと握った #ダークエルフ王国見聞録

2016-11-04 17:00:29
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