てがみ座『燦々』ご感想まとめ
座・高円寺で、てがみ座「燦々」を観た。葛飾北斎の娘応為の、あの時代に女性として生まれた哀しみと、天才の娘に生まれた苦しみ、そして芸術家としての「欲の在処」を見つけるまでを描いた佳作。様々なものを白い紙で表現した舞台・照明がスゴイ
2016-11-05 00:29:46[exblog] 「燦々」てがみ座 第13回公演(@座・高円寺) haruharuy.exblog.jp/26738724/
2016-11-05 09:04:21本日のマチネは、座・高円寺にててがみ座『燦々』、ソワレはシアタートラムにて劇団チョコレートケーキ『治天ノ君』。 どちらもがっつり見応えありそうな作品なので、気合いを入れて(!?)出かけたいと思います。
2016-11-05 09:14:28コタツで油断している猫が微睡んでいるうちに、後ろから一気に爪切り。そろそろてがみ座観に劇場行かねばな。
2016-11-05 12:30:06てがみ座『燦々』傑作。『地を渡る舟』『空のハモニカ』に次ぐてがみ座と代表作になるだろう。葛飾北斎の娘 お栄の姿を描いた作品。お栄と言えばアニメ・漫画『百日紅』の印象が強く、そちらとの比較は避けられないな…と思って見に来たら、時代的には『百日紅』の後で、同じ話は全く出て来なかった。
2016-11-05 19:46:18てがみ座『燦々』ただしテーマ的にはダブる部分も多く、葛飾北斎という巨大な父の陰で、どのように絵師としてのアイデンティティを確立していくかという葛藤は両作に共通する。しかし本作は、絵師としての成長と不可分の形で、お栄が「女」として成長していく様を描いているのが『百日紅』にない新味。
2016-11-05 19:53:34てがみ座『燦々』そんなお栄の姿はどこか『空のハモニカ』の金子みすゞをも思わせるが、江戸時代末期の人間であるお栄の方が、ずっと自由で、現代的なイメージなのも興味深い。まて、みすゞの活動時期が大正末期〜昭和初期であることが、劇団チョコレートケーキ『治天ノ君』の内容ともつながり…
2016-11-05 20:00:25てがみ座『燦々』そんなお栄の姿を描いた長田育恵の戯曲も秀逸だが、今回の上演が間違い無く傑作と呼べるものになったのは、扇田拓也の演出と杉山至の美術によるところが大きい。これに関しては、てがみ座のどの作品よりも勝っていると思う。
2016-11-05 20:45:22てがみ座『燦々』座・高円寺1の無駄に横長な舞台は極めて使いにくい。これまでにあの空間を使い切っていたのは、風琴工房の『国語の時間』くらいだ。あれも美術は杉山至だったはずだが、本作はあちらとは正反対の、ミニマムで抽象的な美術によって、見事にあの空間全体に生命力を与えている。
2016-11-05 20:49:26てがみ座『燦々』どこまでが美術のアイデアでどこからが演出のアイデアか分かりにくい部分も多いが、全ての絵を何も書いていない和紙(布のようにも見える)で表現する演出が見事。実際に絵を描けない以上当然かもしれないが、そこにあれだけの説得力が生じたのは、綿密な演出があってこそだ。
2016-11-05 21:14:43てがみ座『燦々』その絵のアイデアにせよ、男女の交わりなど様々なシーンを薄い布ごしに見せる演出にせよ、ミニマムで闇を活かした美術にせよ、全てが「今目の前で展開している以上の物語が、この向こうに広がっている」という感覚を抱かせる。
2016-11-05 21:18:15てがみ座『燦々』優れた演劇や映画は、何かを目に見せる形で描きながら、同時に「目に見える以上の何か」も描くもの。その点についてなら、本作はてがみ座のベストと言えるだろう。これほど闇の向こうに広がる豊かさを感じさせる芝居は、そう多くない。
2016-11-05 21:22:08てがみ座『燦々』今回は中心的なキャラがほとんど客演という珍しい配役。特にお栄役は三浦透子はテレビドラマや映画が主で、舞台では素人同然。実際あまり上手くないし、演技スタイルも浮いている。ところが実に不思議なことに、それがあまり欠点として感じられない。
2016-11-05 21:26:32てがみ座『燦々』それは多分この物語が、自分の居場所を見つけようとする女の物語、つまり「世界から浮いている女が主人公」だからかもしれない。他の役者から浮いた彼女の存在感が、そのままお栄の「居場所の無さ」として機能していたのだろう。しかも真剣さだけは伝わってくるところがお栄らしい。
2016-11-05 21:31:33てがみ座『燦々』また便宜上「お栄の物語」と言っているが、実際には群像劇の色合いが強い。中心にいるのはお栄だが必ずしも彼女が物語を牽引していくわけではないため、多少演技が拙くても問題無かったというのもあるだろう。ともあれ彼女は現代っ子的なキャラが、うまい具合に芝居の中で生きていた。
2016-11-05 21:42:21てがみ座『燦々』ただ、あのキャラは一度離婚を経験した女と言うより、十代の少女のもので、どちらかと言えば『百日紅』時代のお栄だ。逆に『百日紅』のお栄は、落ち着きすぎた感じもあったので、両作のキャラを交換すればちょうど良かったのではなかろうか(笑)。
2016-11-05 21:42:32てがみ座『燦々』脇に回った劇団員の中では、箱田暁史が目立つ役回りで、特にお栄とのシーンでは良い味を出していた。客演陣では、大きな役ではないのに、東京乾電池の伊東潤が素晴らしい! ただそこに立っているだけで江戸の空気が伝わってくる。東京乾電池で彼のこんな演技は見たことがないぞ。
2016-11-05 21:47:39面白かった!お・も・し・ろ・ か・っ・た・よーー!!てがみ座『燦々』。江戸の絵師の話で、父と娘、師匠と弟子、妻と夫、女と男、そして人間の話だった。町に生きる人々の息遣いが聞こえる。執着も愛情も抱えて、ただ生きていく。この脚本、この演出、このキャストで、拝見できてよかった。 pic.twitter.com/0VpIRpl49v
2016-11-05 16:41:36てがみ座の次回作は1年後。『青のはて』の再演。実を言うと私、あの作品はほとんど評価していない。あまりにも書きすぎ・詰め込みすぎな作品だと思う。しかし満を持しての再演となれば、私が不満に思った部分をそぎ落とし、生まれ変わった『青のはて』を見せてくれるのではないか…そう期待しよう。
2016-11-05 21:52:36いくつかの事柄の偶然に近い組合せにより例えば重大な決断が下されるとか例えばクリエイターの才能が開花するとか、そういう「歴史が動く」場面に立ち会うなんて人生において1回あるかないかだろうけれど、昨夜のてがみ座「燦々」ではそれを体験した感覚になったのだった。 #てがみ座 #燦々
2016-11-05 23:29:23