つれづれに目をあけて見た夢十夜

梨葉利生 @nashibario

#twnovel こんな夢を見た。街角に謎の群衆。傍の人に何かと尋ねる。「解体ショー」「マグロですか？」「えっ」「マグロですよね？」「えっ」聞こえないのか。長い包丁が宙に突き上げられ歓声が上がる。刃先は血塗れだ。人々が我先にと何かを掴みに行く。おい誰かマグロの解体だと言ってくれ！

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#twnovel こんな夢を見た。知らない田舎に帰る。村人たちはうあいが来ると言って楽しそうに準備をしている。何か手伝いたいが何をしていいか分からず、そのうち寝てしまう。目が覚めると村は壊滅状態。死んだ村人にうあいはどうしたと訊くと、そんなものは知らないと言う。これだから田舎は。

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#twnovel こんな夢を見た。「で、君には三日間を熊と一緒に暮らしてもらう。その熊は人は襲わない」「本当に大丈夫なんですか？」「例えばたまたま君の傍にいた人が君を喰う確率はどの程度だと思うかね。それと同じくらいだよ」そう言ってその人は歯を見せた。いたって普通の健康な白い歯だ。

梨葉利生 @nashibario

#twnovel こんな夢を見た。街中にコアラがいる。街路樹や電柱につかまって私を見ている。そして言うのだった。「ボケて」無視して通り過ぎる。私は芸人ではない。「ボケろ」また別の奴だ。感情のない眼。何だこいつらは。「ボケろや」私はいつしか頭の中で候補をあげていた。やらないぞ絶対。

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#twnovel こんな夢を見た。源泉徴収票が必要になり辞めた会社に電話する。不機嫌な中年女の声が出る。間違えたのか？　問答の末「誰だお前」。瞬間、向こうの光景が見えた。暗いスナックのカウンターの奥の座敷から腕を伸ばし受話器を掴んでいる。平気で人を殺す人間だとわかってゾッとする。

梨葉利生 @nashibario

#twnovel こんな夢を見た。街に出るとあらゆる空間に人がはまり込んでいる。ビルの隙間や外壁の凹み、建物と柱や自動販売機などの狭間にすっぽり収まった人々は、みな手にスマートフォンを持ち、明日以降の生命に関わる情報をやりとりしているのだった。何も持っていない私は静かに絶望した。

梨葉利生 @nashibario

#twnovel こんな夢を見た。信号待ちをしていると隣に立っていた見知らぬ女が突然ガクリと上体を折り曲げ、長い両腕と髪を垂らした前屈姿勢になった。大丈夫かと声を掛けたが全く反応がないので気味が悪くなり、思わず逃げ出した。しかし、街にはいたる所に二つ折りの女が立っているのだった。

梨葉利生 @nashibario

#twnovel こんな夢を見た。荒野を彷徨っていた。空腹で目が眩みそうだった。突然見えてきたのは、一軒の郊外型の大型回転寿司店。だが寿司屋に入ったことがない私は店の前で躊躇した。そして気がついた。回転している。店が建物ごと、時計回りにゆっくりと。私は視界が回転しその場に倒れた。

梨葉利生 @nashibario

#twnovel こんな夢を見た。葡萄を食べている。巨峰よりも大きくて皮離れがいい。つまんだ三本指で押し出すと瞬時に口に飛び込んでくる。噛み潰すと甘い果汁が口中に溢れ出る。山となった残った皮に目をやると、ぺしゃりと潰れたそれらは肌色で皮の裂け目には両側に短い毛が一列に生えていた。

梨葉利生 @nashibario

#twnovel こんな夢を見た。口の中に何かがバラバラとこぼれ出す。吐き出してみると黒い生のトウモロコシだった。途端に気分が悪くなり鏡を見ると歯が全部抜けていた。自分は許された存在ではなかったのだと思い知らされ、二度と目覚めぬ薬を飲み横になった。次に見る夢のことは考えなかった。